さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

思い切り拍手してきました

2012-06-21 00:26:14 | 井岡一翔
ただいま、府立体育館より帰ってまいりました。

いやはや、あんなに人の多い府立はいつ以来でしょうか。文字通りの超満員でした。
二階席の通路や、一階席の後方は立ち見の観客で埋まり、共に空席はほとんどなし。
ものすごい熱気の中、井岡一翔と八重樫東の激闘を見てきました。


こちらは二階席からの観戦ですので、TVで見た方の印象とは少し違うかも知れません。
私の元にはTV観戦の方から「僅差ではなく大差で井岡」「引き分け」などなど、
異なる意見が聞こえてきました。

私は115-113井岡、と見ました。
一打の威力でまさる八重樫の有効打が抑えた回より、
ラウンド全体でのヒット数、ペース掌握、防御の良さで井岡が取った回の方が多かった。
簡単にいうとそういう見方です。


井岡の左リード、振りの小さい左アッパー、好機に鋭く飛ばす右ストレートに対し、
八重樫は井岡の右ガードの隙間を左フックで叩き、右で追撃し、連打で対抗する。
基本的にはこういう攻防が続いたと思いますが、勝敗を分けたポイントとしては、
なんといっても初回、そして3回、八重樫の両まぶたが腫れ上がったこと。

場内に「八重樫選手のまぶたの腫れはヒッティングによるもの」とアナウンスがされ、
場内のモニタに目をやると、まだ始まったばかりなのに、明らかにわかる酷い腫れでした。
この腫れを確認するためのドクターチェックが6回、7回に二度行われ、試合続行を危ぶんだ八重樫は、
結果として中盤、勝負を急いで猛攻を仕掛けましたが、ここを井岡に乗り切られ、反撃を受けました。
この無理な展開が無ければ、とは、どうしても考えるところです。

そして、この展開の中で、井岡はジャブで突き放す展開を敢えて捨て、
視界、距離感が悪くなった八重樫が期待する打ち合いを挑んだ場面がありました。
これにより井岡は被弾が増え、終盤の失速というか劣勢の場面を招きました。


八重樫の負ったハンデが、井岡の有効打による腫れだったとすれば、
それも勝負のうち、ではあります。
試合終盤、八重樫が、ヒットを取ったにもかかわらずバランスを崩す場面がありましたが、
これは相当、視界が悪いのでは、打つ標的が見えていないまま打っているパンチもあるのではないか、と思いました。

ひとつ繰り言を許していただけるなら、こういう勝負の綾がないまま、
八重樫のもっとダイナミックな仕掛けと、井岡の冷静な対処の末の、最後の選択肢としての打ち合いを見たかった、
という気持ちも若干あったりします。


しかし両者は、こういう勝負の綾、自分にけっして幸いしない状況に直面しても、
ひるむことなく相手に立ち向かいました。
試合を打ち切られるかもしれない恐怖を背負い、退路を断って捨て身で打ち合いを挑んだ八重樫。
勝つために最善とはいえない選択を何度か繰り返し、危険を承知で自らの誇りを満たそうとした井岡。
息をつく間もない、濃密な闘いを思い返すと、私の繰り言など、そもそも何の意味もなさないのだ、とも思います。


大きな会場を埋めた大観衆を、鍛え抜かれた肉体と、圧倒的な技量と、燃えるような闘志と、
そして闘い終えた後の美しいマナーで魅了した、二人の偉大なチャンピオンに、感謝と拍手を送りたいです。



...ていうか、実際、試合終了後の会場では、判定のコールを待たずして
スタンディング・オベーションが沸き起こり、私も当然、その中のひとりとして、
席を立ち、思い切り拍手をさせてもらったわけなんですが(^^)

いや、素晴らしい試合でした。見に行って良かった!


コメント (4)
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