もう、あれこれと語り尽くされているであろう、比嘉大吾の計量失格ですが、
前日にこれを知ったときは、またか、とがっくり来ました。
またも、見に行く予定の試合がこんなことに、という。
しかし、落胆しても、驚きだったかというと、それは違いました。
こういうことにならなければいいが、拳四朗の試合と、日程逆にすべきではないか、と
それは試合決定と、拳四朗の日程変更があったときから、思ってはいました。
まず、前の試合から二ヶ月ちょっとの短期間で試合を組んだ陣営、
というより具志堅用高会長の「采配」が大間違いでした。
しかも、沖縄で初回KO勝ちしたあと、ロスに渡航し試合観戦、
そのほかにもTV出演などもいくつか散見され、
実質的な調整期間は、さらに少なかったと思われました。
それでもこの日程を決めた背景には、具志堅会長の考えとして披瀝された、
短期間でも減量できる、むしろその方が...という考え方がありました。
しかしそれは、実際に比嘉の練習や調整に、詳細に関与した上での発言ではなく、
自身の経験に基づいた押しつけでしかなかったようです。
今回、露呈したその事実は、マネージメントとプロモートの権益を独占する立場の「会長」として、
さまざまな(というか、全てにおいて)不足を言われて仕方ないものでした。
その他の周辺事情、そしてもちろん、比嘉本人の責任も重大ではあるでしょう。
しかし、平成も30年になろうかという今になっても、
このように適当な、選手の状況を無視したかと覚しき意志決定がなされてしまう
ボクシング界の後進性と、その末の事態、失態は、どれだけ批判しても足りません。
そして今回、試合は当日午前8時の再計量で、122ポンド以下なら、という条件で挙行されました。
この条件、非常にアンフェアなものでした。犯罪的と言って良いでしょう。
先のルイス・ネリーの件で、当日正午、128ポンドという再計量の条件を知ったとき、
試合開始までの回復の時間が、8時間もあることを「こんな緩い条件が許されるのか」と
怒りを感じましたが、今回は実質、12時間です。
122という設定については、さまざまな意見もありましょうが、
回復の時間については、よくもまあ、こんな手前勝手な...と呆れ果てました。
心中、僅かに残っていた、比嘉への同情のようなものは、これでほぼ消し飛んだ、
というのが正直なところでした。
元々、計量失格の時点で、試合が挙行され、比嘉が勝ったとて、彼を称えることなど出来ないし、
負ければさらに経歴が...という以前に、彼の心身に傷がつく。
それでも、何のためにやる試合かといえば、唯一、挑戦者クリストファー・ロサレスの
王座獲得機会を、試合挙行によって保証する、という点のみですが、
そのロサレスを、このような緩い条件を立てることで、不当(といっていいと思います)に脅かす。
こんな酷い話があっていいのか。ルイス・ネリーを批判してきた我々、日本のボクシングファンは、
今後、誰に何があっても、一人前の口をきけなくなってしまうではないか。
二重三重、いや四重か、もういくつか数えることも出来ない失望が重なる中、
試合は始まり、半ば茫然と、リングの上を見ていました。
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試合については、これまた広い会場で見た印象のみで、簡単に書かせていただきます。
録画をチェックする気力は、今はまだ沸いてきませんので。
初回、大雑把に言えばボクサータイプのフォルムに見えるが、打ち合いが好き、というか
積極的に攻める選手、という風評どおり、ロサレスが攻める。
比嘉は、単純に考えれば、体重を落とせず、回復時間もあったはずだが、
やはり「本当に落とそうとした末」の失格であり、体調が良くなさそう。
普段の試合ぶりより、前に出る馬力が見えず、後退する動きが目についてしまう。
間違っても「受け」て強い選手ではないだけに、早々に暗雲が見えたような気がしました。
ロサレスはリズム感あり、左から右、左アッパーが出て、打ち合いでまさる。
比嘉は攻めるが、威力、切れともに欠ける印象。
4回はロサレスの右アッパーも出る。
4回終了後の途中採点は、見た感じとはだいぶ違う。
しかし、この辺については、どうでもええわ、勝手にせえ、と聞き流す心境でした。
5回、比嘉はボディ攻撃。6、7回、打たれながらも、半ば捨て身で奮闘。
しかし8回、ロサレスの右クロスが入る。
9回、ロサレスがヒットを取り、ジャブを当てたところで、陣営が棄権の意思表示。
TKOで試合は終わりました。
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見終えて思ったのは、この結果になる以外、意味のなかった試合が、
唯一、意味を失わない結果で終わったな、ということでした。
それを「良かった」と言えはしませんが、勝者クリストファー・ロサレスという、
拍手を送れる対象が、試合後のリングにいたことは、せめてもの救いではありました。
ロサレスは、足を使って動くタイプが苦手なのかもしれませんが、
この日の試合ぶりを見ると、なかなかの好選手でしたし、積極的なボクサーファイターで、
この日出た選手の中で、見ていて一番、目に心地よい選手でした。
もし比嘉が減量を順調に成功させていても、好試合になっただろうし、出来ればそれを見たかった、と思います。
そして、最後に、比嘉大吾について。
陣営の決定、会長の独走、その他周辺事情があったにせよ、当然自らの失態である
計量失格という事実、そして「本当に落とそうとして落ちなかった」実態から、
当然、体調も万全ではなく、さらに言うなら、精神的にも落ち込んだ状態で、
勝っても手にするものは無く、称えられることもなかっただろう試合のリング。
それはまさしく、比嘉大吾にとり「奈落の底」に見えました。
翳りを隠しようも無い表情でリングに上がり、
いつもと違って、相手を捉えても弱らせられない、自らの拳を振り回す姿は、
あまりにも悲しく映るものでした。
同情や擁護など、しようもありませんし、今後についても、何も言いようがありません。
然るべき処分を受けたのち、再起してほしい、ということにすら、今は思いが届きません。
しかし、今度どうあれ、周囲の状況がどうであれ、勝ち負けどうという以前に、
今回のような試合は、二度としないでもらいたい。
それを峻拒する意志こそを、何よりも大事にし、それを基準に物事を判じ、
我が身の置き所を定めて、生きていってほしい。
ボクシングファンの一人として言えることは、今のところ、それだけしかありません。
そもそもこれまでも減量中パニック障害になったとか、比嘉君のフライ級の限界は分かっていたはず。本人から転級したいと聞いていたのも無視して、こんな短期間で無理に記録狙いさせて比嘉君の将来も信頼も失わせた罪は重い!
私は日頃体重超過に対して厳しい論調を述べている以上比嘉君も厳しい処分を受けて然るべきとは思いますが、彼だけ何もかも失うことは絶対にあってはいけない。陣営も深く反省して比嘉君の未来を閉ざさぬように導く義務があると思います。
具志堅会長は管理責任を問われるべきですし、選手の心身の状態を把握していなかったのでしょう。野木トレーナーについては、なぜフライ級に合わせた身体作りをしなかったのかなと。タイトルを獲ったら、まずはそれを保持することを考えるのが普通ですし、会長も「しばらくはフライで」と以前から言っていた。体重を作れなくなるほどのフィジカル強化を続けるというのは自分には理解できません。
再計量の時間については、ここを見るまで気付きませんでした。確かにフェアでないですね。気になり、エルナンデスの場合を調べると、午後4時という厳しいものでした。ホームの王者の方が緩い条件というのはあんまりです。
ロサレスが勝ったことで、田中の選択肢が増えましたね。自分は木村戦よりこっちが見たいです。
茶番
w世界戦
大の大人がビジネスのみに徹して
興行 しただけ。
ボクサーは
闘犬
闘鶏
ではありません。
がTV。興行師サイドは
犬
軍鶏
としか見てないのでしょうね。
歴史的クソ興行だと思われます。
これでミドル級の世界戦?
事故のおきえれない安全選手を選んで…
勝つとわかってる試合はある意味
八○長と同じです。
今後の競技者生命、マネージメント体制、指導体制、いずれにも深刻な傷が及ぶ事案でした。
このピンチをチャンスに変えるには、思い切って米国に拠点を移すのがベストかもですね。
それくらいしか言うことが思いつきません…。
ある意味、ボクシングらしい、残酷なまでの光と陰のコントラスト、とは言えましょうが。
唯一意味があったかも知れないのは、階級を上げた際の相対的な自身のパワー、フレーム、
タフネスの低下と、相手のタフネスの上昇について、
予期しない予行演習となったかも知れませんね苦笑
地上波においてボクシングがコンテンツにするのは難しい時代ですが、だからこそ慎重かつさまざまなリスクを計算してビジネスに当たってほしいのですが、日本にはそこまで考えられる優秀なプロモーターはいなのかしらと思います。これじゃ単にお宝を放り捨てただけでしょう。
まず、試合を行う事の是非そのもの。予備検診と調印式で、普段ならまずネガティブな記事など出ない所を、皆示し合わせたように比嘉の減量について危機感を煽るような記事が出されました。実際の写真も見ました。この時点で、比嘉の状態が相当に悪いものだと見受けられ、クリア出来ても到底万全な仕上がりにはならないだろうし、あるいは……という気持ちになりました。その後の前日計量で汗が全く出ないという深刻な脱水症状を示唆する状態。この時私の脳裏には宮崎亮の名前が浮かびました。多分他にも宮崎VSサックリンの惨状を思い出した人は居ると思います。それでも、試合を中止にするという話には全くならないのが明らかな文脈。
当日、実際にリングに出て来た比嘉は、比嘉であって比嘉ではありませんでした。後日出て来た記事では当日の移動中に体調不良で寝込み、江藤光喜の証言ではウォーミングアップすら満足に出来ないような体たらくだったという話が出ている。そして試合後は即入院で現在に至るまで脱水症状は回復せず。安河内氏は計量のみならず当日の体調次第で試合をやるやらないを決める旨コメントしていましたが、この一連の比嘉の状態についての言及が全て本当ならば、横浜アリーナではなく病院に送り届けなければいけない話でしょう。試合など論外です。にも関わらず、中止という話にならない。本人がやると言った? そんなもの理由になるか!
再計量の時間設定といいこの話といい、半病人であろうが半死人であろうが、比嘉には絶対に試合をして貰うという鋼鉄の意志を感じずにはいられません。そうした無茶苦茶な動きを制止すべきJBCは、実質何の仕事もしない案山子以下。何の為に存在しているんだかわかりはしない。リング禍が起きなかったのは奇跡と言うべきでしょう。そうでなくとも、私が例として挙げた宮崎と同じく、彼のボクサーとしての輝き、あるいは人間としての輝きが2018年4月15日を以って、永遠に消え去ったとしても驚きはありません。
次に陣営の話。諸々の話を整理する限り、具志堅は比嘉の指導や減量、彼自身の肉体的・精神的諸問題については本当にノータッチだったようですね。比嘉の減量による肉体的・精神的ダメージによるトラブルは我々ファンも知る所なのですが、具志堅はその辺の事情を本当にわかっていたのかすこぶる疑問に思います。わかっていてそうしたなら救いようがないのですが、試合後のコメントを見ると相変わらず今の若い子はどうたらこうたらという古色蒼然たる精神論・観念論的な物言いばかりで何一つ具体的な話がない。下手したらその辺の情報は全て野木トレーナーの所で止まっていた、という事すらあり得るのでは? 少し前に選手本人が過ちを犯したとして、陣営という名のチームにも同等かそれ以上の責任があるというコメントをさせて貰いましたが、この『チーム』もまともに機能していなかったようですね。野木トレーナーが情報を上げてそれでも聞き入れなかったのにせよ、情報を上げなかったのにせよ、いずれにしてもチームとしては……。
最後に、実はこれが今回の試合絡みで一番腹立たしく思った事ですが、およそジャーナリズム精神や良心の欠片も感じられないようなスポーツメディアの対応。比嘉が過ちを犯す前、比嘉の減量苦自体は語られていたとしても、それはあくまで比嘉大吾というアスリートの付属品というか、ストーリーの道具というか、その程度の扱いに留まり、真剣に、本気で将来を憂える形での即刻転級を訴えるメディアはなかったように思います。私の探し方が悪いだけかも知れませんが。少なくとも具志堅の調子のいい話の方がずっと多く取り上げられていた事に関しては間違いない。
それが、比嘉が計量をクリア出来ぬ状況に陥るや否や、出るわ出るわ。さも「私は始めからこうなるとわかっていました」と言わんばかりのすまし顔でああだこうだと放言する記者やメディアと名乗る輩が続々と。フライ級は無理だとわかっていた? わかっていたなら何故それを比嘉が『やらかす』前に堂々と記事にしない? なるほど、確かに比嘉や具志堅は批判・非難されても仕方ないでしょう。それだけの失態を彼らはやってしまったのだから。では、具志堅の提灯を持ち、太鼓を叩き、好き放題ラッパを吹かせて報道としての仕事をまるでしなかった自称記者どもの責任はどうなるんですかね! お前達にしたり顔で比嘉・具志堅を批判する資格などあるか!
結局、今回の事件も、日本ボクシング界に漂うどうしようもない腐臭に基づく構造的問題と考えなければならないと思います。興行・放映最優先で無茶苦茶な話を押し通すテレビ局にプロモーター(ジム)。彼らに対して断固たる態度を取らず、ひたすら日和見に徹して何の仕事もしないコミッションと名乗る存在、そしておよそジャーナリズム精神、批判精神を欠片も持ち合わせない、強きにへつらい弱きを挫く、腐敗堕落しきった記者を名乗る連中。ネリーの時も言いましたが、比嘉・具志堅というトカゲのしっぽを切り落とした所で何の意味もありません。
ロサレスについては、比嘉の自滅という望外の幸運に恵まれた所が多分にあり、その辺を鑑みなければなりませんが、仮に比嘉がトマ・マソン戦くらいの出来だったとしたら、少なくとも苦戦はしただろうし勝ってもKO出来たかはわからないくらいには強い相手だと思いましたね。とにかく試合が成立しなければベルトを取るチャンスがない(それ自体大変不公平で不当な話だと、この手の問題がある度に強く思います)からというのもありましょうが、一連の大人な対応からは素直に今後の健闘を祈りたくなります。もっとも、一度彼に勝っている英国人は大喜びでこのベルトを奪おうと画策するだろうから茨の道だと思いますが……私も、田中のWBCへの『旋回』はあり得ると思います。木村が本当にゾウ絡みのあれこれで身動きが取れないのならば、手っ取り早い方を選んで木村とは統一戦で戦う、という方針に切り替えたとしても不思議とは思いません。その場合は日英招致戦争が勃発する事になるでしょうが……。
……しかし、こうしてみると、田口戦が頓挫した直後に、田中を諭して階級を上げる決断を促した陣営の冷静・賢明さが鮮明になりますね。田中もまた常に減量に大きなリスクがある選手で、特にミニマムの防衛戦のように、減量の良し悪しがそのまま試合の出来に繋がってしまう。それがわかっているからこその決断で、ちゃんと選手を見ていなければ出来ない事だと思います。本来それは普通で当たり前になされなければならぬ話なのですが、その当たり前がなされない昨今の事情を考えると、これも賢明な判断、という話になってしまう。比嘉陣営が田中陣営のように立ち止まって冷静に考える事が出来ていたならば……本当に、むなしいたらればですね。
この日程が、誰の主体的意志で提案され、決定したかは、結局我々には見えない部分の話です。しかし起こったことの結果は非常に重大です。私はこんな短期間で、しかもその間にTV出演や表彰や、果てに渡米して観戦やという用事を挟みまくっている様子を見て、具志堅は比嘉の体重調整に何らかの具体的関与をした上で、確信があるのだろうか、と思っていました。しかしそんなものは全く無かった。選手としては偉大でも、指導者としての内実など結局何も無い、そして「会長」としても失格レベルです。
比嘉にとり、今回の日程が「無理強い」だったのか否かは不明ですが、こういう話を受け入れずに済ませるための用意を、今後はしておいてほしい、と思います。結局、自分を護るのは自分自身でしかない。残念ながらそれが現実です。そしてもし、もう二度とリングに上がらないという決断を彼が下しても、それも仕方ないことかもしれない。そう思うほど、この業界は「会長ファースト」の世界です。改めてそれを思い知らされた気がします。
>海の猫さん
あの体型ですから、もっとジャブやストレート中心で突き放してもいい、と思いますが、意外なほど近い距離での攻防が多い選手でしたね。その辺、闘い方に幅があればもっと良くなるかもしれません。田中恒成と比べると、その辺は劣るでしょうが、体格面では優位でしょう。
井上尚弥の不調時にも思ったことですが、フィジカル強化のトレーニングは良いとしても、その程度が、度を超してないか、と感じることもありますね。身体への負荷が、減量苦や腰痛などに繋がっているようでは元も子もないと。比嘉に関しては、転級の時期を読み違えた上に、日程の無理もあった、ということでしょうね。
昨年のエルナンデスや、もう10年ばかり前のロレンソ・パーラには、非常に厳しい条件が課せられました。このあたりは、試合出場を許可する際に、明確なルールが必要でしょうね。もっとも、その場しのぎを是とする人たちには、余計なことなのかもしれませんが。
>元おっさんボクサーさん
まあ、その辺は、行間を読んでいただければ、と...(^^;)
メインは、強い日本ミドル級チャンピオンと、イタリアのベテラン、という試合でしたね、言ってしまえば。でもまあ、私はそれはそれで価値を見ている部分もあります。ミドル級なら、国内でこれだけ抜きん出て強く、欧州何番目か、という選手と闘う試合で、このくらいの規模の興行になってもいい、と。問題は、あくまで、そこまで止まりの試合に「世界」って看板を掲げないと、こうならない、という点ですが。
>Neoさん
つい先頃まで、沖縄の星と期待され、メディアにも注目されたボクサーが、あっという間に奈落の底に落ちる。ボクシングとは、人生とは残酷で、怖いものだと思います。周辺事情がどう、指導やマネージメントがどう、という以前に、勝負の世界で我が身を護るために、甘い考えを捨て、妥協を排して生きねばならない、ということなのでしょうね...。
>ふみさん
元々は拳四朗ーロペス再戦があったわけですが、その辺の兼ね合いは難しいところですね。日程をずらすのは比嘉のほうだろう、と思っていましたが、そうしなかった理由と、比嘉の減量苦という現実を天秤にかけて、こういう結論に至るものか、ちょっと理解不能です。興行規模を考えれば「村田+拳四朗」より「村田+比嘉」を横浜アリーナで、と考えるのは当然にせよ、調整期間のことを棚上げにした決定をしてしまう所以は、いったい何なのか、と。仰るとおりです。同感です。
>月庵さん
試合挙行については、前日から当日にかけていろいろあって、揺らいでいた、という話が散見されますね。ただ、どのような事態であれ、なんとかやってしまいたい、という意志が何より先に出ている話ばかりでしたが。
実際の試合ぶりは、開始早々、まず再計量から12時間もあるのに、全然身体を戻せていない、と見えました。その上、前に出る姿勢を作れず、無理に突っ込んで振り回していて、いつもの内外の打ち分けが見られない。体調が悪く、精神的にも安定していない、と。最後の方は半ば捨て鉢になっているようにさえ。
会長が、調整をトレーナーに一任し、全権委任するのは、一定の条件下ではむしろ好ましい形となりうる、と思います。よく言えば確固たる信頼関係がある、となりますし、興行や広報の仕事に会長が徹することで、役割分担が確立され、責任の所在も明確にもなりましょう。また、適当な思いつきで会長が口出しするようなこともなくなるでしょう。
しかし、試合日程という大事を、トレーナーや選手の意志、実情を無視して決め、その上で丸投げ、というのでは、そもそもお話になりませんね。上記の条件を何一つ満たさない、単なる責任放棄です。細かい内情は不明ですが、結局、会長が選手の側に寄り添った上で物事を決める、という、当たり前の前提がない。具志堅には、先代の金平会長の采配を批判する権利は全く無い、自分も同じことの申し送りをしているではないか、と言い募りたい気分です。
比嘉の転級の是非について、試合前や試合後のどのような報道があったかは、見た限りでは、計量後に、そもそも無理だった、とか、落とすのも当然だ、とか、いくつかの記事が出ていましたね。事前に警鐘を鳴らすような記事は、いかにも風通しの悪い、ボクシング界におけるジャーナリズムの現状からは、難しいのでしょうね。
今回の試合、当日さる筋から聞いた話によると、挙行の要因のひとつとして、ロサレス陣営が強く希望したことがある、とのことでした。ネリーと違い、本当に落とそうとして落とせなかった比嘉の姿を見て、ロサレス側が勝機大いにあり、と判断した節がある、と。ロサレスは比嘉が計量をパスし、好調だったとしても強敵だったと思いますが、離れた距離での攻防については、ひょっとしたら弱みなのかなと思いました。
田中恒成にとり、木村翔への挑戦は、勝算がある上、TBS主導の大?イベントの一環たりうるのなら、という意味で、目指すものではあったでしょうが、昨年末の視聴率が低かったことや、木村のオプション問題を金銭で解決出来る予算が出なければ、従来通り、名古屋開催、CBC主体での挑戦を模索することになるでしょう。ロサレスはその場合、当然標的になるでしょうね。大柄でシャープなロサレスを、田中がスピードで攻略出来るか、見てみたいカードですね。
さうぽんさん
この件に関して、ロサレスとその陣営は完全なる「被害者」です。彼らはこの試合に向けて練習し、アウェイでしっかりと体重を作ってきました。試合中止になれば、それら全てが無駄になるのですから、試合の実施を望むのは当然です。体調不良の比嘉に勝機を見出そうが何の問題もないと思います。そもそも彼らは希望を伝えただけで、最終的な決定権などありませんし。
意図的ではない減量失敗というのは、まさに比嘉が戦ったエルナンデスがそれにあたります。あの試合のエルナンデスは、明らかに調子が悪そうでした。でも当時、アウェイでエルナンデスの体調を気遣う声がどれだけあったでしょうか。比嘉陣営が体調不良のエルナンデスに勝機を見出して試合を強行、なんて話は誰もしていなかったと思います。
自分はもともと過度な減量に反対、というより大嫌いなのですが、理由は減量する選手自身の健康を害する以上に、相手選手を危険にさらすからです。実質、階級上の選手と戦うようなものですから。さらには相手の減量失敗による試合中止などのリスクまで負わされる。そういう点からも、今回の問題が論じられて欲しいと思っています。
正論による厳しい批判や身内的な擁護、楽観的意見に留まることなく、もちろんそうした中に素晴らしい意見もあるのですが、そんな中厳しくも温かいというか、救いがあるというか、時に心動かされます。
比嘉選手の処分は相応な厳しいものであって欲しいですし、JBCの統一ルール化を待ちたいところですが、これだけスター性を見せてくれた才能がまたいつか、輝く日があればという空想は消えません。
なるほど、もう走り出していた、ということなんですかね。もう少し早めに調整すべきだったのかもしれません。
ロサレス陣営の意向については、仰るとおり、決定権など持たない者の希望、というだけの話です。ただ、彼らは体重超過の相手と闘う危険を、さほど感じていなかった、それが試合中止の要因をひとつ減らした、というのも事実ではあります。勝負とは非情なものである、ということですね。
しかし昨年、体重超過の王者を倒し、今年は逆の立場で王座を失う。運命の皮肉、というに収まらないですね。
対戦相手に及ぶ危険という点では、やはり再計量の時間設定は大きな問題だと思います。今回の比嘉は、その点では不当なほどに恵まれていましたが、終わってみればそういう問題でもなかったですね。
>はっちゃんさん
過分なお言葉、恐縮です。そのような立派なものではないのですが、やはり遠くからとはいえ、会場で直に見ていると、思うところは色々あるものです。比嘉は先の試合後までは、スター候補として栄光の日々を生きていました。それが若い身空で、たったひとつの失態を境に、文字通り世界が暗転し、奈落の底へ突き落とされる。自分が若い頃、そんな目に遭っていたらどうだったろう。自分の心ひとつでそれを受け入れられるものだろうか。もちろん、当然本人の責任だし、責められて仕方ないのかもしれないが、リングの上で、誰が対戦相手を殴る手伝いをしてくれるわけでもなく、身一つで闘っているこの若者のことを、どうして周囲はしっかり護ってやれなかったのだろうか...まあ色々と、です。
今後については、私にはさらなる悲観もあります。然るべき処分があり、その上で、となれば普通ですが、もしこれを最後にリングを去ることになったとて、残念に思いこそすれ、驚きはしないかもしれません。