ということで、昨夜は府立の地下にて、蒸し暑い中、観戦してきました。
全5試合ながら、アンダーカードにも見たい選手が出るし、ということで、
蒸し暑いさなかですが、会場に足を運びました。
メインは久高寛之と奥本貴之の関西対決、ついでに元同門の対戦でした。
初回、2回と、サウスポー奥本がジャブ、左ストレートを当て、右回り。
右サイドへ出て、左アッパー、フック。久高は前に出て、ショートで打ち返す。
やや揉み合いの多い展開。いずれも奥本が先手で、ポイントを抑えたか。
3回、奥本は足を使いつつ、ストレートパンチで捌きにかかるが、
久高が右ショート、左フックをカウンター。見事な当て勘を披露。
久高、バッティングでカット、出血。
4回、久高左右ボディ、右フック決める。久高が連取。
5回、久高にドクターチェック。ショートの攻防、互いに打っては揉み合い。
久高正確に当てているが少ない。手数で奥本。
6回、奥本足使い、久高が押す。
7回、さらに試合は白熱。久高がボディ攻撃。振りの小さい右ショートを再三決める。
奥本も果敢に打ち返す。
8回、久高の流れになるかと思ったが、奥本が左ストレートを決め、手数でもまさる。
久高は疲れたか、上体が前にのめり、バランス悪い。
9回、久高はこの回、2度目、3度目のドクターチェックを受ける。出血はけっこうあったか。
両者果敢に打ち合い、奥本が左のヒットでややまさる?迷う回。
10回、ラストに来て両者、ヒットの応酬。攻防が激しく入れ替わる。
久高が右ヒット、ボディも。連打で追い上げ、奥本きつそうだったが、左から右フック。
左で追撃、久高打たれる。しかし久高また反撃、左右フック。奥本もまた返す。やや久高?
判定は三者とも96-94、奥本。
さうぽん採点は、奥奥久久 奥久久奥 △久 で、95-94、久高でした。
迷ったラストふたつを逆にすれば、公式採点と同じになります。
私は、久高がインサイドから入れたパンチの正確さを採って、こういう採点をしましたが、
久高本人が「やりにくいと思っているうちに終わった」とコメントしているとおり、
単にファイター一辺倒じゃなく、足を使ってストレートで突き放し、久高が来たら右サイドへ出て、
左アッパーを当てる、という風に、闘い方に思ったよりも幅があった奥本が、
要所でポイントを抑えた、という試合だったのでしょう。
もちろん、試合の全てにおいて、奥本の狙いが通じていたわけではなく、久高のインファイト、
ショートの右、ボディ攻撃などは、充分奥本を脅かしていました。
しかし奥本がその都度、果敢に打ち返して相殺し、踏みとどまって、また反撃する。
先制に成功した序盤、苦しかった中盤、両者ぎりぎりのところで踏みとどまった終盤、
いずれも、奥本からその果敢さが消えることはありませんでした。
タイでの15歳デビューから11年、26歳のサウスポーの歩みは、順風満帆だったわけではありません。
しかし、何度も直に見たその試合ぶりは、常に全力、果敢、時には捨て身にさえ見えるもので、
ある意味「これぞプロ」という、強い納得感を覚えたことが何度もありました。
今回の試合でも、奥本貴之は、その闘い方を貫きました。
敗れた久高ですが、従来から持っていた輝きと、厳しいキャリアを経て身につけた果敢さは、
充分に見られたと思います。右ショートの当て勘、ボディ攻撃など、攻め口も色々ありました。
ただ、インファイトに持ち込もうとし過ぎたあまり、負傷もしましたし、
何より奥本の粘りを引き出してしまった面もあるかな、とも。
離れた距離では、奥本の方が優勢らしい、と見えたのも、若干意外でした。
いずれにせよ惜敗でしたが、充分、良い試合をしてくれた、と思います。
関西依怙贔屓全開でいえば、負けた相手が奥本で良かったかな、と。誠に勝手ですが。
逆に言えば、奥本の奮闘には、それだけの納得感があった、ということでもあります。
暑いさなか、両者とも調整は大変だったことでしょうが、なかなかの熱戦を見せてもらえました。
勝ち負け以前に、両者に拍手したいと思います。
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昨日はアンダーカードにも、見たいな、と思う選手が出ておりました。
仲村正男は、フィリピンのマルボン・ボディオンガンを打ちまくり、5回終了TKO。
強い左を、リベットのように打ち込み、足を使って捌き、右強打を打ち込み、連打をフォロー。
仲村は以前の、一撃必殺!という打ち方ではなく、7~8分の感じでヒットを重ね続けました。
ボディオンガンは、打たれても打たれても闘志を見せましたが、5回、右アッパーを好打される。
なおも粘りましたが、セコンドが棄権しました。
仲村、再起二戦目ですが快勝でした。格下とはいえ、骨のある相手でしたが、
全体的な質の向上が見えたように思います。
この上、要所で以前の一発強打が出れば、鬼に金棒です。今後が楽しみです。
引退かと目されていた40歳、野中悠樹は、タイのミドル級王者マタワット・マサムインに
大苦戦の末、判定勝ちでした。
サウスポー同士なんですが、小柄なマタワットが引いて、野中が追う流れ。
マタワットは自分からはほぼ打たず、野中が打ったら、外して左を被せ、右返す。
本当にそれだけなんですが、意外に目が良く、上体が柔軟で、野中がミスしたところに、
何度か左がクリーンヒットし、場内どよめく場面も。
野中は得意な展開ではないことに加え、ウェイトもミドル級オーバーで、身体の切れも悪い。
単発ながら左を当て返し、ボディ攻撃も見せ、判定は3-0で野中でしたが、
これ、見方次第で逆あるやろ、と思ってしまいました。
まあ、ほぼ全部、待ちっぱなしのマタワットに、勝つ意欲が欠けていた、とも言えるでしょうが。
昨年の新人王戦で、ウェルター級西軍代表だった安達陸虎は、
インドネシアのマキシ・ナハクを、3回左フックのダブル(下→上)でKO。
ウェイトが意外に重く、158.5ポンドでした。今後は上のクラスで闘うのでしょうか。
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ところでこの興行、TVはなくとも、BoxingRaiseで配信などあるのかな、と思っていたら、
今月に入って配信予定が出ていません。この辺は気がかり。
※BoxingRaiseにて、動画がアップされていました。
先日の久我ー和氣戦も見られます。ひとまず安心です。
まあとにかく、ほなら会場行かなしゃあない、と思って足を運びましたが、
チケットの価格が、この暑さにやられて正気を失っているのか、と聞きたくなるようなものでした。
府立の地下で、リングサイド3万から始まって、2万、1万5千、1万と来て、立ち見でも5千円。
先日の中谷正義、富岡樹戦も同様の設定でしたが、これを額面通りの価格で買う「一般客」は、
いたとしてもきわめて少数派でしょう。
しかも、メインの両者が地元大阪の選手であり、さらにアンダーにも、仲村、野中、
そして井岡弘樹ジムのホープ安達が出たので、それぞれの選手やジムの応援や後援の方々が
あの狭い府立の地下で、一堂に会したわけで、当然、場内盛況。
そのため、人の熱に冷房が負けてしまったか、非常に蒸し暑い。
もはや「異様」と言っていい価格設定でありながら、見る者に忍耐を強いる状況は、
まあボクシングファンなら慣れっこではありますが、やっぱり、あらゆる意味で、
ここは「閉ざされた空間」やなぁ、としみじみ思わされました。
アンダーからメインまで、見せ方次第で、もっと多くの人に見てもらえるものなのになぁ、
本当にもったいない...と、そんなことを、いつもどおりに思った次第です。