昨夜は大田区総合体育館で観戦してきました。
あまり長くならないように、感想を。
立ち上がり、当日65キロ(!)まで増量したという、ジェイミー・マクドネルの背中は、
異様に大きく、長いリーチの構えが、見て立った井上尚弥を圧しているように見えました。
しかしそれもつかの間、さっそく左フックで切り込んで下がらせ、鋭く追撃。
左フックが下にも上にも決まり、あっという間に最初のダウン。
再開後の追撃の際、危ない角度でマクドネルの右が来るが、
ガードの上からでもお構いなしに打ちまくり、あっという間のTKO。
あまりの勢いに、レフェリーが恐怖を感じて止めたかのようにさえ見えましたが、
後で見ると、セコンドも棄権の意志をあらわしていたようでした。
それにしても、試合の一週間前くらいから、あれやこれやと連日、まあ賑やかなことでした。
来日直後から、痩身のイメージだったジェイミー・マクドネルの、予想以上の体格と、
どうやらかなり大規模な「水抜き減量」を計画しているらしい様子が報じられると、
最近のあれこれを経ているこちらとしては、やはり疑心暗鬼に陥りました。
またしても計量失格の事態が繰り返されるのではないか。
それがどのような意図の元でなされるのか否か。
スコット・クイッグ、ポール・バトラーに続き、英国人ボクサー三連発があるのか。
まあ、悪い想像はあれこれと膨らんでいきましたが、
結局、マクドネルは計量に遅刻しながらも、118ポンドのリミットをパスしました。
本来、それで当然、試合の前提条件でしかないことでしたが、
なんだかこの時点で、マクドネルを称えたいような気持になっていました。
ただ、試合当日、マクドネルの体重が、65キロを超えているらしい、と知ったときは、
さすがに驚き、また別の不安が心中に湧き上がってきました。
井上もライト級くらいまで戻るかもしれないが、それにしても異様な数字でした。
バンタム級ボクサーとしては、史上最重量(?)と思しき相手が、
リーチを生かしてストレートパンチで突き放し、構えを締めて「堅陣」を敷いたら、
いかに井上といえども、難しい展開があり得るのではないか。
井上圧勝への期待は当然ありましたが、転級初戦としては厄介なことになったものだ、とも。
しかし、何かと普通ではない懸念、不安のあれこれを、井上はあっという間に吹き飛ばしました。
まさしく怪物、本物のスター、真のチャンピオンたる者の仕業、というしかありません。
良し悪しあれこれ、禍々しい話も含め、ボクシングとは、どんなに強いボクサーにとっても、
様々に険しい闘いではありましょうが、それらを全て、己の力でもって乗り越え、
驚愕を伴った爽快感を与えてくれる、稀有なる存在。
割れんばかりの歓声を聞きながら、改めて、井上尚弥の偉大を実感することが出来ました。
と、まあ固い表現をすればこんな感じですが、改めて惚れ直しましたね、ええ。
キャー、尚ちゃんステキー、カッコいいー!という感じでした(^^)
我ながら、ちょっと気持ち悪いですが...すみません。
さて、試合後は、遂にWBSS参戦表明がありましたね。
日本のリングで、この手の「次の展開」を語る成功例は、
畑山隆則による坂本博之戦決定が上限かと思っていましたが、
何しろ世界規模の大イベントへの参戦を宣言したのですから、
これもまた、歴代の先達を超えてみせたといえるでしょう。
そして、遂に「黄金のバンタム」への、本格的進攻が始まるわけです。
今後、この大会がどのような形で開催されるのかは、まだ不明ですが、
大会の一部は、国内で開催されることでしょうから、当然、観戦しないといけません。
その際は、ぜひとももう少し大きな「ハコ」でやってもらえたらいいなぁ、と。
いや、大田区総合体育館は、良い試合によく当たる、験のいい会場ですし、
全体的に見やすくて、素晴らしい会場ではありますが、やはりもう一回り...。
で、出来たら国技館か武道館がいいですね。見やすいし、アクセスも良いし。
広いこた広いけど、見にくい会場はやっぱり厳しいですね。
昨夜の興行は、6試合あったのですが、1回、1回、3回、1回、2回、1回と
アーリーKOの連発で、当然休憩の嵐が吹き荒れておりました。
しかし、最後は、終わりよければ全てよし、という感じで収まりました。
試合後、帰路につく人々が一様に笑顔で、高揚していたように見えました。
スーパースターというものは、勝利によって人の心を高揚させ、
さらなる期待によって、さらに人の心を満たすものなのです。
やっぱり、こうじゃなくちゃいけませんよね(^^)