さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

またも露わになった、畏るべき殺傷本能 三浦隆司驚異の逆襲、最終回KO勝ち

2017-01-29 14:51:19 | 海外ボクシング



生中継を見終えました。
まずは簡単に感想を。

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三浦隆司vsミゲル・ローマン戦は、中盤まで「これは具合悪いなー」という試合でした。

小柄なローマンは、高くて締まったガード、広いスタンスで低い重心を設定し、
小さい割に遠く、懐が案外深い。
三浦にとって、なかなか打ちにくい的になっていました。
そして、三浦が打ちに行くと腕を固められてしまい、そのまま打たれてしまう、という流れ。

これで相手のペースを崩し、執拗な連打で攻め込む、攻め落とす、という
過去のローマンの試合で見られたパターンに、三浦はきっちりはまっていました。


しかし7回、三浦が一打ごとに獣のような声を上げて打っていき、試合の様相が変わっていきます。
「今時やないなあ」なんて冷やかしをも飛び越えた、見ていて怖くなるようなその様は、
必ずしも高い頻度でのクリーンヒットを取れているとも見えず、また、こんな打ち方、攻め方をしていたら
次の回以降に失速するのではないか、それにほぼ完全に防御を忘れているではないか、等々、
こちらの気落ちをざわつかせるものでもありました。

実際、回が進むにつれ、軽打が多かったとはいえ、相手のパンチを、かなりの頻度でもらい続けていました。
ローマンの右アッパーを巧くブロックしたり、右フックをダックしたりは、序盤の何度かだけ。

フランシスコ・バルガス戦で見られた「決壊」が、再び繰り返されるのではないか、と思いつつ、
しかしながら、三浦が露わにした「殺傷本能」剥き出しの姿を見て、震えるような気持ちでもありました。

10回、ラスト10秒切ってからの、刃物で斬り付けるような左ボディブローは、普通のボクサーでは到底打てない、
三浦隆司のそうした本能故に決まった一撃だったというべきなんでしょう。

11回「ストップ用」の連打で倒し、最終回は得意の左一発がようやく決まり、KOとなりましたが、
序盤の劣勢を覆したのは、技術でも戦略でもなく、さらに言うなら「闘志」という言葉すら飛び越えた、
三浦隆司の「キラー」な部分だった。そう思います。


どの試合でも、どんな強敵、難敵相手でも、結局は試合そのものをスリラー、恐怖劇に変えてしまう。
常識では測れない殺傷本能の持ち主、三浦隆司の闘いは、ミゲル・ベルチェット挑戦へと続きます。

この日の試合ぶりを見る限り、大柄でスピードのあるベルチェットがスタートから飛ばしてきたら、
三浦がそれに追いつく時間が足りない、或いは最初からほぼ無い、というような試合展開を想像してしまいます。

しかし、試合の端緒がそのようなものであろうとも、結果が仮に厳しいものであるかも知れずとも、
三浦隆司がその試合を闘う以上、「それだけ」では済まない何事かを見ることになるのだろう、とも思います。

そして、勝ち負け以前の、その何事かに、何よりも心惹かれてしまっている。それが正直な気持ちです。
またしても震えるような闘いぶりでした。
勝利だ敗北だという以前に、これぞ三浦隆司の試合だった、というに尽きる。
今日の試合はそんな試合でした。


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それにしても、この4人をどう組み合わせようと、尋常ならざる試合になるだろう、と
事前に充分想像はしていましたが、いざ実際に、こういう試合を立て続けに見ると、しばし言葉を失います。
そして、WBCのこの辺のクラス上位のメキシカン達の中に、日本人のボクサーが一人混じって、
違和感なくどころか、ひときわ異彩を放ってしまっていることにも、また。

改めて三浦隆司の偉大さ...というか、凄さには、尊敬というより畏敬の念を抱きますね。



コメント (16)
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