さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

立ち上がり、構えた時点で強さが見えた 坂晃典、ランカー初戦は91秒で圧勝

2015-10-10 14:50:19 | 関西ボクシング



昨夜は阿倍野区民センターで観戦してきました。
4回戦から好ファイトが多く、その流れがセミ、メインまで続く、見応えありな興行でした。


セミでは4月に京口竜人を劇的な逆転KOに下し、
日本ランク入りを果たした坂晃典
が、ランカー初戦で橋本和樹と対戦しました。

彼の試合は何回か観てきましたが、内容的に「外れ」がない、という印象で、
見に行くこちらとしては、結果以前に信頼感のあるボクサーです。
メインに出る大沢宏晋との激戦、京口相手の逆転劇を経て、上位進出を目指す坂お目当てに
会場に足を運んだわけですが、結果として、想像以上に坂の強さを感じる試合になりました。


そういうことで試合展開ですが、初回、立ち上がり早々から、ガードを高く構える坂が、
その時点ですでに橋本を圧しているように見えました。

橋本は右を打っていくが、坂がジャブをボディへ。そしてアッパー、クロスと右ヒット。
続いてボディから上へと左アッパー。橋本のガードを破り、重量感あるパンチを立て続けに打ち込む。
赤コーナー側で橋本、たまらずダウン。立ち上がるが坂、力強い詰め。
最後は右アッパーが決まり二度目のダウン、ここでストップでした。


初回91秒TKO、倒した流れはもちろんのこと、始まった時点で、坂の構えた姿から、
これまでの試合とはまた違った力強さを感じました。
妙な表現ですが、そのせいで、その直後の短い試合の決着も、普通なら衝撃的なもののはずが、
どことなく「さもありなん」な感じに見えてしまう、というくらいに。

京口戦での勝利とランク入り、専門誌にも注目ボクサーとして記事が載り、
これまで以上に応援する人も増えてきたであろう坂晃典は、どうやら今、
ボクサーとして確実に上昇期にあるようです。
今後、さらに「上」の相手との対戦があるのでしょうが、楽しみに見ていきたい選手です。


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メイン登場の大沢宏晋は、15戦13勝(8KO)2敗の山口翔太と対戦。

長い距離を維持すれば、大沢のジャブ、ストレートが生きる展開になりますが、
山口が立ち上がりから素早く身体を寄せて連打。
大沢は、敢えて?その流れを断ち切ろうとはしない風で、
ショートの距離で打ち合いに応じる。

山口はパワーでは劣るが、手を出せる距離になったこともあり、果敢に上下の連打を飛ばす。
パンチの切れ、力でまさる大沢が要所でジャブ、右クロスを決めるなど、パンチの効果で抑えるが、
相手に打たせる機会を与えすぎる、という印象でもありました。

それでも地力の差ははっきり。2回、大沢の右で山口、左瞼カット。
3回、右ストレート、ワンツーが立て続けに決まり、さらに出血とダメージ。
ところが4回、山口の手数に若干押され気味、この回は大沢が少し見たのかもですが。
5回、山口の奮闘続く、と見えたのですが、見た目以上にダメージがたまっていたか、急に失速。
山口スリップダウンのあと、動きが止まる。大沢が連打すると、山口が最後は背を向けてロープにもたれる。
ここでレフェリーがストップしました。

大沢はこの多士済々なこのクラスで、再びタイトル戦線に絡んでいけるか、マッチメイクの難しさもあるでしょうが、
パンチの切れや正確さは、充分上位とも闘えるものを見せていました。
今後はより厳しい距離の維持、慎重な防御が求められるでしょうが、そこはちょっとだけ不安も見えました。




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ひとつ、今回の試合で気になったこともあります。坂晃典の対戦相手、橋本和樹についてです。

この選手、8月1日にメキシコに遠征し、ご存じジョニー・ゴンサレスと対戦、2回TKO負けを喫しています。
そして昨夜の試合に出場。試合間隔は約70日です。JBCルール39条では、KO・TKO負けから
「原則として」90日経過せねば、次の試合に出場は出来ない、とあるにも関わらずです。

負傷TKOの場合は、ドクターの診断により例外も認められますが、Youtubeで見たゴンサレスとの試合は、
早々からヒットを重ねられ、左フックにジャブをフォローされて後方に飛ばされダウン、
立ち上がったがレフェリーが試合をストップした、という流れでしたので、この例外にも該当しません。

選手も陣営もそれぞれに、試合の話を潰したくないという心情、ないしは事情があるかもしれません。
しかし厳然とルールが存在するのに、どういう理由で、或いは理屈で、例外を認めたのかを、
誰一人、公に発表せず、メディアもその事実に言及すらせず、試合が成立し、挙行されている。

その事実に対して、いちファンの率直な感想を言うなら「薄気味悪い」の一語です。
ルールというものを軽く見ているのか、もっと言えば舐めているのか。
そういうことではない、というなら、何か得心のいく話のひとつも聞かせてもらいたい。
率直にそう思います。


コメント
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