さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

野中悠樹、大一番を制す 強敵チャーリーをポイントアウト、前王者細川と対戦へ

2014-12-29 19:20:25 | 関西ボクシング



昨日は住吉区民センターにて観戦してきました。
速報したとおり、野中悠樹がチャーリー太田に判定勝ち。
私は6-4か7-3で野中の勝利、小差だとしてもドローもない、野中の勝利だと見ました。
いわゆる「地元判定」とは違う内容で、これで割れるか、と少し意外にも思いました。

展開は前半は予想通り、野中が良く、左を上下に散らして先制、右ジャブも適切に出し、
強打はなくともヒットを取ったらサイドに出る。長身、リーチを生かすボクシング。

対するチャーリーは前半、見て立つ感じ、これも予想通り。
過去の試合でも、敢えて前半抑えて後半に力を出し、山を作る展開がありました。

野中は単発のヒットを許しても、手数で必ずまさっていたので、前半終わって野中リードは明白。
と思っていたら、公式採点が三者三様のドローと出て、この時点で読みが外れた感じ。

そして後半、もうひとつ意外なことに、チャーリーの「追撃」が、少々迫力に欠けました。

野中は懸命に打っては動き、という繰り返し。左ストレートを上下に、アッパーを下に、
時にアウトサイドからスイング気味に、と打ち分け。打つ時は決して逃げ腰というではなく、
わりとしっかり打ってから動くので、チャーリーが思うように出られなかった部分がありました。

しかし、それでも敵地で、あれだけ足を使われて、手数で劣っている展開で、
チャーリーの闘いぶりから、切迫感が伝わってこないようにも見えました。
途中採点がイーブンだったことで安心したわけでもないでしょうし。

右の強打は単発で、ときに野中をのけぞらせ、鼻血も流させましたが、それ以上に野中の左を打たれ、
追撃を足で外され続けているのに、どうしてもっと追い上げ、打ち込もうとしないのか。

あくまで見た目の印象でしかないですが、左と右、長身と短躯、スピードとパワーという対比において
両者の間に大きな差はなかったように思います。
結果、より懸命に、必死に闘った、闘い得た野中の方が勝った。
そういう試合でした。


試合後は、前日本王者で、先日IBFアジア王座を獲得したという細川貴之がリング上がり対戦要求する一幕も。
会場ではマイクの使い方がまずく、肝心の野中の声がよく聞こえなかったんですが、どうやら対戦受諾のようです。

もっとも、一連の経緯や、元々ジュニアライトだった選手を倒して取ったタイトルにまつわるあれこれには、
どないなものかなという気持ちも当然あるわけですが、本来やるはずだった試合を避けずに実現するのだから、良いことでしょう。
カーニバルのカードとしても条件をクリアしているのでしょうし、正式発表を楽しみに待ちたいですね。


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セミファイナルでは久々に関西の古株レフェリーが大技を披露してくれました。
見ていて情けないやら恥ずかしいやら、です。

仲村正男とレイ・ラバオ、東洋上位の強打対決、しかも共に前半強く、立ち上がり早々に倒す試合も多い者同士。
「ジャッジ無用」が売りの仲村に、こんな相手をぶつけたら、話が早い決着になるに決まってるやないか、と
期待半分不安半分でゴングを待ちました。

試合は最初から鋭く力感溢れる強打が飛び交う、予想通りの展開。
仲村がワンツー、右を何度も叩き付ける。強烈だけど、同じリズム、パターンを繰り返すのが不安。
そして対するラバオが、意外なほど、この右を左ガードで受け止めて巧く防いでいる。
ただし若干前にのめり、打ち返す左にミスが多い。

これはどっちの目が出ても不思議の無い、スリリングな打撃戦...と思った矢先、ラバオの左。
仲村痛烈なダウン、立つがダメージ歴然「足が藁になっている」状態。スリップが一度あった後、二度目のダウン。
また立つがラバオが仲村に追撃、あとわずかでゴングというところでレフェリーが両者に割って入り、手を振る。

妥当な、というよりこれでも遅いけど、やっとストップになったか、と安堵した直後にゴングが鳴り、
仲村陣営がレフェリーに何事か抗議。すると、ストップになったはずの試合が続行され、2ラウンド目が始まりました。

出ました、これぞ上方忍法「今のナシ」の術!

...しょうもないことを言うとる場合ではなく、試合は続行。
ダメージ甚大の仲村、懸命に反撃しますが続かず、右で倒されて、今度こそ試合はストップ。

余計なダメージを受けた仲村が心配になりましたが、全試合終了後、会場出口で観客を見送って挨拶する
選手やスタッフの中に姿があり、どうやら大事ではなかったようで、安心しました。


このスリリングな打撃戦、結果こそ仲村勝利を願う我々には残念ではありましたが、
中立的に見れば迫力満点、無責任な野次馬根性をも満たす、貴重なスペクタクルと言える一戦でした。
そして、この短くも激しい試合を、文字通り命懸けで闘った両者に対し、誰もが心の奥底で敬意を表し、
拍手を送ったはずです。しかしそれに、ようもこんな、阿呆な茶々を入れてくれよるものやな、という
レフェリーに対する怒りの感情が、どうしても消えません。

どうも関西においては、管理運営組織の長が変わる度に、レフェリーやジャッジのモラルに大きな変動があるようです。
数年前まで中央のトップだった、度々関西や中部のリングサイドに姿を見せてメガネ光らせてた方が放逐されてから、
徐々に「先祖返り」「元の木阿弥」という印象がありましたが、久々に「大技」が出たな、という感じでした。


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この日はアンダーカードでも好ファイト連続。

菊地永太は久々に?好調、高田小次郎をアウトボクシングで制して快勝。
ベテラン丹羽賢司は、ストロング小林祐樹(えらい名前ですな)を相手に、ちょっとホプキンス風味?の
技巧のボクシングでダウンを奪ってこちらも快勝。

工学部の現役大学生という新人、坂本真宏は、1戦1勝の戦績を持つ平沼祐介とデビュー戦。
小柄だがリーチがあり、がっちりした上体の坂本、離れてジャブがよし、接近してもショートがよし、好選手。
相手の平沼がまたなかなか強く、好ファイトでした。判定で勝った坂本、新人王戦に出るらしく、楽しみです。


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ということで、前座からメインまで、実力伯仲の好カードが並び、それぞれの選手がその状況において
今後を大きく左右する闘いに挑むさまを立て続けに見ることが出来た、充実の興行でありました。
勝った選手も負けた選手も、己の未来を、己の拳で切り拓くため、懸命に闘っていました。
セミの余計な茶々を除けば、とても清々しい気分になれた一日でした。

選手と関係者の皆さんに感謝です。
来年以降の、さらなる健闘を祈りたいと思います。




と、言うてるケツから明日、千駄ヶ谷です。
我ながらようやりますが、こればかりは仕方のないことです。
どう仕方がないんや、と言われると言葉に窮しますが...。

結果だけになるかもしれませんが、一応、速報もやるかもしれません。
こちらです。
TV見るから結果を知りたくない、という方はご注意ください。



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