さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

挑戦者への奇妙な期待と、不安と懐疑 フェリックス・アルバラードは井岡一翔にどこまで迫る?

2013-12-28 07:28:23 | 井岡一翔


WBAライトフライ級モラトリアム王者、としか表現しようのない境遇に身をやつしている
井岡一翔の試合が、三年連続で大晦日に行われます。

最近、この試合のプレビューを兼ねたドキュメント番組やニュース映像をいくつか見ましたが、
実に格好良い作りの映像、井岡に密着した取材と、過去試合の詳細な分析で構成された番組は、
きっと普段、ボクシングに興味を持たない視聴者層にも、強い印象を残すであろう、出来の良いものでした。

しかし、残念なことに、TBSによる、ローマン・ゴンサレスの存在を完全に無視した上での「喧伝」は、
井岡一翔というボクサーの、真の現状を、見る者に知らせる意志が全くないものでもありました。
「報道」の意志を欠いた「プロモーションビデオ」の枠内にしか存在しない一連の番組を見て、
またも井岡一翔という逸材に対し、残念な気持ちが先に立つ不幸を感じています。


今回の挑戦者は「仮想ロマゴン」というような表現がされるように、
同じニカラグア人で、KO率の高い強打者という共通点が喧伝されています。
フェリックス・アルバラードという、名前の格好良さが抜群の、この選手は、
その戦績や、ローマン・ゴンサレスとのスパーリングも含む映像において、
軽量級としてはなかなかの強打を披露しています。

しかし、見た映像の限りでは、ボクシングの作り自体は、そんなに上等にも見えませんでした。
いわゆる「いいの当てた後は、確かに強い」と見える選手ですが、その過程において
世界一流の秀でた何かが見えたかというと、正直、なかったですね。
もちろん、井岡との試合で、映像では見えなかった布石の部分に光るものがあって、
それが井岡を脅かし、追い詰め、ひょっとすると仕留めるようなこともあるのかも知れませんが。


この試合への期待は、基本的には井岡一翔の勝利です。
しかし、過去に何度も書いたとおり、井岡一翔の現状に対し、不満を持つこちらとしては、
せめてこの挑戦者が、ローマン・ゴンサレスと同等とはいかずとも、
中南米の強豪選手に相応しい力量を発揮して、ロマゴン戦が実現しない「空漠」を
少しでも埋めるような試合になってほしい、という願望もあったりします。

一番嫌なのは、挑戦者が思いの外弱く、あっさり勝った井岡が発するであろう、
ロマゴンを完全に無視した(お仕着せの?)自賛コメントを聴かされることですね。
ことに前回の試合のやつは、本当にいたたまれない気持ちになりました。

とはいえ、井岡が負けるくらいに強いというのも困る、という、
何とも勝手な想いもあったりして、我ながら、何だかわからんな、という感じではありますが。


とにかく、この試合は挑戦者がどんな感じかを見るのが楽しみ、という部分が大きいですね。
ツボに嵌まればえらい強いかも知れませんが、的を外せばとんでもなく脆かったりもしそうですし...。

そんなことで、挑戦者に対する、不安と懐疑と、妙な期待をもって、大晦日のゴングを待つとします。
見てるこちらの、現状への不満を、少しでも忘れられるような試合になってくれたら、幸いですが。

コメント (2)
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