さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

生中継三連打

2012-07-08 17:39:06 | 海外ボクシング
今日は朝からボクシング生中継三連発という、とんでもない日曜日でありました。
考えたら、世界中探しても、この三試合を全部生中継で見られる国は無いのかも知れません。
ありがたやありがたや、ということで、ざっと感想を。

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早朝のスイスからの生中継、ウラディミール・クリチコvsトニー・トンプソンの再戦でしたが、
終始ウラディミールが圧力をかけ前進、トンプソンは左を単発で返すも押し込まれ、
6回に右を食って倒され、立ったがテンカウント。またしてもクリチコ兄弟の牙城揺るがず、でした。

試合内容はもう、ここ何年も見てきたとおりのものを踏襲している感じです。
この試合より、カール・フロッチvsルシアン・ビュテを生中継してくれんかなぁ、と思いました。


しかし米国のヘビー級には、もうちょっとなんとかなった選手が出てこないものでしょうかね。
悪いですけど、一昔前だったらこの程度の選手、世界戦には出てこなかったように思うんですが。
身体にも締まりがないし、腕ひとつとってもひ弱な感じ。一目見て怖さがない。動いたらやはりその通り。
いくらクリチコ兄弟が強いといっても、ここ数年、ろくに苦戦する場面もないというのはどうなんでしょう。

ポスト・アリ時代に終止符を打ち、ヘビー級ボクシングに栄光の日々を取り戻したかに見えた
「黒いマルシアノ」マイク・タイソンの転落と、それにまつわるドン・キングを中心とした
悪辣なマネージメントの実情が詳らかにされたのち、米国の若きフィジカル・エリートたちは
ボクシングジムに足を向けなくなった、という話を聞きますが、原因はどうであれ、
はっきりと人材の枯渇を感じます。


そろそろ兄のビタリの方は、引退して政界進出とかいう話も出ているそうですが、
遠からずそういう時がきて、この兄弟がヘビー級シーンから去ったとしたら、
その後にはいったいどういう風景が見えるんでしょうか。
かつて「ヘビー級が動くが如く、ボクシングは動く」と言われた階級は、
いよいよ荒涼の地となってしまいそうですね。

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さて11時からは、総合格闘技UFCの生中継があり、その後にノニト・ドネアの試合がディレイ?で放送。
相手はIBF王者、122ポンドで180センチの長身、ジェフリー・マセブラ。

ここ2試合、結果が判定なもんで、停滞気味と言われるドネアですが、
急速に階級を上げた影響で、今までの感覚で倒せていたものが倒せないというのが実際のところでしょう。
今日もまた、その感じは続いているように見えました。

相手のマセブラがまた、いかにも倒しにくいボクサーで、4回にダウンを奪ったものの、
その後は単発のヒットはあるものの追撃は出来ず、判定勝ち。
やはり、いいの当てたあとに、もっと多彩な追撃がなければ、そうそう倒せるものじゃないですね。
フェザー級転向以降の長谷川穂積にも通底しますが、より多くのヒットを取り、攻めに工夫をして、
下の階級で倒せていたのとは違う感覚のボクシングをする必要があるのでしょう。

さて、試合後、インタビューではドネアの隣に西岡利晃がいて、仲良く肩を組んでおりました。
通訳がいなかったので、西岡には最後に話が振られたのみ。
それでも西岡は「ダイヤモンドベルトを賭けてドネアと闘いたい」とコメントを残しました。
ドネアやボブ・アラムは、西岡戦を明言はしませんでしたが、こうしてアピールしたことが、
今後の展開に良い影響を与えてほしいものです。

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さて、ドネアvsマセブラと時間が少しかぶりましたが、横浜の佐藤洋太vsシルベスター・ロペス戦は
佐藤がスピードとリーチの差を生かし、やはりスローで踏み込みが遅かったロペスをほぼ完封。
3-0で勝利、初防衛なりました。

いくつかの動画で見た限り、やはりロペスは、佐藤の距離を殺す踏み込みの速さがありませんでした。
加えて膝がやや硬く、重心が降りないし、上体が立っているので佐藤からすれば、ジャブや右クロスが打ちやすい。
いい距離や角度がとれれば生きるであろうロペスの強打は、ほとんど生かされる場面がありませんでした。

佐藤は時折見せた、横向いて歩くパフォーマンスが玉に瑕でしたが、
ややスローテンポな展開からクイックな動きで右を決めたり、緩急を生かしたボクシングが見られました。
完全にスピードで勝っていたせいもありますが、ロペスの強打をほとんどもらわず、完勝でした。
相手が世界1位という肩書きほど強くはなかったですが、初防衛としては上出来の部類でしょう。

なんでも、次の相手にあのご兄弟のどれかが、なんて話もあるようですが、
今日見た限り、よほど体調が悪かったりしなければ、どれが来ても...でしょうね。
ということは、結局は誰も来ないでしょうから(笑)、話はスリヤンとの再戦がどうなるか、です。
前回の試合をふまえて、スリヤンが佐藤の距離をどう殺すか、佐藤がそれにどう対するか。
しょうもない連中との試合なんかより、こっちのがよほどあれこれ想像できて楽しいですね(^^)


ロペスの意外なほどの芸の無さと共に、もうひとつ残念だったのが会場の雰囲気でした。
かなり空席が目立ちましたし、盛り上がりもいまひとつでした。
佐藤がやっているボクシング自体は、ダウンシーンの有無を除けば、前回のスリヤン戦と同じく、
ことによってはそれ以上の内容を感じましたが、どうもロケーションが良くない。
TVのスケジュールが絡むと、なかなか難しいかも知れませんが、
次回は後楽園ホールでやれたらいいですね。


コメント (4)
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