非国民通信

ノーモア・コイズミ

悪いことばかりでもない

2020-09-27 23:19:31 | 雇用・経済

終電前倒し、背景にある深夜作業「数日でやめる若者も」(朝日新聞)

 JR西日本が来年3月から、近畿の主要な路線で終電時間を大幅に早めることに決めた。背景には、深刻な保線作業現場の人手不足がある。「休日が少ない」などの理由で離職が後を絶たず、人が足りないと仕事はきつくなり、さらに人離れが進む――。そんな悪循環に、新型コロナウイルスが拍車をかける。(古田寛也)

 

 曰く、人手不足に~新型コロナウイルスが拍車をかけるとのことですが、どうなんでしょうか。普通に考えれば逆であるように思います。景気が悪化すれば求人は減って失業者が増える、低賃金重労働の仕事でも選ばざるを得ない人が増える、それが世の常です。不人気職種ほど、人の不幸で恩恵を受けるはずですが。

 第二次安倍内閣発の初期は景気と雇用が急回復して、いわゆるブラック企業ほど人手不足に悩まされたものです。ワンオペで深夜営業が当たり前だった店舗が24時間営業の中止に追い込まれる等々、普通に考えれば好景気によってこそ人手不足が起きるのですが、記事では真逆になっています。引用できませんが、有料会員限定の部分に何かオチがあるのでしょうか。

 

首都圏の在来線、終電30分繰り上げ JR東、来春から(朝日新聞)

 JR東によると、新型コロナウイルスの感染拡大後、特に深夜帯で利用者の減少幅が大きいといい、平日午前0時台の山手線では感染拡大前から6割以上減った。一方で、線路の保守・点検に充てられる終電から始発までの時間は首都圏の在来線で200~240分程度と限られる上、ホームドア設置などの工事が以前より増える傾向にある。

 

 なおJR東では終電時間を早めるのに別の理由を挙げています。こちらの方が、新型コロナウィルスの感染拡大とは繋がって聞こえますね。通勤のピーク時間帯に関しては「コロナ前」とほとんど変わらない混雑状況に逆戻りしてしまっている一方、深夜帯に関しては6割以上の減と今なお大きな変化が続いているそうです。

 結果として、保線作業については少しだけ時間に余裕が生まれるようです。僅かながらも労働環境の改善に繋がりますから、まぁ良いことではないでしょうか。後は深夜作業の負担に見合うだけの賃金水準を設定できれば、人手不足なんて瞬く間に解決します。好況時ならいざ知らず、今は職を失う人も多い時代なのですから。

 前にも少し書きましたが、コンビニの24時間営業や小売チェーン店の無休営業は昨今ようやく批判的に見られるようになってきました。従業員の負担を考慮し、24時間営業、無休営業を取りやめるところも増えつつあります。じゃぁ飲食店の深夜営業はどうなんだろうと私などは思うところ、労働者の待遇改善のために閉店時間の繰り上げがあっても良さそうです。

 飲食店の超長時間労働は以前より知られるところでしたが、新型コロナウィルス感染拡大で期せずして閉店時間が前倒しされたことで、その労働環境はどうなったのでしょうか。どうにも店舗経営の苦境ばかりが伝えられますけれど、JR西の保線作業員も飲食店の従業員も、コロナ以前から同様の問題を抱えていたように思います。

 今年のインフルエンザ感染者数は、昨年の同時期に比べて激減しているそうです。病院に行きづらくなった人も多少はいることでしょうけれど、コロナウィルスへの感染拡大対策のために不衛生な習慣が減った、少しだけ他人との距離に気を遣われるようになった結果として、インフルエンザの感染も大幅に抑制されていることが伺われます。

 特定の業界にしわ寄せが行ってしまう辺りは不幸なことなのですが、その反面では良くなっていることも多いと感じています。これまで大半の企業ではテレワークなど制度上だけの存在、架空の概念ではなかったでしょうか。それが突如として現実に利用できる制度となったのは、新型コロナウィルスの感染拡大があって初めてのことであるはずです。

 コロナがなければ日本にテレワークなんて何年経っても実現されなかったことでしょう。コロナがなければ、深夜営業も深夜の突貫工事もそのままです。コロナがなければ、野放図にインフルエンザウィルスもまき散らされていたことでしょう。新型コロナウィルスの感染拡大は、改革派の政治家なんかよりはずっと良い仕事をしているように見えます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 変われば良いというものでも... | トップ | 人事の意図 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

雇用・経済」カテゴリの最新記事