序文
折に触れ言及してきたことですが、ガザで起こっていることを日本国内の主要メディアは軒並み「イスラム組織ハマスによる奇襲攻撃を受け~」と伝えてきました。これでは戦端を開いたのがパレスチナ側であるかのように見えてしまいます。ただ、それも報道の狙いではあるのでしょう。現実にはイスラエル建国以来の度重なる侵略の中でハマスによる反撃がたまたま成功しただけに過ぎないのですが、こうした過去からの経緯を「敢えて伝えない」ことで我が国の世論はコントロールされてきたと言えます。
他にもイランとアメリカの対立について、やはり主だったメディアはイラン革命から説明を始めることが一般的です。しかしイラン革命に先立って海外資本による収奪があり、それを転換しようとしたモサデク政権に対するアメリカ主導のクーデターがあった、革命による親米傀儡政権の打倒は理由なく起こったものでは決してなく、そこに至るまでは当然の経緯があったと言えます。他にキューバ、ニカラグア、ベネズエラ等々、「反米」とされる政権も然り、今に至るまでの歴史が我が国で語られることは稀ですが、決して故なくして現在があるものではありません。
そしてウクライナではロシアとNATOの勢力争いが続いていますが、これも2022年から始まったかのごとくに語られるのが専らです。しかし当然ながらこの戦争にも前史はあるわけで、ただ一方の側に不都合であるために黙殺されているだけ、と言えます。ロシア軍の直接介入に至るまでの事情を知れば、一概にロシア側を批判できない、むしろ大義が認められかねない、そんな背景があるが故に敢えて無視されてきた、そうしてNATOの代理人として戦うウクライナを盲目的に応援する世論が作り上げられてきたのが実態でしょう。
そこでロシアと現在ウクライナと呼ばれている地域に関わるところを軸に、これから数回に分け歴史を少しばかり振り返ってみようと思います。
第一章:キエフ・ルーシの時代からソヴィエト連邦の時代まで
第二章:ロシア帝国、及びソヴィエト連邦の支配者達
第三章:ロシア・ウクライナを取り巻く往年の連邦構成国
第四章:ウクライナ、崩壊への歩み
おまけ:未来を占う