非国民通信

ノーモア・コイズミ

本当の台湾

2022-11-27 23:33:07 | 政治・国際

 さて26日には台湾で統一地方選挙が行われ与党の大敗であると伝えられています。隣国の人間として理解しておくべきは台湾の有権者にも様々な立場があり決して一色ではない、と言うことですね。日本のメディアに登場するウクライナ人が例外なくゼレンスキーの信奉者でロシアに対する勝利を渇望しているのと同様、日本のメディアに登場する台湾市民は反・中国の独立派に限定されがちですけれど、独立派の政党に票を投じるのは半分くらい、という現実は意識されるべきでしょう。

 翻って日本は先週も書きましたとおり良くも悪くも政治的な対立が少ないと言いますか、与野党の勢力争いはあっても国論を二分するような性質はなく、政権交代の頻度も著しく低いわけです。民主党が決定し自民党が施行した消費税増税のように与野党が入れ替わっても方向性の変わらないものは典型ですし、外交に至っては少数野党すらも親米一色に染まりがちで、こうなると選挙の意義はどこにあるのかと思えてきます。

 アメリカを再び偉大な国とすべく他国への介入を厭わないバイデン政権の下、台湾独立派に肩入れするパフォーマンスは繰り返され、日本も歩調を合わせる形で中国の脅威を盛んに煽り立てています。ウクライナを巡るロシアとアメリカの勢力争いと、台湾を巡るそれは少なからず似たところがあるわけですが、ここで日本が果たすべき役割は何でしょうか。岸田政権は防衛費を増額してミサイル攻撃能力を強化する方針を掲げていますけれど、他にやれることはあるはずです。

 犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛めばニュースになる、とは昔から言われます。では軍事演習などはどうでしょう。自国の軍事演習と隣国の軍事演習、アメリカ陣営の軍事演習と、アメリカから敵視される国の軍事演習、その実施頻度と報道の扱いは必ずしも比例しません。中国やロシア、北朝鮮による軍事演習は挑発行為として盛んに報道されますけれど、それに先だって周辺地域でアメリカと衛星国による軍事演習が行われていたことは──調べれば分かるので隠されてこそいないものの──積極的に報じられることはないわけです。

 ウクライナが反ロシア派だけの国家でないのと同じように、台湾もまた独立派だけの地域ではありません。それがアメリカの世界戦略に適わないものであったとしても、事実は受け入れられるべきでしょう。独立派の背中を押して大陸政府との対立を深めようとする勢力に唯々諾々と従って軍備を増強していくのか、それとも親中派の声にも耳を傾けアメリカに背いてでも台湾と中国政府の平和的な関係構築を促していくのか、もし日本がアメリカの衛星国ではなく独立国であろうとするのなら、それぐらいは考えても良いように思います。

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