非国民通信

ノーモア・コイズミ

日本なら、日本のこととは考えない

2014-08-10 23:03:54 | 社会

中国で米現法が期限切れ食肉を卸売り―マックなどが納入停止(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 【北京】上海にある米国系食品会社が、消費期限を過ぎた鶏肉や牛肉を市内のファストフード・レストランに卸していたとの疑惑が発覚した。マクドナルドやケンタッキー・フライド・チキン(KFC)、ピザハットなどが納入を停止し、食品会社は謝罪に追い込まれ、直ちに改善策を講じると約束した。

 この食品会社は、米食肉大手OSIグループの中国現地法人「上海福喜食品」で、地元メディアが消費期限の切れた食肉を販売していると報道。OSIは、福喜の経営陣が報道にショックを受け、顧客や消費者に謝罪したことを明らかにした。OSIは「上海市当局の調査に全面協力するとともに、社内にも調査チームを編成し内部調査を実施する」と発表した。

(中略)

 米ジョージア大学食品安全・品質強化センター部長のマイケル・ドイル教授は、「今回のスキャンダルは米国の食品加工業者全体に対する疑念を呼び起こすだろう」とし、「食品業界ではどう見られているかが、そのまま現実にはね返る」と警告する。

 

「毒食肉」の源はアメリカ?(ニューズウィーク)

 中国と日本、アメリカのファストフードチェーンに使用期限切れの鶏肉と牛肉を販売し、多くの取引先と消費者を激怒させた上海の上海福喜食品。ケンタッキー・フライドチキンやピザハットを傘下に持つ米ヤム・ブランズなど大口顧客を次々と失うなかで先週、同社幹部ら5人が刑事拘束された。

 これを受け、上海福喜食品の親会社である米イリノイ州の食材卸大手OSIグループは声明を発表。「心からおわびする。再発防止に全力を挙げる」と謝罪した。シェルダン・ラビンCEOは一連の問題について、「絶対に許されないことで、衝撃を受けている」と強調した。

 しかし、OSIの問題は上海福喜に限ったことではなさそうだ。先週まで6年間、ウェストシカゴにあるOSIの巨大な食肉加工工場で働いていたローザ・マリア・ラミレスは「床に落ちた肉を拾って生産ラインに戻すのは日常茶飯事」だった、と言う。

 

 この辺、日本でも盛んに報道されているところですが国内報道と海外報道では温度差があると言いますか、専ら日本では「中国製の」食品問題として語られている一方、アメリカの報道では問題の発覚した工場の親会社である中国資本ではない企業にも批判の目が向けられています。かつてJTが中国の工場で作らせていた冷凍餃子に毒物が混入された際にも顕著でしたね。日本国内の報道では専ら「中国産の加工食品が」という取り扱いでしたが、海外報道の多くは「JTの冷凍餃子が」と伝えていたものです。

 食品の安全問題は頻繁に取り沙汰されるものですけれど、何らかの問題が国内で起こったときと国外で起こったとき、その受け止め方に違いが大きいとなると「都合のいい話だな」と思わざるを得ません。中国の特定の工場で偽装なり混入なり期限切れの出荷なりが起こったとして、その後に中国政府なりが「(その他の)中国製の食品は問題ない」と見解を発表したとしましょう。こういうのに日本人の多くは疑心を抱きがちですが、では日本の食品工場が安全性を脅かす問題を起こしたとして、日本からの輸出品目全般が周辺国の市場から敬遠された場合を想定してみてください。そこで日本政府が「(その他の)日本産の食品は問題ない」と説明した場合はどうでしょうか。

 直近ではマルハニチロ――の委託先であるアクリフーズ――での毒物混入事件がありましたが、大多数の日本人はこれを特定メーカー/工場/製品の問題と捉え、日本国内で生産された食品全般に嫌疑を向けるまでした人は決して多くなかったはずです。それは間違っていないことですけれど、しかるに中国なり外国の特定の工場で問題が発覚した場合の対応はというと、どうにも特定企業の問題とは考えたがらない、当該の「国」全体に疑いの目を向けることを当たり前のように感じている、そんな人が目立っているように感じます。

 問題を起こした中国工場の親会社である米OSI社にも色々と問われているようですが、かつて中国で製造された冷凍餃子にメタミドホスが混入された時に、それを作らせていた日本の会社に批判の目が向けられることはどれだけあったでしょうか。どうにも「悪いのはアイツ」と我が身を省みず他人を咎め立てすることに馴れきっている我が国ですが、色々な意味で大人げないなと思いますね。食の安全にはうるさいように見えて、あれが良くないこれが危ないと出鱈目にダメ出しするばっかりで必ずしも的の方を向いていない、そんな印象も拭えないところです。

 

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コメント (3)
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