非国民通信

ノーモア・コイズミ

そもそも前政権からして

2013-08-04 12:17:06 | 政治・国際

「自民党は2割の支持しかない」 横路孝弘・前衆院議長(朝日新聞)

■横路孝弘・前衆院議長

 安倍政権は社会保障を担う地方財政をカットし、軍事予算を増やし、集団的自衛権に手を出そうとしている。だが、自民党は参院選で5割の投票率で4割の票を得たのであり、有権者の2割の支持しかない。そんな政権が戦後日本の社会を基本的に変えることを許してはならない。

 今、われわれ民主党がやるべきことは、自民党と対峙(たいじ)することだ。政策で自民党と対決し、われわれの主張を明確にすることが何よりも大事だ。国会で他党と共闘は大事だし、再編の議論があるが、その前にわれわれが主体性を確立しなければならない。(横浜市内でのNTT労組の会合で)

 

 色々とツッコミどころに事欠きません。自民党と対峙云々とのことですけれど、国会「以外」では自民党との相乗りが基本になっていることは無視ですか? 「国会で他党と共闘は大事だし~」と語るより、「地方議会で自民党と共闘は大事だし~」と語った方が実態を正しく表しているように思いますが、地方自治体選挙での自民党と民主党の蜜月ぶりは当の民主党関係者だけではなく有権者の大半も無視しているようですので、そういうものだと思うしかないのでしょう。まぁ、強いデフレ志向に円高放置という点では自民党との「違い」は確立できていることでもありますし。

 それはさておき、「自民党は参院選で5割の投票率で4割の票を得たのであり、有権者の2割の支持しかない」とのことです。じゃぁ民主党が政権を取ったときは違うのか、決して大きな差はなかったはず、有権者の2割程度の支持しかなかっただろうと言いたくもなりますかね。もっとも、自民党も政権獲得時の民主党も2割程度の支持しかなかったと、そういう論法自体はアリだと思います。選挙に「投票しなかった」人の選択も、私は母数に含めていいと考えていますから。

 とにかく選挙に行かなければならない、投票しなければならない、投票しなかった人は日本の将来に文句言う権利もない云々と、そう居丈高に語る人が選挙になると張り切ってくるわけです。まぁ、一応の合意事項として「そういうこと」になっているのかも知れません。ただ専ら投票率の低い世代(若年層)に向けて、投票率の高い世代(高齢層)が不当に利益をせしめているかのごとき被害妄想を植え付けるような論調が目立つところところでもあり、そういう虚妄の被害者意識に駆り立てられて投票に行く若年層が増えたら嫌だなと感じることの方が多いです。むしろ、「選挙に行かない」という有権者の選択を政治家/政党が真摯に受け止めることが必要な局面にさしかかっているのではないかと。

 

麻生副総理の憲法改正めぐる発言の詳細(朝日新聞)

 僕は今、(憲法改正案の発議要件の衆参)3分の2(議席)という話がよく出ていますが、ドイツはヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。ヒトラーはいかにも軍事力で(政権を)とったように思われる。全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わないでください。

(中略)

 昔は静かに行っておられました。各総理も行っておられた。いつから騒ぎにした。マスコミですよ。いつのときからか、騒ぎになった。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。

 

 さて先日は麻生副総理が同類の集まるサークルで本音(日本の政治用語では「失言」とも)を漏らしたところ、その真意が世界中に広まってしまい結構な騒動となっています。こんなのが現役の副総理であり元・首相ですらあるというのですから日本国民として恥ずかしくなってしまいますね。日本の一部にこそ「ナチスのやったことを肯定しているのではない」と誤解している人がいるものの、それは国内限定での話、日本の外では概ねどこでも発言の意図が正しく理解されているようです。

 果たしてヒトラーが政権を獲得するまでの経緯が本当に民主的なものであったのか、ライバル政党(共産党)への弾圧とかも麻生の頭の中では「民主主義」に含まれるのかも知れませんけれど、「ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた」というのもどうなのでしょう。麻生ぐらいに愚鈍な政治家であったのなら、「気づいたら変わっていた」と言うこともあり得ますが、多少なりとも政治に敏感な人であったら、変わる前に気づいているはずです、それを阻めるかは別としても。

 ともあれ麻生的には、「周りに騒がれないように」「静かに」「誰も気づかないように」こっそり憲法を変えたいようです。改憲を争点にするのは、とりわけ自民党案が前面に出るような形で改憲が問われる事態が好ましくないことは自覚しているのかも知れません。だったら、そうですね、「有権者の2割の支持しか」なくとも議会で圧倒的多数を確保できる仕組みを強化するのがベストなのでしょうか。自民党にとっては幸いにして自民党以上に比例区の削減に熱心、参院の削減に熱心な野党もあります。自民党が「自分とは異なる意見」を持った党の提言を聞き入れる形で比例区を減らして小選挙区の比率を高めていけば「民主主義」に則って国会で3分の2の議席を占めることも不可能ではなくなることでしょう。「やるべきことは、自民党と対峙することだ」などと宣う党の意見が自民党に聞き入れられようものなら、それこそ階段から足を踏み外すがごとき事態にもなりそうです。

 

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