非国民通信

ノーモア・コイズミ

結局はごらんの有様

2010-05-06 23:01:42 | ニュース

抑止力論にすがる鳩山首相=「県外移設」公約ではない(時事通信)

 米軍普天間飛行場移設問題で迷走を重ねた末、沖縄県民を前に全面的な県外移設の断念を表明した鳩山由紀夫首相。その理由として首相は、沖縄の海兵隊を日本を守る「抑止力」と位置付け、繰り返し沖縄側に理解を求めた。ただ、こうした論理は当初から米国や外務・防衛当局者が展開していたもの。最終局面で急に海兵隊の抑止力を持ち出し、「県外移設」の約束をほごにした首相の「言葉の軽さ」が改めて浮き彫りとなった。

 「学べば学ぶほど、沖縄の米軍の存在全体の中での海兵隊の役割を考えたとき、すべて連携している。その中で抑止力が維持できるという思いに至った」。一連の沖縄での日程を終えた首相は4日夜、名護市内で記者団にこう語り、在沖縄海兵隊の重要性を強調した。

 昨年の衆院選で普天間移設に関し、「最低でも県外」と訴えた首相だが、同日は「(民主)党の考え方ではなく、私自身の代表としての発言だ」と正式な公約ではなかったと釈明。さらに「当時は(海兵隊の抑止力は)必ずしも沖縄に存在しなければならない理由にはならないと思っていた」と語り、「浅かったと言われればそうかもしれない」と安全保障に関する認識不足をあっさりと認めた。

 さて、選挙前から全く期待はしていませんでしたが、結局はごらんの有様です。まぁ相手のあることですし、前政権時の合意の延長もありますから思い通りの結果を得るのは難しいところもあるでしょうけれど、そこを何とかするのが選ばれた政治家の役割というものです。しかも、「(県外移設は)党の考え方ではなく、私自身の代表としての発言だ」とは、あまりに酷いのではないでしょうか。そう言うからには即刻党代表なんて辞めちまえよと思います。自身の発言に責任を負おうとしない人間はトップにふさわしくありません。

 県外移設ができないにしても、その理由次第で評価も変わります。本来の交渉相手であるはずの米軍側の合意が得られず(どうも鳩山及び民主党は地元住民を交渉相手と見なしているように見えますが)、やむなく今回は県内移設になってしまったというのなら、まだ多少は将来への展望もあったでしょう。しかるに、あくまで「抑止力」として米軍が必要だから県内移設に止めるというのなら、これは要するに日本政府側の意図として県内に基地を残すことを意味しているわけです。県外移設を断念する理由が「抑止力」にあるというのなら、現政権において基地問題の前進は一切の期待が持てないものと心得ておく他ありません。

野党時代の主張を捨てないで

遺志を継ぐ者

与党になるなら取り下げる

本当に実現させる気があったのか

 鳩山並びに民主党が政権交代前と政権交代後で、つまりは野党時代と与党時代で主張を違えるのはこれが初めてではなく、むしろ常態化していると言えるだけに今さら驚くには値しないのですが、今回の「抑止力」を巡る見解の変遷はどう見るべきでしょうか。何らかの脅威があって、「抑止力」が必要になる、米軍基地が抑止力として機能する、だから米軍基地が必要なのだという三段論法に至ったのではなく、むしろ基地を残したいから、そのために「抑止力」があるのだと後から理由付けしているようにも見えます。ともあれ鳩山の野党時代の主張なんて、所詮は当時の与党との違いを演出してみせるためのポーズに過ぎない、与党に回った今になって本性が出てきた、そんなところでしょう。

 

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コメント (9)
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