非国民通信

ノーモア・コイズミ

与党とスポーツ選手

2010-05-15 22:58:40 | ニュース

メダリスト・プロ野球…参院選候補者、頼みは有名選手(朝日新聞)

 夏の参院選にスポーツ選手を擁立する動きが活発だ。10日には民主党が「ヤワラちゃん」の愛称で親しまれる柔道選手の谷亮子氏(34)を参院選比例区に擁立することを発表。同党から立候補する五輪出場選手は3人目。野党でもプロ野球選手やプロレスラーなどの擁立が相次ぎ、スポーツ選手頼みが広がる。ただ著名選手頼みには、慎重論もないわけではない。

(中略)

 民主党は五輪メダリストをそろえている。比例区では谷氏のほか、バルセロナ五輪体操の銀メダリスト池谷幸雄氏(39)を公認。茨城選挙区(改選数2)では同党2人目の候補者として、アテネ五輪の自転車競技銀メダリストで地元出身の長塚智広氏(31)を擁立した。


 かつてスポーツ選手の擁立は自民党の得意技でしたが、たぶん自民党の得意技ではなく「政府与党」の得意技だったのでしょうね。自民党か民主党かにかかわらず、政権を取った党はスポーツ選手の擁立に積極的になるようです。自民党も堀内恒夫、石井浩郎と読売OB2名を擁立、たち本も中畑清とこれまた読売OBを立てるようですが、スポーツ選手としての知名度と実績ではやはり民主党の谷亮子が抜きんでていますし、池谷幸雄はタレント活動もあって知名度は十分です。

 まぁ、選挙で勝つことも大事です。どれほど真っ当なことを主張したところで、議席が少なければ煮え湯を飲まされることも多いだけに、獲得議席数を増やそうとする努力もまた政治の一幕として認めざるを得ないところはあると思います。ただ、国会を単なる内閣の追認機関と見なすのならともかく、一応は最高機関にして唯一の立法府なのですから相応の政治的見識は求めたいところです。タレントやスポーツ選手が当選すれば、その陰で落選する人がいる、真剣に政治を志していた人が表舞台を去り、単に担がれただけの有名人が出番を得るのではやりきれません。

 五輪メダリストはこれまで、スピードスケートの橋本聖子参院議員、スキー複合の荻原健司参院議員らがおり、いずれも当時与党だった自民党から立候補し、当選した。選手側には「政権与党で活躍したい」という思いがあり、アマチュアスポーツ団体にも「国からの助成金が得やすくなる」と政界進出を後押しする機運もあるようだ。

 で、スポーツ選手と「与党」との結びつきの理由として、この辺が挙げられています。商業化に成功している野球やサッカーであればともかく、アマチュア主体の競技ではどうしても補助金が必須となる、ゆえに「与党」との結びつきが強くなるのでしょう。下野した自民党が擁立するのが補助金不要の野球界出身で、現与党である民主党が擁立するのがオリンピック選手というのは象徴的かも知れません。

 大体において、有名スポーツ選手は「よい子」の発言しかしません。もっと言うなら「政府与党の公式見解から外れない」発言しかしない、物議を醸すようなことは慎むものです(でないとスノーボードの国母君みたいになります)。たぶん、所属のコーチや監督からも色々と指導されているのではないでしょうか。営業トークでは政治の話題はタブーだと言われるものですが、スポーツ選手の場合も同様なのだと思います。つまり、「ファン」の反感を買わないように、とりわけ政治的な事柄に関しては当たり障りにないことしか言わない、これが「良識」として擦り込まれているのが一流のアスリートなのでしょう。ゆえに政府あるいは世論の多数派に真っ向から異を唱えるようなことはしない人がスポーツ選手には多くて、それが与党からの立候補に繋がってくるのではないかと。

 この日、党本部で谷氏と並んで記者会見した小沢一郎幹事長は上機嫌だった。谷氏を擁立した理由について「自ら自己鍛錬に励み、目標や理想を実現する姿が、今後の新しい民主党の政治をつくる上においてたいへん大切で共感を覚える」。谷氏も「国民の誰もが望む国づくりをしたい。現役はもちろん続ける。ロンドン五輪で金メダルをめざす」と決意を述べた。

(中略)

 昨年の政権交代で、今度は民主党がそのメリットを生かしつつある。同党の選対関係者は「スポーツ選手は礼儀正しく、自己鍛錬を積んできたという姿勢が有権者の共感を呼びやすい」と期待する。

 ちなみに小沢と「選対関係者」の両者は共に「自己鍛錬」という言葉を持ち出しています。その「自己鍛錬」に小沢も共感するし、有権者の共感も呼びやすいと推測されているようです。まぁ別に自己鍛錬そのものが悪いこととではないのでしょうけれど、なんとなく「自助努力」辺りに近いものを思い起こさせますね。「自助努力」とか「自己責任」とか言われれば必ずしも肯定的には受け止めない人もそれなりにいると思いますが、「自己鍛錬」という言い方をされると、何となく良いイメージを持って賛同する人が多いのではないかという気がします。

 

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コメント (4)
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