藤岡琢也さんのご冥福をお祈りしたいと思います。とても良い役者さんで、お歳を召してから味の出る役者さんも少なく、その中のお一人だと思います。少し前にDVDで「死に花」を観た。藤岡さん演じる老人の死から話は発展する。その葬式シーンも映画の中の重要なポイントだった。ご本人もこの映画の中のようなお葬式を望んでいたのではと思ってしまう。失礼だが、藤岡さんが楽しそうに演じていた葬式シーンだった。
話は変わって、お歳を召して味の出るものに高級赤ワインがある。先日、白ワインを大事にとっておいて失敗されたお客様は、ブルネロ・ディ・モンタルチーノ1988も大事に保管されていた。同じ失敗をしないよう、クアトロにお持ち込みになるよう促した。結果、クアトロの父の危惧は大はずれ、何とも素晴らしい味わいでした。古酒の風格を持ったややオレンジ色のかかった色合いも素晴らしい。香りは注いだ瞬間から立ち上り、味わいはまだまだ力強かった。「丁度飲み頃だったと思いますよ」と、申し上げながらも、脅かして申し訳なかった気がしました。作り手は、ブルネロの本家ビオンディ・サンティなのだから心配いらなかったのかも知れない。特に88は当たり年だ。このワインは、こちらのお客様と一緒にイタリアへ10年ほど前に旅行したとき、帰りにミラノの空港の免税店で買った。僕が始めにみつけ「ティニャネロ」とともに購入した。残り7~8本あったワインは、同じツアーの方々への僕の報告で、あっという間に売り切れた。僕は帰ってすぐに飲んでしまったが、その時はさほどの感動はなかった。高級ワインはやはり歳をとってから味わいが出るものだと再認識した。そう、藤岡琢也さんのように。