今はひっそりとした生駒聖天宝山寺への参詣道筋、小倉寺町の斜面、昼なお暗く忘れ去られた様な・・・・教弘寺境内に建つ十三重石塔です。
<左手、朽ち果てたような中之坊??>
生駒山南面山麓に建ち、役行者(えんのぎょうじゃ)が開闢したという伝承が残る山岳寺院・・・・弘法大師もこの地で修行、中世には奥之坊、中之坊、新坊(あたらしぼう)、大門坊、岡之坊の五坊が建ち並ぶ名古刹だったそうですが、現在は見るも無残な状態になって居ます。
その脇の参道石段を登ると瀟洒な山門。
山門を正面に向けて建つ本堂、その右側にひっそりと立つ十三重石塔は総高約4m・・・・、まるで別の時間が流れている様な静寂な空間です。
正面を本堂と同じく東に向け、少し華奢ながら力強く建っています。
基礎石は四面共に素面、初層軸部月輪内に金剛界四仏の種子を薬研彫にしている。
東面は阿シュク如来の「ウーン」・・、月輪の線も弱く、薬研彫りは深いながら少し弱い筆致。
背後西面、阿弥陀如来のキリーク・・・、やっぱり少し力足らずを感じる鎌倉期を踏襲した南北朝期の造立??
現在こうした名古刹が寂れて行くのは忍びないが・・・・それはひとえに時代に乗り遅れ取り残されただけなのかも??
それを僕等は風情と云う二字で片付けているのかも・・・・。
撮影2012.6.3