愛しきものたち

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奈良県大和郡山市 実相寺(じっそうじ)十三重石塔

2012年08月12日 | 石塔:石造物

安土桃山から江戸期に移る慶長年間の開基と言われる寺の境内に建つ見事な鎌倉期の特徴を持つ十三重石塔です。

大和郡山市の市街地、郡山城の城下町に有って付近は寺院の密集地にもなっている。

郡山南小学校北側、郡山城外掘り遺構の内側ギリギリに、この瀟洒な実相寺境内が有る。

十三重石塔は本堂東側、狭い境内の通路を挟んで西面を正面に向け力強く建って居る。

相輪上部を欠損するも、高さ約4m、基礎部は四面ともに素面で刻銘は有りませんが、初軸部には顕教四仏を半肉彫りにしている。

屋根は軒が厚く、力強い軒反(のきぞり)を示し、屋根石の逓減率も良く、実にバランスの良い鎌倉時代後期造立を裏付ける石塔です。

この石塔も移動再建をうかがわせるように初層軸部顕教四仏の位置が90度左にずれて居る。

本来北面の弥勒坐像が、正面西向きにある。

舟形光背の中、蓮台に座する鎌倉期特徴のまま、力強い像容の半肉彫りで刻みだして居る。

本来西面の阿弥陀如来は南向き、弥陀定印を組み写実的な像容。

背後の東面には本来南面の釈迦如来坐像・・・・、四方仏としても充分鑑賞に堪える力量です。

北面は本来東面の薬師如来坐像・・・・、実に伸びやかで良い顔してます。

また後から紹介するが、他にも室町初期造立の阿弥陀三尊石龕仏が有り、この寺は慶長年間の開基にしては古いものが多すぎる。

郡山城石垣の石造物のように何処からか持って来たのだろう・・・・・。

さしずめ名だたる寺の遺物に違いない。

鎌倉時代後期の造立、大和郡山市指定文化財。

撮影2012.7.22