愛しきものたち

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伊賀市 西高倉の山の神(カギヒキ)

2012年04月27日 | 勧請縄:山の神:野神:人形道祖神

三重県伊賀地方やその南部、名張や大和高原域では「山の神」信仰が根強く残り、この地域では山の神を迎えるために殆ど「鍵引き神事」を行うので「山始め」を単に「カギヒキ」と呼び習わしている。

「鍵引き神事」は山の神を「田の神」として里に迎え入れるために木枝の鍵手で引き寄せる神事で、山の神と共々農作物や銭金や糸錦も村へと引き寄せよ・・・と祈って今尚行われている。

その現場には中々出遭う事は出来ませんが、その場所を後から訪ねることは出来ます。

先ずは滋賀県甲賀市に程近い伊賀市の北端、御斎峠(おとぎ峠)に近い高倉神社一の鳥居と共に有る、神事の行われる「山の口」の大ケヤキ

この地、西高倉の「カギヒキ」は例年1月7日に行われ、「東の国の銭金この国へ引き寄せよ、西の国の糸錦この国へ引き寄せよ、チョイサ、チョイサ」と唱えられると言う。

 両部鳥居脇に立つ「山の口」の大ケヤキと呼ばれる欅の巨木に縄の片方が巻きつけられ、鍵引神事の樫の葉をつけた鍵状の枝がたくさん付けられている。

此処では東近江や湖南地域で良く見かける股木人形を見つけることが出来なかった。

 

又この西高倉では、縄は掛け渡されることなく片方は切られて地表に打ち捨てられているが、これにはどういう意味が有るのか解らない。

勧請縄でも片方が切り捨てられているのを見たことが有る。

不思議なことに、この地で山の神と刻まれた石碑を見なかったのは、僕の見落としなのだろうか??

はたまたこの大欅こそが山の神そのものなのだろうか??

撮影2008.2.16/2012.1.31