前回紹介の葛尾より名張川沿いに遡ると対岸に家野集落が在り、集落入り口の橋近くにこの磨崖石仏が有る。
家野の集落は名張川越しに在って背後を山に囲まれ、集落に入るには名張川に架かるたった一本の橋を渡って行く他、この集落へ入る道は無い。
このたった一本の橋が落ちればこの集落は陸の孤島と化す。
名張川沿いに走る県道30号線のガードレールの向こう側、名張川岸に突き出した三角錐形の大岩に地蔵菩薩立像が刻まれている。
名張川沿いには磨崖石仏が数多く残されているが、それは大きく蛇行して暴川の様相を呈していることから、古来より洪水遭難の供養仏として刻まれ続けてきたものでは無いのだろうか??
岩の中央に舟形光背を深く彫り沈め、中に蓮華座に立つ像高60~70cmばかりの定形地蔵立像を中肉彫りで刻み出している。
岩全体に薄緑色の苔がまとわりついていますが、全体的には保存状態も良好・・、円頭光背と大きな錫杖が良く目立ちます。
顔容はそれ程果々しくは無いが名張川を背に小さな集落の見渡せる景観は素晴らしいものが有る。
撮影2011.4.10