愛しきものたち

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奈良市大柳生 上出墓地の石仏

2012年04月22日 | 石仏:奈良

大柳生の南外れ、大柳生から田原方面へと山間部を抜ける県道47号線沿い、上出墓地の石仏さん達です。

大柳生の産土神である夜支布(やぎう)山口神社の深い鎮守の杜を右手に見て田原方面に向かうと大柳生最後の集落「上出垣内」

この集落の上出墓地には多くの石仏が残されていて知る人ぞ知る捨て墓と石塔墓が一緒に有る墓地です。

この辺り、大和高原域ではこれが当たり前のように今でも捨て墓が利用されることが有るのか?真新しい白木の墓標にお目にかかることも良くあります。

この石仏を一目見た時、おかしい石仏だなあと不思議に思いました。

埋め墓の棺台脇に立っているのに阿弥陀でも地蔵でもなく、どう見ても智拳印を結ぶ大日如来のようです。

しかしこの場所に、阿弥陀ではなく大日と言うのがどうも僕にはなんとも解せません。

凡そ等身大の大きな石仏ですが・・・大日如来にして裸足で蓮台に立ち、ダンゴ鼻でどう見ても庶民的、何処にでも居そうな親父さん風・・・、地蔵型の大日如来と云ったところでしょうか??

光背部に江戸時代中期享保三年(1718)の銘を持つ・・・・、江戸中期ここでは大日を阿弥陀や地蔵の身代わりにしたのだろうか??

墓地中央、覆い堂内に祀られた阿弥陀坐像石仏。

独得な幾何学文様の衣文を持ち、舟形光背状石材に二重光背を彫り窪め、総高91cm、像高約40cm、室町末期の永禄九年の造立。

墓地入り口に近い石塔墓には・・光背部に十三仏の種子を刻み付け、室町後期の天文四年(1535)造立。

高さ約1.3m、像高85cm、粗い鑿痕も残っているほど保存状態は良好です。

墓石群内に立つ、高さ約1.1m、像高77cmの阿弥陀立像は天正十八年(1590)

安土桃山期の慶長四年(1599)造立の阿弥陀立像、総高85cm、像高62cm。

中々凛々しい顔つきですが・・・どこか漫画チックです。

撮影2005.9.10/2012.3.3