Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

探し物はどこでしょう

2019-10-20 | 
先日から探していた動画が見つかった。昨年のザルツブルクでの「サロメ」上演のものだ。今はブルーレイなどで製品化されて発売されているとは知っているが、気になるので調べた。外した内臓HDDに入っていた。日付を見るとどうも3Satでのライヴ放送の録画らしい。勿論それが正しいならば資料映像としては製品よりも価値が高い。ロシアのサイトにも同じもののコピーが出ていたが質が悪くて大違いだ。なんといってもこちらは15GBの大きさである。しかし、アスミク・グリゴーリアンのドイツ語歌唱は今の時点ではとらない。コルンゴールでも言葉が出来ればまだまだ歌える人だと感じた。「サロメ」も少し聴けば到底ペーターセンの名唱とは比較にならない。そもそもメスト指揮のヴィーナーフィルハーモニカーはそのスタイルとは別にミュンヘンよりは大分落ちる。これだけで余分に二時間も車を走らせる気にはさせない。兎に角、グリゴーリアンも現時点では、スラヴ語とイタリア語に絞っておいた方が成果が上がるだろう。バイロイトで成功しようと思えば、ミュンヘンかベルリンに一年ほど住むべきだ。

ヴィーンからの放送を聴いた。月始めの中継録音である。スメタナ作曲「我が祖国」全曲はあまり聴くことが無い。「モルダウ」が世界的なヒット曲で、第九と並ぶほどの名曲になって仕舞っていて、他の五曲はどうしてもそれほど馴染みが無いとなる。しかし重要なアクセントをしっかり付けて、そして波の部分では「ラインの黄金」のそれを思い出させるかのように、飛沫をあげる。見事に脱名曲していた。

そして一曲目の「ヴィシェフラド」の間が何とも見事で、三曲目の「シャルカ」や四曲目は「ボヘミアの森」からはベルリナーフィルハーモニカ―で演奏すればさぞかしと思わないでもなかったが、あの間は座付管弦楽ならではだ。それでもヴィーナフィルハーモニカはいつもお横着にサウンドで勝負しているので決してこれが真似できない。これを連中が聴いていたらアッと思っていた筈だ。ペトレンコはこれをヴィーナーの連中に聴かせたかったのかなと思うぐらいである。五曲目「タボール」での単純な動機の使いようはベアヴァルトの交響曲やそしてブルックナーを印象させて、最後の六曲目「ブラニーク」へと繋がる。

ペトレンコがこの曲を以ってスークへと繋げるのか、それともドヴォルジャークかヤナーチェックかと思っていたが、最終章を聴くとこれはもしかするとブルックナーも近いうちに振る心算ではないかともふと思った。民族的な音の扱いもさることながら、「ヴィシェフラド」で感じさせたように、作曲家の創作の過程をその逡巡をその思いを垣間見せるように楽譜を音化することで、本人が語る以上には広範なレパートリーでも特別な名演奏が期待された。

夜中から降り続いた間隙を縫って、一走りした。前の晩にジャガイモを食して備えていたので、雨雲レーダーの隙を伺った。幸い準備体操中に小振りになったので、濡れることなく峠を上下してきた。しかし、枯れ葉も徐々に落ちたのかシーズン初めて滑りそうになった。結構と辛いものがあるが、ランニングハイの後が気持ちよい。放送前にシャムプーもして、月曜の朝に備えつつ、PCに向かった。

ヴィーンからの放送の後メールに入っていたメータ指揮の最後の演奏会ライヴを覗いてみた。有料なので断片しか見聞きできないが、こちらの興味はメータ氏の健康状態や12月の「LAでの癌化学治療」の為のキャンセル発表後のその動向でもあった。足取りはしっかりしていたが、画面の関係もあって顔色は春よりも悪い。そして恐らくこれで最後という時のイスラエル国歌を振る表情はとても硬く、深刻さと感情的なものがとても勝っていた。聴衆には完全に号泣しそうな人も映されていた。様々な感情が渦巻いているようで、個人的にはイスラエルフィルハーモニーの最初の日本公演の際にザシムフォニーホールの平土間前列で体験したアンコールの最後に起立して演奏されたその国歌と風景をありありと思い出した。
Zubin Mehta's last 3 minutes conducting the IPO - Mahler: Symphony No. 2, "Resurrection"




参照:
熟成させる時間が必要 2019-09-15 | 雑感
嗚呼と嗚咽が漏れる 2019-10-12 | 雑感

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