Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

無価値なストリーミング

2020-04-21 | 
新聞にライヴストリーミング関してのインタヴューが載っていた。インタヴューをされているのはドルトムントの高等専門学校の教授でタクトワンというネット配信の創立メムバーのノルツェという人だ。その話しによるとコロナ騒動でメディチTVなどの大手だけでなくてとても需要が高まっていて、今後も重要になるだろうという。その一方で、陳腐な配信の質の低いものは何の解決にもならないとしている。レヴィットのそれを指しているようだが、直ぐに関心が薄れるだろうと予測している。

そしてドルトムントのコンサートホールの内容を其の侭配信していたことで意味があったが、コロナ騒動でそれが無くなると今度は提供する中味が無くなると話している。しかしシモーネ・ケルメスのように宣伝広告として無料で歌ってくれる人もいるらしい。

音楽とメディアが専門のようだが、この話しでは最も重要な知見に欠けている。一つはライヴ公演の中継であるからこそ価値があるということで、それはこの教授が言うように態々出かけなくても家で観れるという程度の認識での価値である。実際には無観客のライヴ演奏中継は全くライヴ演奏ではない。通常の場合はインターアクティヴな舞台と客席との掛け合いを窓から覗かしてもらっていることに過ぎない。要するにデジタルストリーミングでも技術的には可能であってもその場に参加することが出来ないという最大の欠点には言及しない。家で時間が余っているから、オンデマンドよりもライブストリーミングとか以上にこの視点が芸術的には最も重要な点である。

だからこの教授が主張するように技術的云々に関しても、ライヴストリーミングには既に大きな損失があって、素人の下手なストリーミングと芸術的な価値としてはそれほど変わらない欠落があるのだ。その一方ミュンヘンでの月曜日コンサートにも言及していて、ごった煮であったと評している。しかし、そこで企画してもこの程度の認識では新たな可能性は発信できないに違いない。また成功したペトレンコの寄付金にも言及していて、そうした資金を欲しそうにしているが、会員数以上には集まらないのが最大の問題点なのだ。そもそもオペラなら兎も角コンサートの映像中継などには大きな意味合いはない。

ベルリンでの来シーズンのプログラム発表が録画ヴィデオで紹介された。キリル・ペトレンコとツェッチマン支配人の二つのヴィデオである。後者ではどうなるか分からないがプログラムの実現を期待したいとして、その中でも最初のオープニングツアーと11月の二週間の東海岸旅行がとしている。二月の九月に続く新たなベルリンでのビエンナーレの音楽祭について、そのテーマ「黄金の1920年代」について語っていた。丁度スペイン風邪の終息から始まる十年間であった。全体のテーマは世紀末。

ペトレンコは私が欲していた事を語ってくれた。バーデンバーデンでの復活祭のビエンナーレは正しくは二年続けてのチャイコフスキーであって、2022年には、ロシアオペラにおける現在最高の歌手で上演される2021年の「マゼッパ」新制作に続いて、「スペードの女王」が上演されると語った。私が2021年に期待していたアスミク・グリゴーリアンがいよいよリザとしてバーデンバーデンデビューだろうか。調べてみると2021年五月六月にパリでバーデンバーデンの「マゼッパ」の演出に続いて「スペードの女王」をチェルニアコフが新制作する。指揮はバレンボイムとサブにペトレンコの一番弟子のオクサーナ・リニヴが入っていて、グリゴーリアンが登場する。先ず間違いないだろう。

リニヴがバレンボイムに代わって指揮することは増えそうであるが、十一月には2021年にバーデンバーデンで新制作されるモーツァルトの「ツァイーデ」を指揮する。まだ分からないがその準備に続いてバーデンバーデンでも彼女が指揮するとなるととても話題になるだろう。ベルリンの次期音楽監督に一番近いところにいるのが彼女である。

この先どうなるかまだ分からない。予定通り実現したとしてフランクフルトでブラームスプロを演奏してそこから飛ぶ合衆国からベルリナーフィルハーモニカーがニューヨークから戻ってくるのは11月21日(土)としてその足でバーデンバーデンに立ち寄って、22日(日)に「英雄の生涯」のコンサートか?ニナ・シュテムメが歌うかどうか?次の定期が28日(土)からなので、23日(月)にマーラーの六番も可能だろうか。一層の事アメリカ旅行が吹っ飛んで呉れるといい。



参照:
二年越しの重点課題 2020-04-06 | 文化一般
芸術的に配慮したarte新動画 2017-08-03 | マスメディア批評


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