フランスの大統領戦初戦の結果が出る前に、一言だけ書き措こう。
サルコジ候補が選挙戦終盤に南フランスで戦時中の対ドイツ傀儡政権下でのやむを得ぬフランス国民を主張して、その正当性を繰り返しているのが、伝えられている。勿論これは、自己の排他主義を擁護してのことである。ドイツを指して「ホロコーストの訳の分からない奴ら」とする、対立候補ロワイヤルが「ドイツを屈辱している」と非難するその対抗馬の言い草は、今後も独仏関係に尾を引く事となろう。
反対に、ロワイヤル候補は適当な時期にベルリンを訪れ、友好関係を強調して、尚且つ選挙戦にもスペイン首相を街頭演説に引き出して、外交経験の無い政治キャリアーを隣国との友好関係を強調することで補っているようだ。それにも増して、生まれ故郷ロレーヌの小さな町シャマーニュを訪れての選挙戦は、その育った本土以外の領土での生活感を交えて、フランスの辺境へも眼差しを投げ掛けさせる。
これは、アルサスやローレーヌ地方をドライヴすると判るのだが、パリから取り残された地域には、サルコジが力ずくで問題を解決しようとする移民者の問題とは違う問題が潜んでいる。各々の故郷を越えた経済圏への依存は、更なる友好関係があってこそ有効に働くもので、パリから見てこれらの地域は厄介ものでしかないのが、問題を起こす移民者にも似ている。
ルぺン候補も永年の活躍のせいか、立派なスーツに身を包んで紳士然とした雰囲気をかもし出しているように思われるが、大分サルコジの票の一角をも食っているような気配がある。最新の予想では、16%まで支持を伸ばしているとされる。
中間派のバイル候補は、ここに来て支持を20%まで伸ばしているようだが、サルコジ勢力に対して決戦投票で戦えるのは、社会主義者のロワイヤル候補でしかないであろう。
40%が未決定と言うから、地方を主に女性候補ロワイヤルに票が流れるとも考えられるが、なんと言ってもその政治手腕は未定で、隣から見ていても些か頼りない。
しかし、今回は前回の欧州憲章承認直接投票時のメディア先行型の世論作りのようなものが感じられないことから、意外にサルコジ支持票と同じぐらい批判票も入るような気がするがどうであろうか?サルコジの内政の手法は、それほど悪くはないと思うが、独仏を軸としたEUの結束を考えると、大きな疑問が投げ掛けられている。
共産党や緑の党は左へ左へと支持を表明するが、そうしたやり方はフランスの政治が今一つ現代化していないことを表していて批判される。高い投票率は、暴動の第9選挙区での政治的関心の高まりも挙げられている。それでもサルコジが目標を果たして、二位の対抗馬とその政治を、一番でなければいけないフランス政治にかけて二者択一の二番目の選択肢としていた。その一方、二位の女史の演説は全てを見通していたように、世界の中のフランスと民主主義の理念を示す大層広大な演説となっていた。あれを聞いていると、大統領こそロワイヤル女史で、サルコジは所詮首相止まりと思わせるから面白い。ロワイヤル候補を日本や韓国の記者が嬉しそうに追いかけていたと笑い話が第三放送で紹介される。
参照:
Election présidentielle 2007
Le Figaro
France2
四苦八苦する知識人 [ 文学・思想 ] / 2007-05-07
民主主義の政治モラル [ 女 ] / 2007-05-05
東部前線での選挙動向 [ 歴史・時事 ] / 2007-04-25
サルコジ候補が選挙戦終盤に南フランスで戦時中の対ドイツ傀儡政権下でのやむを得ぬフランス国民を主張して、その正当性を繰り返しているのが、伝えられている。勿論これは、自己の排他主義を擁護してのことである。ドイツを指して「ホロコーストの訳の分からない奴ら」とする、対立候補ロワイヤルが「ドイツを屈辱している」と非難するその対抗馬の言い草は、今後も独仏関係に尾を引く事となろう。
反対に、ロワイヤル候補は適当な時期にベルリンを訪れ、友好関係を強調して、尚且つ選挙戦にもスペイン首相を街頭演説に引き出して、外交経験の無い政治キャリアーを隣国との友好関係を強調することで補っているようだ。それにも増して、生まれ故郷ロレーヌの小さな町シャマーニュを訪れての選挙戦は、その育った本土以外の領土での生活感を交えて、フランスの辺境へも眼差しを投げ掛けさせる。
これは、アルサスやローレーヌ地方をドライヴすると判るのだが、パリから取り残された地域には、サルコジが力ずくで問題を解決しようとする移民者の問題とは違う問題が潜んでいる。各々の故郷を越えた経済圏への依存は、更なる友好関係があってこそ有効に働くもので、パリから見てこれらの地域は厄介ものでしかないのが、問題を起こす移民者にも似ている。
ルぺン候補も永年の活躍のせいか、立派なスーツに身を包んで紳士然とした雰囲気をかもし出しているように思われるが、大分サルコジの票の一角をも食っているような気配がある。最新の予想では、16%まで支持を伸ばしているとされる。
中間派のバイル候補は、ここに来て支持を20%まで伸ばしているようだが、サルコジ勢力に対して決戦投票で戦えるのは、社会主義者のロワイヤル候補でしかないであろう。
40%が未決定と言うから、地方を主に女性候補ロワイヤルに票が流れるとも考えられるが、なんと言ってもその政治手腕は未定で、隣から見ていても些か頼りない。
しかし、今回は前回の欧州憲章承認直接投票時のメディア先行型の世論作りのようなものが感じられないことから、意外にサルコジ支持票と同じぐらい批判票も入るような気がするがどうであろうか?サルコジの内政の手法は、それほど悪くはないと思うが、独仏を軸としたEUの結束を考えると、大きな疑問が投げ掛けられている。
共産党や緑の党は左へ左へと支持を表明するが、そうしたやり方はフランスの政治が今一つ現代化していないことを表していて批判される。高い投票率は、暴動の第9選挙区での政治的関心の高まりも挙げられている。それでもサルコジが目標を果たして、二位の対抗馬とその政治を、一番でなければいけないフランス政治にかけて二者択一の二番目の選択肢としていた。その一方、二位の女史の演説は全てを見通していたように、世界の中のフランスと民主主義の理念を示す大層広大な演説となっていた。あれを聞いていると、大統領こそロワイヤル女史で、サルコジは所詮首相止まりと思わせるから面白い。ロワイヤル候補を日本や韓国の記者が嬉しそうに追いかけていたと笑い話が第三放送で紹介される。
参照:
Election présidentielle 2007
Le Figaro
France2
四苦八苦する知識人 [ 文学・思想 ] / 2007-05-07
民主主義の政治モラル [ 女 ] / 2007-05-05
東部前線での選挙動向 [ 歴史・時事 ] / 2007-04-25
日本に住む外国人は何年居住してもないと聞いています。昨日は選挙日でした。わが地区は先回の県会議員はありましたが、今回はありませんでした。
確かルートヴィヒスブルクの独仏研究所の教授だったと思いますが、グローバリズムとローカルな社会秩序の議論への兆しと見て、ドイツにおいても今後の議論の参考になるのではないかとしていました。
選挙民におけるそうした捉え方は期待出来ないとしていますが、フランス共和制の構造とそれに疑問を持たない選挙民(EU憲章を否定した)に、そのもの係わっていますね。
サルコジにしても、従来の裕福層の不労所得を優遇する保守とは異なる(故に一部にはネオリベラルとして捉えられる?)。すると仰るように、それでも幾らか改善されつつある地域の歴史的なリゾースの活用(ルイ王朝の頃と変わらないようにしか見えませんが)と同じく、移民の若い力にも今後なお一層期待しなければいけません。
ロワイヤルも視線が俯瞰的で具体性に欠ける様子ですが、処方が違うだけで同じ事を言葉で補っているようです。そのような按配で、左右を対立させるのはフランスの政治手(思考)法として考えられるようです。
選挙戦が米国化してきたと言われます。TVデュエルまで、こうした上の視点からの議論が明白になってくるのかどうか、目が離せません。
ロレーヌの紀行から、何かリンクを張るものが無いかなと再度拝読しました。ナンシーは、ロワイヤルが大学の時に、母親が厳格な父親から彼女の所へ逃れてきたと言います。
ナンシーへ行く前に、スタニスラス伯はこちらのプファルツを拠点にしていたようです。
matsubaraさん、一般的な話題として、ドイツの選挙権は、フランスのように植民地問題が無く二重国籍がありませんので、永住権ではなくて国籍と共にくっついて来ます。選挙権は即ち被選挙権で、一部の地方自治体は知りませんが、基本的には変わりません。
以前ですと然るべき滞在許可を持って国籍習得に十年ぐらい(因みにスイスは誰でも25年以上)で掛かりましたが、グリーンカード制度導入になってそれより事実上早くなったと思います。
特にEUとなってからは、域内では国籍の意味合いが薄れてトルコ人二世(サルコジもハンガリー系二世ですね)からドイツ人への国籍変更が主で、続いてロシア人や中国人などが米国人と並んでいるかもしれません。
選挙権は被選挙権同様に権利として大変重要ですが、社会保障や公的年金等(強制では無い)が必要で完備していれば問題ないとするのが普通一般で、これは上記の「選挙に今まで行った事のなかったフランス人」と変わりません。
つまり納税と選挙権、社会保障と永住権は、先進国では必ずしも対応していません。
フランス大統領選も突出した候補がなく、このままでは下馬評通りでしょうか。「The Economist」誌は、サルコジをナポレオンの馬に乗せています。もっともこれまで1,2位候補の逆転は珍しくなく、まだ目が離せませんね。仮にアメリカ大好きなサルコジ大統領が実現しても、フランスをアメリカ風にするのは大変でしょう。
中道の支持基盤は保守よりなのでしょうが、TV-DUELLでの具体的な課題への対応次第で大きく評が動く可能性があるでしょうか。
そうした要素も含めて米国化と言えないこともないのでしょう。しかし、そう言われるとフランス人の沽券にも係わる。
選挙権については日本は遅れているといおうか、融通がきかない国と言えるかも・・・たとえ日本人と結婚しても外国人は選挙権はないようですし・・・
国籍は生地主義・血統主義など、様々です。夫婦も宗教と同じで、国籍もお互いに違う場合が益々増えていくような気がします。
私見は大分保守的ですが、実際には従来の国家や議会制民主主義の概念も今や大変流動的です。
詳細はよくわかりませんが、
どっちもどっちという気がして
フランス国民はさぞかし頭が痛いでしょうね
日本ではつい先日長崎市長選挙が話題になりました。
射殺された前市長の娘婿と市職員の事実上の一騎打ちは、僅差で市職員が市長に。
けれどこの結果に敗北側の前市長の娘さんは
「父はその程度だったんですか?愛した長崎にこんな冷たい仕打ち云々」の発言。
父君を亡くされ動揺しているのはわかるけれど、
業績を残した父親の後釜だからといって
政治の素人である夫(娘婿)を選べというのは無理な注文。
ご一家には同情したけれどこの発言に興ざめでした。
娘婿を選ばなかったからといって父君の業績がなくなるわけではないのに。
お婿さんは新聞記者でしたよね。結構代議士には番記者から政界に入った人も多いですが、選挙区世襲を批判出来ないジャーナリストがいるのが驚きです。
それなら始めから政治活動をするべきです。中小企業の跡継ぎみたいな武者修行ですかね?
政界でのこうした風潮をなんとも思わない状況は異常ですね。
占領されてというが 相撲は 元々そっちから 来ているもので 日本が 其れ独自に 作り変えただけ
そういうこと言うから フランスから 批判されるのだ モツトルーツ 学びなさい それに 自分達が
捨てて西洋かぶれしているくせに 他国から のっとられたような事 言うな そんなに 他国の侵入がいやなら 自分達で 文化守れよ 自分達が 守らないから 他国から 呼び寄せているのだろうよ 本当に
日本のこがきは 嫌いだな
初めから、その中に居る人が主観的に良いとか悪いとか言うよりも、その文化圏の外から評価するほうが遥かに正確に批評できるかもしれません。
ただ、どれほど正確にそうした主観的なものを理解して、もしくは客観的に観察できるかはどのような文化においても大変難しいものです。
フランスにおいても決してそれは一枚岩ではないのです。