Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

緑の原をミストリウムへ

2018-06-29 | 
ミュンヘン行の準備万端を整える。燃料は138セント弱で入れた。昨年からすると10セントほど高くなっているが仕方がない。その中で安く入れられてだけでよかった。こちらは快晴でどんどん気温が上がり摂氏30度に近づくようなのだが、午前中早く出て、アルプス地方で雨に合うと20度を下わまる。朝食のパンは購入したが、ピクニック用にはやはり握り飯を一合と果物などだろうか。帰りのこともあるので、昼飯を摂っても何かを準備しておかないと眠くなる。肉屋でサラミも買いたい。

涼しい日々から週末、週明けに掛けて真夏になるので先に汗を掻きたかった。森の中は時刻も遅くなったので、気温は20度前後ながら、とても苦しかった。空気が急に重くなった感じだ。前夜に窓を開けて就寝したので体が重くて早起きが叶わなかった。

途上のタブレットに楽譜とラトルのパルシファルを準備したが、もう一つラディオ中継の録音準備が済んでいない。アウダシティーのタイマーは問題ないと思うが、バイエルン放送協会のストーリーミングが上手く流れ続けるかは少し不安だ。もう一度テストしてみよう。もう一つはPCのセッティングで、僅か一年半ぐらいで1TB近い容量を消費している。七時間回して録音しても、7GBにしかならないが、Dディレクトリーは80GBしか残りが無いので要らぬものを消去して整備したい。どうせ年内には新しいPCを買わなければいけない。

承前)三幕はこれまた冒頭から対位法的な進行となって、どうしても交響楽団の演奏としてもう一つ上の精度を期待してしまう。このような書法はコンセルトヘボー管弦楽団などがお得意とするところではないか。これも合う合わないの問題でなくて、アンサムブル文化の相違だろう。そしてこの始まりは、「マイスタージンガー」三幕トリネコの音楽から遥々と辿り着いたという感が強く、クンドリーの呻き声で我に返る。山なりの音型が上に下へと漂い、まさに程よく浮揚して、ラトルに言わせれば巨鳥が海原を飛翔すると、ミステリウムの聖金曜日の音楽否その前に緑の原を行くことになる。緑の木曜日だ。この美しさと優しさは、このラトルの演奏で格別で、二幕の秀逸さに続くものだ。

三幕の前に登場すると激しい喝采を受けて客席の方へと身体を向けた指揮者だったが、喝采はシュテムメに向けられたものだったろう。しかしラトル自身もその出来には自信があったに違いない。聖金曜日での鐘の音響などもバーデンバーデンの神秘には至らないが、二幕とは異なりこの三幕では合唱が出て来る頃になると全ては台無しとなっている。その歌わせる場所の効果や音響や合唱の質など以外に、ヴィオラ陣などが折角のところで配慮の無い音で弾いており、如何にこの楽団はそうした音色に拘るだけの質に達していないことが知れる。これだけの楽団にしてはあまりにも不細工な音を奏でている。そこにまたスケルトンのパルシファルが何ら配慮も無いような歌を披露していて、決して演奏の水準を上げるようなことは無い。なにもカウフマンを待つまでも無く、もう少し上手に歌える人はいる筈だ ― バーデンバーデンでのシュテファン・グールドは流石に違った。要するにこの歌手にとってはトリスタンもジークフリートもパルシファルも変わらないらしい。確かに板の上での歌唱なので管弦楽にマスキングされないような配慮が働いているのだろうが、このような舞台神聖劇の音楽をそのように演奏するのが間違いなのだ。最後に再び六拍子の効果などもあり、とても上手な作りを聞かせる演奏なのだが、やはり「救済」へとは至らなかった。(終わり)

インタヴューではゲオルク・バゼリッツの話しが面白かった。彼は奥さんに同伴してオペラに出かけるがあまり熱心にはなれないと言う。それほどの音楽ファンで、音盤愛好家らしい。要するにクラシックオタクである。そして「パルシファル」は最初の前奏曲の12分で全て終わっているのに、どんどん続いて素晴らしいと言っている。これは中々示唆に富んでいる言葉で、どれほど分析的なものか直感的なものかは分らないが、中々いい。

更に所謂演出劇場の読み替えをあまり評価していなくて、今回も寧ろその緞帳などの幕を作ることで古典的な劇に戻すのが狙いのようだ。だからト書き通りにものが登場するらしい。最終的には演出家の腕だが、あまり邪魔になるような演出にはならないのだろう。さてどう解決するのか?



参照:
予定調和ではない破局 2018-01-31 | 文化一般
大蝦米とは何のこと? 2018-06-05 | 雑感

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