Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

フランケン葡萄処漫遊記

2024-06-21 | 試飲百景
ヴュルツブルク訪問の目的の一つにワインの試飲もあった。四半世紀前に出かけた時は可也上流のフォルカッハとかで物色した覚えがあて、そこのマドンナ像の絵葉書が今も手元にある。その後所謂フランケンヴァインに関しては、リースリングのメッカに住んでいるものとしてはその土壌の石灰質からして評価するのは難しくなって、試飲しに行くだけの価値は見いだせなかった。

要するにすっきり辛口とか言われるそれは、直ぐに黄色くなってしまうような質の悪い表層的な辛口リースリングでしかないとなる。本格的なリースリングは雑食砂岩のエッジの効いた辛口でしかない。

そのような中でもミュンヘンのダルマイヤーなどでのシルファーナーの食事への合い易さなどから見直していた。そこで今回は、時間のある日曜日に開いているVDP加盟醸造所からシュロース・ゾンマーハウゼンに出かけた。オーナーがワイン街道ノイシュタットのミュラーカトワール醸造所の前名親方シュヴァルツの下で修行したということである程度の傾向を掴んで出かけた。

辛口のジルファーナ―とリースリングを一通り試した。やはりお得意はジルファーナ―であって、流石に2021年のヴィラージュワインとなるとスモーキーであってとても価値があると同時に、流石ステンレス熟成名人のそれを習って清潔度と純度からの新鮮度がよいかった。しかし、比較で出されたブラウワージルファーナ―の濃くと旨味は通常のグリューナーと変わらないピュア―さに加えて深みとなっているのだ。二年程は寝かせるワインだというのも直ぐに分かった。

そもそも通常のそれが中世からマインから遠くないカステルという街で栽培されてから、フランケン地方でも広がったようだが、戦後にそこのゾンマーハウゼンで色づいた葡萄を選別して新たなクローンとして栽培が始まった様である。だから本格的にも1985年以来の品種となって、今にあるので初めて出逢っても不思議ではなかった。

その他プルミエクリュのアルテレーベンとか、グランクリュと試したのだが、本数を重ねて楽しめそうなのは上のヴィラージュの二種類しかなかった。つまり、自宅で開けて二本三本目と楽しめるワインというのはそれなりの深みがないといけないということだ。そういうワインはフランケンではそんなにないのである。

結局通常の三本でまだ最後のアスパラガスを食して飲み干してしまい。ブラウワーの方の六本は二年ぐらいかけてゆっくりと試しようと思っている。なるほどこの醸造所は既に息子の代なっているようで、木樽による付加価値化を考えているようだ。私が先代にシュヴァルツ親方のそのものだと伝えてくれと語る一方、その熟成に関して質したからなのだが、実際にグランクリュワインが僅か32ユーロしかしないというのは、VDPの組織やそのコンセプトからすると拙い。

はからずしも、またまたVDPの隠密活動みたいになって仕舞った。最後に印籠を示したところだった。お忍びの独ワインの旅となった。ワイン試飲でも音楽の催し物でも同じような塩梅になってきている。



参照:
ぶらさげてなさい、ボックスボイテル 2010-05-25 | ワイン
よかった宿での食事 2018-10-06 | 料理

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