Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

マイン河を徒然と溯る

2006-02-24 | 生活
フランクフルトは、マイン河畔にある。AM MAINと態々付けるのは、ポーランドとの国境とされるオーダー河畔にもフランクフルトがあるからだ。現在のブランデンブルク州のフランクフルトは、大プロイセン盛んな時期に交通の要所として大変繁栄していた様である。しかし、飛行場としても、欧州銀行の所在地としても、ドイツ革命の歴史的場所としてもヘッセン州のフランクフルトは遥かに有名である。

先日、フランクフルトのアルテオパーを訪れる前に、ワイン産地として有名なホッホハイムのワイン醸造所を訪ねた。マイン河とライン河は、ホッホハイムを過ぎると間もなく交わる。対岸のオペルのあるリュッセルハイムからはマイン河に橋が掛かる。川下のヴィースバーデンは、ライン河を挟んでマインツと向かい合っている。

ホッホハイムからフランクフルトまでは、30KM 程しかないので、高速道路に乗らずに銀行の都市を目指す。マイン渓谷の丘の上の町から川沿いに上って行くと何時の間にか、川向こうの南側に出ていて、12キロ程車を走らせると、大きな森が右側に張り出して来る。川を離れる前に、マイン河を覗く。向こう岸には小さな工場があったりして、殺伐とした光景である。ここからフランクフルトの町まで川岸を歩く事も出来る様で道標などが見かけられる。

此処の光景で思い出したのがセーヌ河の上流となるオルリー空港の近くのイブリー周辺で、先ほどのフランスの暴動騒ぎの時も注目された地域である。そう言えばヒースローに近いテームズ河を溯ったウィンザー・キャッスルのフィッシュレストラン周辺の光景も此れに何所となく似ていた。しかしこのフランクフルト周辺は更に田舎であって、その地理的な都市圏規模からしてもパリやロンドンとは比較出来ない。

そこから、川を離れて森の中の道を行くと直ぐにケルスターバッハの飛行場の防護壁へと行き当たる。二十メートルほど高さの鉄筋で出来た巨大な防護壁は、ジャンボの激突にも問題なく堪えそうである。外側には、ロギスティック関係の保税庫や会社などが立ち並ぶ。防御壁がところどころ切れる門には、カーゴセンターや空港の税関、ルフトハンザの施設などが並び、空港のお勝手口となっている。

そこから、フランクフルトの町へは対岸のヘキストの町を過ぎて、10キロほどである。フランクフルトからは、路上電車がヴィースバーデンへと伸びている事などは知識としては知っていたが、何時も渋滞の多い高速道路を走っていると、この距離感は今までなかなか得られなかった。

こうして、マイン平野の北側のタウナスに比べて余り美しくないイメージのある南側をドライヴして、フランフルトの駅前の横断歩道を過ぎると、世界中から遣ってきたカバンを持った旅行者や忙しそうな通勤者で賑わう。この町がインターナショナル姿を見せ始める。

夜間料金になった駐車場に車を停めてから、一寸した買い物をするために、地下鉄のターミナルとなって入る一駅先のハウプトヴァッヘへと歩く。途中、ソファーの置いてあるコーヒー店を見つけて、BLOGで知ったスターバックとか言うコーヒーチェーンと判り、しげしげと店の中を覗き込む。椅子の割りに狭苦しい感じで、昔からの名曲喫茶の現代版の様な感じである。BGM無しで静かなのだろうか?

百貨店につくと、19時に大手百貨店が店じまいするワイン街道と比べて、この時間でも未だ入り時で驚く。此処までの間にあった幾つかのデリカテッセンの店も大層良さそうであったが、地下の食料品売り場には寿司バーだけで無く、魚やらなにやらお惣菜形の物もあり、外国人の多い客層と相まって別世界である。

買い物を済ませても未だ時間が有ったので、立ち読みに何時もの本屋へと立ち寄る。あれやこれやと覗きながら、英書コーナーでソファーに腰掛けてカズオ・イシグロの本を捲り、BLOGでの紹介や現地取材とかコメントで語られたヴィンフリード・G・ゼーバルトの著作を探す。アルゴイ生まれで英国へ移住して、そこで亡くなった作家であったので、英語原文とも考えていたが、コーナーからコーナーへと行ったり来たりしているうちに、ドイツ語のオリジナルが何冊もの文庫本になっているのを見付ける。確か『目眩まし』の裏表紙を見ていて先日「ヴォイツェック」で出て来たカール・エミール・フランツォーズが取り上げられていると知り、なるほどと思って、選択購入前にもう一度ネットで各著作について調べて見なければいけないと店を出る。



参照:
タウヌスの芸術家植民地 [ 文化一般 ] / 2006-02-01
再生旧市街地の意義 [ アウトドーア・環境 ] / 2005-11-20
ゆく河の流れは絶えずして [ 音 ] / 2005-08-01

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2 コメント

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路面電車 (ohta)
2006-02-24 19:30:12
 フランクフルトでは地下鉄だと思って乗っているといつのまにか路面電車になっているというところがいくつかありますね.市内のデリカテッセンについてはあまり当たり外れはなく,平均値は高いようです.しばしば Kleinmarkthalle で香辛料を買い,通りの店か百貨店で靴を物色したのち飛行場へ行きます.フランクフルト中心部では高級車が多いので,車で走って接触したら面倒であると現地でもらった英語のリーフレットに出ていましたが,確かに高級車を多く見かけます.飛行場の防護壁はケルタースバッハではなく Kelsterbach ですね.



 昨日ちょうど自分の Web にゼーバルトの「移民たち」,「目眩まし」などの心覚えを掲載したところです.「目眩まし」の方には掛詞ではありませんがいろいろからみあって出てきて混乱させられます.
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クラインマルクトハーレ (pfaelzerwein)
2006-02-25 07:05:28
ゼーバルト関連記事にリンクを張りました。



クラインマルクトハーレには、トルコの野菜類が多いと聞いて、横の駐車場に車を停めて、訪問した事があります。最近はあちらの方に車を停める事は殆んど無くなりました。カイザーシュトラーセの方に乗り入れると時間が掛かりますから。



高級車・高性能車の割合が減るのは、バードホンブルクから北へ道が悪くなってからでしょうか。
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