第九章 直人のパソコンの秘密
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「もうクタクタよ」
美智子が自由が丘の母のもとに戻ったのは翌日午前2時になっていた。
「すぐ風呂に入って休むといいわ」
美智子が異物混入の水を飲んだことは知っていた。
そのあとは何事もないとキリコからこまめに連絡がはいっていた。
それでも……。
母親の里恵はおろおろしていた。
美智子がバスルームに入るのを見とどけた。
部屋で電話がなっている。
「いまごろだれかしら」
泊まり込みで警護に当たってくれることになったキリコと里佳子が部屋にいた。
里佳子が受話器を取り上げる姿が里恵の視線の先にあった。
里佳子の受話器を持った手が一瞬ガクッと震えた。
「どうしたの? なにかあったの?? 里佳子‼ 里佳子」
里恵は駆け寄った。
里佳子が黙って姉に受話器をわたした。
母からだった。
「お父さんから連絡がないけど、そちらに、着いているでしょうね」
いつものやさしい母、智子の口調だった。
でも、訊かれた内容はおどろくべきものだった。
里恵は自分も一瞬妹の里佳子のように、いや体まで震えだした。
どうしてこのところ、悪意のあることばかり起きるのだろう。
父にかぎって、途中でどこかに寄るなどということはない。
ここに来るまでに、なんらかのトラブルにまきこまれたのだ。
連絡できないようなトラブルにまきこまれたのだ。
こんどは、受話器の向こうで母が固まっている。
その様子がありありと感じられた。
「おかあさん、おかあさんもこっちへ来て」
「里佳子を迎えにやるから、準備しててね」
いよいよだ。
また、わたしが小学校に通っていたころのように、害意ある事件が起きる。
これって父に聞かされていたわが家の家系に起因することなのかしら。
どこの家でも、その家の伝説みたいなものはある。
都市には都市伝説がある。
家には家系伝説がある。
あまりナーバスにならないほうがいしい。
キリコが連絡をとっている。
「美智子さんのおじいちゃんが行方不明なの」
連絡先はわからない。
あまり問いただすのも失礼と思い、里恵はソファにすわった。
落ち着かなければ。
美智子がタレントとして復帰したのだ。
ようやく3年の空白を埋めようと始動した。
そのためにこんな事件が起きているのだろうか。
そのためにこんな不吉なことがつづくのかしら。
それはいろいろ起きるだろうとは覚悟していた。
でもこんなことがたてつづけに起きるとは!!
想像もしていなかった。
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「もうクタクタよ」
美智子が自由が丘の母のもとに戻ったのは翌日午前2時になっていた。
「すぐ風呂に入って休むといいわ」
美智子が異物混入の水を飲んだことは知っていた。
そのあとは何事もないとキリコからこまめに連絡がはいっていた。
それでも……。
母親の里恵はおろおろしていた。
美智子がバスルームに入るのを見とどけた。
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「いまごろだれかしら」
泊まり込みで警護に当たってくれることになったキリコと里佳子が部屋にいた。
里佳子が受話器を取り上げる姿が里恵の視線の先にあった。
里佳子の受話器を持った手が一瞬ガクッと震えた。
「どうしたの? なにかあったの?? 里佳子‼ 里佳子」
里恵は駆け寄った。
里佳子が黙って姉に受話器をわたした。
母からだった。
「お父さんから連絡がないけど、そちらに、着いているでしょうね」
いつものやさしい母、智子の口調だった。
でも、訊かれた内容はおどろくべきものだった。
里恵は自分も一瞬妹の里佳子のように、いや体まで震えだした。
どうしてこのところ、悪意のあることばかり起きるのだろう。
父にかぎって、途中でどこかに寄るなどということはない。
ここに来るまでに、なんらかのトラブルにまきこまれたのだ。
連絡できないようなトラブルにまきこまれたのだ。
こんどは、受話器の向こうで母が固まっている。
その様子がありありと感じられた。
「おかあさん、おかあさんもこっちへ来て」
「里佳子を迎えにやるから、準備しててね」
いよいよだ。
また、わたしが小学校に通っていたころのように、害意ある事件が起きる。
これって父に聞かされていたわが家の家系に起因することなのかしら。
どこの家でも、その家の伝説みたいなものはある。
都市には都市伝説がある。
家には家系伝説がある。
あまりナーバスにならないほうがいしい。
キリコが連絡をとっている。
「美智子さんのおじいちゃんが行方不明なの」
連絡先はわからない。
あまり問いただすのも失礼と思い、里恵はソファにすわった。
落ち着かなければ。
美智子がタレントとして復帰したのだ。
ようやく3年の空白を埋めようと始動した。
そのためにこんな事件が起きているのだろうか。
そのためにこんな不吉なことがつづくのかしら。
それはいろいろ起きるだろうとは覚悟していた。
でもこんなことがたてつづけに起きるとは!!
想像もしていなかった。
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