9月10日 金曜日
「とうとう、ルナだけか。さあ、英語の勉強しよう」
GGは黒板に向って、英語の授業を始めた。
中学生の熱気でブァンと教室が膨らんだような時があった。
教え子の顔がつぎつぎとうかぶ。教室には今は、生徒はいない。
「母国のアメリカに行ったときに英語が理解できないと困るからな」
GGは一人寂しくアメショウのルナを相手に一人授業を始めていた。
ルナは神妙な顔でGGを見あげている。
いつかはこういう時が来る。
それは覚悟していた。
でも、生徒が中二が一人。教室はいつもガランとしてさびしいかぎりだ。
歳を重ねるということは、一過性のことなので何が起きるかわからない。
脳梗塞で倒れた時、ベットで、「イシの力ではどうしようもないことなので、驚いた」
と、ロレロレの発音でいった。
担当医が目を白黒させて驚いていた。
それで気がついた。
わたしは「意志」といったのだが彼は「医師」と聞き取ったらしい。
I am strong-willed. おもわず英語になった。
「あっ。アサヤ先生だ」看護師が教え子のKちゃんだった。
保険証の名まえ麻屋とはちがうので、わからなかったらしい。
街にでても、懐かしい顔に声をかけられる。
さて、これからが本番。
一番やりたかったことで、がんばりぬきたいものだ。
もちろん、小説を書くことだ。
この年になって、一番やりたかったことだけ考えて過ごせる。
なんと幸せなことだろう。
一番食べたいものを、最後にまわしたこどものような心境だ。
あと、二十年は頑張るからな。
一緒に、死のうよ、ルナちゃん。
そうすると、ルナも、猫の歳で百歳くらいになるのだろう。
麻屋与志夫の小説は下記のカクヨムのサイトで読むことができます。どうぞご訪問ください。
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教え子の顔がつぎつぎとうかぶ。教室には今は、生徒はいない。
「母国のアメリカに行ったときに英語が理解できないと困るからな」
GGは一人寂しくアメショウのルナを相手に一人授業を始めていた。
ルナは神妙な顔でGGを見あげている。
いつかはこういう時が来る。
それは覚悟していた。
でも、生徒が中二が一人。教室はいつもガランとしてさびしいかぎりだ。
歳を重ねるということは、一過性のことなので何が起きるかわからない。
脳梗塞で倒れた時、ベットで、「イシの力ではどうしようもないことなので、驚いた」
と、ロレロレの発音でいった。
担当医が目を白黒させて驚いていた。
それで気がついた。
わたしは「意志」といったのだが彼は「医師」と聞き取ったらしい。
I am strong-willed. おもわず英語になった。
「あっ。アサヤ先生だ」看護師が教え子のKちゃんだった。
保険証の名まえ麻屋とはちがうので、わからなかったらしい。
街にでても、懐かしい顔に声をかけられる。
さて、これからが本番。
一番やりたかったことで、がんばりぬきたいものだ。
もちろん、小説を書くことだ。
この年になって、一番やりたかったことだけ考えて過ごせる。
なんと幸せなことだろう。
一番食べたいものを、最後にまわしたこどものような心境だ。
あと、二十年は頑張るからな。
一緒に、死のうよ、ルナちゃん。
そうすると、ルナも、猫の歳で百歳くらいになるのだろう。
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