12月23日 水曜日
●今年はたしかに生りものは不作だった。わが家の柿はたった二個しか生らなかった。いつもの年には、二個くらい取り残しておいて子守柿としている。木守柿ともいう。一般的には最後の一個まで取りつくさないで、柿の木に来年の豊作をねがって、あるいはたわわにみのってくれた感謝の気持ちとして残しておくのだという。
●わたしは、子守柿という文字のほうが好きだ。冬になって山に食べ物の少なくなった小鳥たちのためにとっておいてやる。この解釈のほうが里人のやさしいこころが伝わってくる。
●ところが今年は二個。これでは人間様が食べるわけにはいかない。はたせるかな、このところ小鳥が朝からにぎやかに鳴いて集まってきている。
●烏瓜も、前回のブログで書いたが数個しかならなかった。中身はすっかり食べつくされた。皮だけがのこっている。あれほど鮮やかな赤みをおびていたのに。いまはすっかり色あせ、乾ききっている。寒風に揺れている。夏椿の小枝で乾いた音を立てて黒髪颪の吹きすぎていくわが庭の冬の風物詩となっている。
●「小鳥が来ている」
妻が耳ざとくさえずりを聞きつけた。
「もう、柿も烏瓜もないのよ」
「リンゴとかお米をあげたら」
「どうやって……」
●妻は、昔買っておいた金属製の小鳥籠を椿の枝にさげた。そこに餌としてリンゴとコメを入れておいた。
●はたせるかな、今朝も早朝から小鳥がさえずっている。
●わたしの作品は角川BOOK WALKER 惑惑星文庫で読んでいただけます。
麻屋与志夫の小説は下記のカクヨムのサイトで読むことができます。どうぞご訪問ください。
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●わたしは、子守柿という文字のほうが好きだ。冬になって山に食べ物の少なくなった小鳥たちのためにとっておいてやる。この解釈のほうが里人のやさしいこころが伝わってくる。
●ところが今年は二個。これでは人間様が食べるわけにはいかない。はたせるかな、このところ小鳥が朝からにぎやかに鳴いて集まってきている。
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●「小鳥が来ている」
妻が耳ざとくさえずりを聞きつけた。
「もう、柿も烏瓜もないのよ」
「リンゴとかお米をあげたら」
「どうやって……」
●妻は、昔買っておいた金属製の小鳥籠を椿の枝にさげた。そこに餌としてリンゴとコメを入れておいた。
●はたせるかな、今朝も早朝から小鳥がさえずっている。
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