田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

「桜田門の変」を想いだす春の雪。 麻屋与志夫

2019-04-10 18:16:43 | ブログ
4月10日 水曜日

●灰色の空からおちてきていた雨がいつしか白いものにかわっていた。雨音がとだえたので、オヤッと思い書斎のカーテンをあけてみると雪になっていた。

●トタン屋根にうっすらと純白の春の雪がつもっていた。この季節の雪はまことにめずらしいことで、さらに北に面した窓のカーテンもひいてみたら千手山公園の桜にも雪が降りときならぬ真白な桜を観ることができた。

●子供の頃、春の雪が降るとよく母から「桜田門の変」についてきかされた。春の雪の中で、その雪を真っ赤に染めた変事が起きたさまをいまでもよく覚えている。それほど母の話しには描写力があった。

●その桜田門の変に水戸の浪士がふるった刀の中に鹿沼の「稲葉鍛冶」細川氏の打った刀があったことを知るのはわたしが小説をかきだしてからのことだ。

●稲葉鍛冶として有名になった。刃こぼれ一つしなかったというので名声を博したらしい。そしてわたしは考えるのだがこの鍛冶屋は刀だけを打っていた訳ではない。麻切り刀を毎日のように打ちあげていたのだろう。農村で使う刃モノをぜんぶ引き受けて仕事をしていた野鍛冶屋だったのだろう。そこから名刀が産みだされたのだ。稲葉鍛冶屋はいまは廃屋となっているがかろうじて読める看板をかかげて麻苧町にのこっている。後継ぎムスコが、わたしの二級センパイで知り合いだった。元気でいるのだろうか。

●ともかく、この麻苧町の西には広大な麻畑が広がっていた。麻の仲買いが11軒もあった。その仲買いの家を一軒いっけんまわって麻を買い集めるのが問屋の息子としてのわたしの仕事だった。

●雪の日。思わぬことを思いだしてしまった。



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