田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

春を歩く  麻屋与志夫

2013-03-17 08:09:27 | ブログ
3月17日 日曜日
春を歩く

●昨日はしばらくぶりで散歩に出た。
寝込むほどではないのだが、
ストレスと疲労がたまって、
このところ塾の授業をするほかはなにもしていなかった。
ブログもごぶさたしてきたし、
小説も一行も書いていない。
そこへきて、
パソコンの具合が悪い。
迷惑画面が不意に現れたりして、
いいことがない。
なにかいいことが起きないかと待っていた。
でも待っているだけでは、
なにも起きない。
暖かになってきたことだし、
と思い外に出た。
ひとりで、
散歩にでるのは何ヶ月ぶりだろうか。

●弁天池の脇をとおって母校である北小学校にむかった。
池には置物のようなカメが甲羅干しをしていた。
ときおり首を、のっとつきだすので生き物だとわかる。
まったくムダな動きをしな。
のほほんと生きている。
カメは百年生きるという。
ひょっとするとわたしが奉納したカメもまだ生きているかもしれない。
そう思うと、
むかしのことがふいに脳裏に蘇ってきた。
学校の裏の野道を歩くことにした。

●池から少し行く。
このへんに石井文房具店があった。
石井のコウチャンという同級生がいた。
いま思うとダウン症だったのではないか。
わたしも体が弱くてあまり学校には出席しなかった。
ふたりとも、
いじめられっ子。
それで、
気が合ってよく下校の道すがら、
おしゃべりをした。
あのころのことが、
ムショウに、
懐かしい。
そのうち書いてみたいものだ。

●野道にでた。
小川をまたいで進むのが楽しい。
男体山の雪もだいぶ融けて、
遠目にも青い山肌がくっきりとしてきたのがわかる。
ああ、春になったのだなと納得しながら歩をすすめる。

●川の流れにメダカが泳いでいた。
この小川ではドジョウやフナやオタマジャクシをすくったものだ。
あの川遊びを共にした仲良しだった中津博君は――いまはもういない。
さびしい。

●スズメの囀りが遠く近く、きこえてくる。
芽吹きだした雑木林が薄紫色にけぶっている。

●『寒明の風にふくらむ雑木林』 
今は亡き小学校の時の恩師石島朝治の秀句をくちずさみながらあぜ道を歩く。
北小は当時作文教育がさかんだった。
わたしがこうしてまがりなりにも小説家となれたのは、
あのころの先生方のおかげといまも師恩をありがたく思っている。

●畑の中に咲く紅白の梅の花。
イヌフグリ、
名前にはそぐはない、
水色のカレンな花の群生。

●道端の長年の風雪でくだけた道祖神。
その肩のあたりがかけおちているさまが枯淡の味があっていい。
黒川には釣り糸をたけるひとがいた。
すれちがったひとが小さな手帳をわたしのように持っているのが目にとまった。
俳句の吟行なのだろう。

●鹿沼の里に、どうやら春が訪れていた。


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コメント
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