田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

杏酒

2007-06-22 06:45:17 | Weblog
6月21日
●今日は晴れていた。明日からはいよいよ降り出すらしい。もうじき杏の収穫の時だ。わが家は裏庭に杏の木がある。結婚してまもなくの頃、カミサンと連れだって花市でよく樹木の苗を買った。花市は、2月にある。黒髪颪の吹く北関東の厳しい冬がもうじきおわろうとしている。ひとびとの心の中では春がはじまっている。そうした時期に露天商が街のメインストリートに店をならべる。寅さんじゃないが、お国ことばも引っ提げて全国からあつまってくる。              
●杏。白モクレン。キンモクセイ。沈丁花。そして黒竹。その杏が実をつけるようになってからすでに何十年もすぎている。恋人であったころ、カミサンは「わたし杏の里に住みたいの」と夢見ていた。里とはいかないが、杏の花を楽しむことはできる。わたしは、花より団子。カミサンの杏酒を期待しているのだが。ここ数年異変が起きた。
●脚立にのったり、塀の上にのって長い竿で杏の小枝をたたくのがこわくなつた。
杏を落とすことが億劫になったのだ。もし足をすべらせて落ちでもしたらたいへんだ。これからまだまだ書きたいことがいっぱいある。けがなどしていられない。
●杏酒は飲みたい。ことしはまたメルシャンの白ワインで漬けてもらいたいなぁ。メルシャンの500円台のワインで十分だ。おそらく、日ごとに、年ごとに強くなっていくカミサンが脚立にのる。わたしが脚立を下で支える。そんな構図が脳裏にある。
●むせかえるような緑の群葉の中にわが家はある。緑につつみこまれている。これも田舎住まいのうれしいことの一つだ。