〈 「日本記者クラブ」とは、どんな組織なのか。 〉
ウィキペディアの説明では、次のように書いてあります。
・以前は内閣府所管の一般社団法人だったが、平成23 ( 2011 ) 年4月1日に内閣府から分離され、公益社団法人に移行した。
平成23年以前、「日本記者クラブ」は内閣府から設立の認可、事業の監督を受けていましたが、平成23年以後は有識者からなる合議制の委員会に設立の認可手続きを含め、事業の監督が移行されています。
そこで、公益社団法人の説明です。
・公益社団法人とは、法律に基づいて、「公益」活動を主な事業目的として活動している社団法人を言う。
・公益社団法人に認定される最大のメリットは、「公益社団法人に寄付する法人・個人が税制上の優遇措置を受けられるため、団体に寄付金が集まりやすい」ことにある。
ここまでは一般的な説明ですが、次から「日本記者クラブ」に関する個別の説明になります。
・新聞、通信、放送( 在京外国メディアも含む)、の報道機関による独立組織で、政府などから公的な財政支援は受けていない。
・アメリカのナショナル・プレスクラブに範をとっており、官公庁などの取材拠点としての「記者クラブ」とは、その形態、性格を異にしている。
詳しく調べれば、「総裁選討論会」での横柄な対応の理由が分かると思いましたが、予想が外れました。たかが内閣府所管の社団法人だった「日本記者クラブ」が、どうして総裁候補者を手玉に取るような力を持つようになったのか、明らかになりません。
忍耐強い学徒ですから、先へ進みます。設立経緯の説明です。
・日本新聞協会、日本民間放送連盟 ( 民放連 ) 、日本放送協会 ( NHK)が共同で提唱し、日本の「ナショナル・プレスクラブ」として設立された。
・戦後20年以上にわたり、国賓・公賓など外国からの要人が来日した際には、「日本海外特派員協会(FCCJ・外人記者クラブ)」に招かれて会見し、日本のプレス主催による公式会見は行われていなかった。
・これに対し昭和45 ( 1970 ) 年の大阪万博で、外国要人の来日ラッシュが予想される中、「日本にもナショナル・プレスクラブを設立すべき」との声が高まった。
・萬直次・日本新聞協会会長(日経)を委員長として、「プレスクラブ設立準備委員会」が立ち上がり、民放連やNHKも参加。
・これら3団体の長を設立発起人に昭和44 ( 1969 ) 年11月、任意団体として発足した。なおこの時点では、諸外国の大手メディアの特派員や記者は加盟することができなかった。
・昭和44年の発足後、昭和45 ( 1970 ) 年3月に帝国ホテル新本館4階の「松の間」にて開設し、6月に帝国ホテル東館に移転した。
・昭和47 ( 1972 ) 年、新聞協会加盟社によって「株式会社日本プレスセンター」が創設された。
・昭和51 ( 1976 ) 年7月31日に日本プレスセンタービルが完成し、帝国ホテルから移転した。移転を機に会員制度を変更、外国プレスや企業などの報道機関以外も賛助会員として入会できるようになった。
・昭和49 ( 1974 ) 年には、任意団体からから ( 一般 ) 社団法人に移行している。
ウィキペディアの説明を読んでも、「日本記者クラブ」の横柄な姿勢の原因が掴めません。何となく分かるのは、平成23年の4月以前内閣府所管の社団法人だった頃は、政府の管理下にいて大人しかったのではないかということです。
平成23年の4月以降内閣府から切り離され、公益社団法人となって以降、大きな力を持つようになったのだと思います。令和4年現在の会員者数を見ると、その力が推察できます。
会員数が179社、個人が2,132人となってい、会社名は公表されていますが、個人名は省略されています。
参加会社を業種に見ますと、新聞社、通信社、放送、企業団体となり、地方紙・地方局を含め全国のマスコミが参加しています。煩雑なので会社名を転記しませんが、産経新聞も会員名に書かれています。
「日本記者クラブ」に特有の会員と思われるのが、大使館、国際機関、国際団体、海外メディアが会員になっているところです。
海外メディアで会員になっている国を紹介しますと、アメリカ、フランス、ロシア、中国、シンガポール、パキスタンです。不思議なことにイギリスのメディアが参加しておらず、インド、インドネシアなど他のアジアの国も参加していません。
また中国の中に台湾メディアを含めて表示しているのも、違和感があります。台湾は中国の一部であると言う、中国政府の主張を「日本記者クラブ」が認めていることになりますが、果たしてそれで良いのでしょうか。
調べるほどに疑問が増えますので、休憩のつもりで、「日本記者クラブ」が掲げている「目標」と「活動内容」を紹介します。立派なことが書かれていますので、これなら安心です。
〈 会の主眼 ( 目標 ) 〉
・会員のジャーナリズム活動や報道を通し、広く国民が共有する情報となることにより、国民の知る権利、国民生活の向上安定、および国際相互理解の促進に資すること
〈 会の活動内容 〉
・報道上必要と認められるニュースソースの関係者を招き、報道人との会見あるいは懇談などの会合の開催 他
今回の「総裁選討論会」も上記活動内容の一つで、「日本記者クラブ」が報道上必要と認めた、ニュースソースの関係者を招き、報道陣との会見をさせたと・・・こう言うことになります。
横柄な姿勢はここから生まれていますが、内閣府の管轄下にあった時なら許されなかった行動ではないでしょうか。
この結論ではモヤモヤした割り切れなさが残り、学徒は満足できません。次回はもう少し、別の角度から検討してみたいと思いますので、関心のある方だけご訪問ください。