ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『金○日の核と軍隊』 - 11 ( 「ソウル火の海作戦」の意味 )

2022-07-19 17:31:37 | 徒然の記

 韓国と北朝鮮の仲は、どうなっているのか。外から見ていると、よく分かりません。韓国の歴代左翼政権は、北朝鮮に気遣い、一歩も二歩も下がっています。文在寅大統領の姿を見ていますと、朝鮮半島の正統政府は北朝鮮であるかのように見えたりしました。

 人民軍では、実技と共に政治学を教えていると説明していましたが、1993 ( 平成5 ) 年の講義を氏が紹介しています。

 「戦争が起きたら、南朝鮮人4千万人をすべて殺さなければならない。彼らは子供の時から反共教育を受けてきたので、統一されたとしても、絶対に共産主義は認めないだろうし、反共思想をビッシリと叩き込まれているので、彼らを共産主義で武装させるのは、不可能である。」

 この文章を読んだ時の衝撃を、何と語ればいいのでしょうか。やはりそれは共産主義思想の恐ろしさとしか、言いようがありません。北朝鮮の言う「南北統一の悲願」とは、人間を無視した国土の統一であることが分かりました。信じられないほどの、徹底した思考です。金○成と金○日は、共産主義以外の思想に染まった人間の思想改造の困難さを知っているだけに、殺してしまった方が国のためになると考えているようです。

 ( 似たようなことを実行したのが、カンボジアのポルポト政権でした。愛国主義者であり民族主義者でもあった彼は、カンボジア共産党政権に忠実でないと思われる国民を、75万人から130万人虐殺したと言われています。)

 氏の説明によると、講義をした黄計算課長は、作戦部・副部長の経歴を持ち、分所内で金○成。金○日に最も忠誠を誓う人物だったといいます。

 「南朝鮮の大学生が、デモや反政府運動を行なっているが、彼らの目的は、北朝鮮の共産主義を支持しているのでなく、南朝鮮の現政権に反対しているのだ。」

 板門店の会談で北側の代表が、「ソウルも火の海になる」と発言したと、私もニュースで聞いていますが、その発言の根拠となっているのが、黄計算課長の「ソウル火の海作戦」だったと氏が語っています。

 「だが韓国に住んでいる国民の多くは、北朝鮮の古くて低い技術を蔑み、その発言をあまり深刻には受け止めていないようだった。しかし北の体制下で生きた人間ならば、その発言の意味を納得するだろう。」

 これから先の説明は、韓国人だけで無く、核ミサイルで狙われている日本人が知るべきだと思いました。

 「北朝鮮では、家庭の主婦が使う裁縫用の縫い針は良いものが作れなくても、装甲車、ミサイルなどの軍需品は上手に作る。これが北朝鮮の体制の特色であり、軍需工業と民需工業がそれぞれハッキリと、分かれて発展してきている。」

 「数年前まで、旧ソ連は世界第一の軍事大国であり、高度の軍事技術と発展水準を兼ね備えた国であった。現在旧ソ連は開放とともにそれまでの社会主義理念を捨てたが、その旧ソ連の技術と兵器で武装した国が北朝鮮なのである。」

 「私の上司である黄計算課長のシナリオによれば、」・・と言う書き出しで「ソウル火の海作戦」を説明しています。文章にすると長くなるので、箇条書きにします。

  ・有事となり、人民軍最高司令部が、核化学防衛作戦部に攻撃命令を出す。

  ・反核反原子分析所は、坑道 ( 百号トンネルと呼ばれる緊急避難用トンネル  ) 内に移動し、そこから核化学戦総合指揮隊に作戦指示を下達する。

  ・その後、第一、第二、第四、第五の各師団は、ソウルへ向けて30キロの距離まで近づく。

  ・速射砲に化学兵器を搭載し、ソウルを一斉攻撃する。

  ・同時に、東から四・二五機械化軍団が、西から八・一五機械化軍団が、38度戦を突破し、ソウルを取り巻くように南下する。

  ・韓国の最南端に位置する済州島の漢羅山の頂上に、北朝鮮の旗を打ち立て韓国征服を終了。

 以上がそのシナリオです。これだけを読むと、単なる計画に過ぎませんが、「核化学防衛作戦部」の内容を知ると、李氏の説明を笑えなくなります。当作戦部が研究開発しているのは、核兵器だけでなく、化学兵器と言われる各種の細菌爆弾です。

 古くは日本軍にあった「石井部隊」、最近有名になったのは中国の「武漢研究所」です。非人道兵器として、各国が使用禁止にしていますが、米英独仏ロ中のどの国も、細菌化学兵器の研究開発をやめていません。

 世界中を「コロナ騒ぎ」で混乱させている「武漢研究所」にしても、元々はフランスの支援で作られた細菌研究所で、アメリカも深く関わっています。李氏の説明によりますと、北朝鮮では、国防科学院、化学院咸興分院、核化学防衛局が研究、開発し、傘下の化学兵器生産工場で製造させています。

 黄計算課長の「ソウル火の海作戦」は、机上の計画でなく、準備されつつある実戦計画だというのが氏の説明です。北朝鮮の山々をくり抜いて、何本も掘られた坑道から、核兵器と細菌爆弾が一斉に発射されるのだとすれば、韓国は一瞬のうちに「火の海」です。

 ここで忘れてならないのは、李氏の次の言葉です。

 「北朝鮮が韓国だけでなく、日本を狙ったミサイル基地を設置しているのには、理由がある。万一、韓半島で戦争が起きた場合、36年間もの間いじめ抜いた日本を攻撃しようというのである。」「実際北朝鮮にとって日本は、韓国よりももっと憎い相手だと人民に認識されている。」

 「ソウル火の海作戦」が、韓国だけでなく、在日米軍基地攻撃と、日本攻撃も同時に考えているとすれば、対岸の火事でなくなります。氏の著書を読み終えた時、私は2、3年前から政府の安保調査会や自衛隊の幹部が、「敵基地攻撃能力」について語り出した意味が分かりました。

 反日左翼政党、学者、マスコミが反対するので、軍事について語れない日本ですが、李氏の本を読みますと、政府と自衛隊の動きの適切さが理解できます。「敵基地攻撃」だけでなく、「相手国司令部」も攻撃目標となりつつあり、核兵器のない日本は、核攻撃に対応するため、ドイツと同じように米軍の核使用権を共有すべきと、安倍元総理が提言していました。

 その安倍氏は、テロ殺人犯の山上が銃で命を奪い、これで日本の安全保障体制の構築が、一歩遠のいてしまいました。

 このように氏の著書は、思いがけないことを教えてくれます。北朝鮮が韓国国民の皆殺しを考えていること、その韓国国民より、さらに彼らが憎んでいるのが日本人であること、彼らは核兵器の研究開発だけでなく、細菌兵器の開発製造も進めていることなどです。

 次回は、金○成一家の内部対立について、氏の説明を紹介します。

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