ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『金○日の核と軍隊』 - 16 ( 無視できない脱北者の声 )

2022-07-23 13:24:18 | 徒然の記

 李氏の著書の61ページに、次のように書かれています。

 「私が亡命したことによって、姉たちも強制的に離婚させられ、どこか山の中にある強制労働収容所で苦労しているかもしれない。そんな姿が、瞼から離れない。なんの罪もない姉たちに、どうか害が及ばないようにと、毎日、ただ祈るばかりである。」

 核と生物兵器の開発機関に勤務していた氏が、機密情報を持って脱北したのですから、残された4人の姉たちが無事であるはずがありません。また98ページには、退学処分を受けた氏が、人生の再出発を賭け入隊し、故郷を離れた時の回想がありました。

 「その日の夕方、身の回りの品を持って、一番上の姉の家に行った。姉は涙を浮かべながら、〈こんなに急に入隊することがわかっていたら、ウチへ呼んで、忠国の好きなものを料理して食べさせたかった〉と、声を詰まらせた。」

 「私も胸がいっぱいになり、俯いて泣いた。両親が揃っている他の家庭とは違い、わが家は姉弟が力を合わせて生きてきたし、姉は長女として、下に続く妹弟のため本当に苦労してきた。」

 「三番目の姉も、私の入隊の知らせを聞いて、泣きながら入ってきた。どうして何も言わずに行ってしまうのかと、姉たちは急な私の入隊について責めた。」

 そして翌日、氏は姉たちや友人、知人に見送られながら、駅で別れをしました。

「見送りに来た友人たちと別れを惜しもうとしたが、姉たちが泣きながら抱きついてきたので、どうすることもできなかった。私は嗚咽をこらえ、姉たちに笑顔を見せた。」「汽車の出発時間が迫り、汽車に乗った途端、それまでこらえていた涙が頬を伝って流れた。」

 「これが、姉たちとの最後の別れになろうとは、夢にも思わなかった。それが分かっていたのなら、姉の手をもう一度握りしめ、抱きしめてあげればよかった。」

 「多くの人たちが故郷を捨て、シベリアや中国地方で今も彷徨っている。いつになったら北朝鮮にいる可哀想な私の姉たちや同胞、またシベリアや中国にいる人たちが、幸せな日を送ることができるのか。今の私には、その日の来るのを指折り数えて待つしかない。」

 私は9年前に読んだ、高英煥氏の著書『平壌25時』を思い出しました。著者は、平成3年に韓国へ亡命した北朝鮮外交官で、李氏が亡命するたった2年前に脱北しています。情報の遮断された国に住む二人は、同じ亡命者でも、互いを知らないままなのではないかと思います。

 ・ゴルバチョフと金○成は仲が悪く、金○成の独裁体制は、彼が非難してやまないものだった。

 ・終戦後に日本から帰国した朝鮮人は、すべて日本のスパイとして扱われ、監視され隔離され、不幸な人生を送っていること。

 なども、高氏の著書で初めて知る事実でした。氏の悲劇は、ソ連の崩壊から始まりました。

 「世界の多くの人びとが、憧れの的としていた偉大なロシアが、社会主義・共産主義の理念を放棄している。社会主義は、机上の楽園だったのだろうか。」

 「無階級社会だといいながら、北朝鮮には厳然とした階級が、存在している。」

 内部告発の監視社会であることをつい忘れ、ふと心の内を洩らしたため、彼はたちまち政府上層部に睨まれることとなりました。結果がどうなるのかを知る彼は、故国に妻と子を残したまま、懸命の工夫で亡命をします。

 妻子や親たちを案じ、彼は今も、夜ごとに号泣すると言うのが、『平壌25時』の中身でした。李氏と同じく高氏もまた、悲惨な人生です。

 だから私は、こうした非道な国を賛美するわが国の左翼主義者たちと、自民党内のリベラル議員が今もって理解できません。

 ソ連崩壊の現実を目の当たりにし、自国の体制に疑問を抱いたこの北朝鮮外交官と、李氏の爪の垢でも煎じて飲むべきでないのかと思う時があります。

 人権を守れ、政権の横暴を許すなと主張するのなら、反日左翼政党の議員たちは、拉致被害者を含め、北朝鮮で抑圧されている人々を救うことが先ではないのでしょうか。政権与党である自由民主党と公明党の議員は、金一族の延命に協力するのでなく、多数の国民の苦境を無くす方に力を入れるべきです。

 日本の政治家は、大切な順番を、敗戦後は間違ったままです。この原因はとりもなおさず、GHQが残した「トロイの木馬」を手つかずのままにしていることにあります。耳にタコができるほど繰り返していますが、ここでも繰り返します。「トロイの木馬」は、次の三つです。

   1. 「日本国憲法」・・平和憲法という美名で、日本の歴史と伝統を崩壊させた悪法

   2. 反日左翼学者 ・・悪法を改正させないため、世間を惑わす反戦左翼理論を発信する組織に集まっている著名学者。( 日本学術会議、日本学士院等  )

   3. 反日左翼マスコミ・・反日左翼学者の意見を全国に発信し、「憲法改正」反対のための情報操作をする組織

 長く続けてきましたが、次回で書評を終わります。

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『金○日の核と軍隊』 - 15 ( 「因果応報」、残忍な粛清 )

2022-07-23 06:02:17 | 徒然の記

 李氏の著書の284ページに、次のような叙述があります。

 「高先輩は、1年間に何回かは必ず金○日と接触する機会があったため、彼の側近についても詳しかった。その人間関係の中で、特に仲が良いのは、唯一同じ血を引く妹の金○姫の夫である張成沢である。」

 「金○日が常に、〈頼りになって信じられるのは君しかいない〉という言葉をかけるほどの、絶対的な信頼を得ている。」

 彼は、共和国国防委員会副委員長、党中央委員会政治局員、党中央軍事委員会委員などの要職をつとめ、軍においては大将の肩書を持ち、実質的なナンバー2とされ、甥である金○恩の後見人的存在と見られていました。中国との交渉は、父の代と同様に彼が一手に受け持ち、政治と金を握っていました。

 その叔父を金○恩は、父の死の2年後の2013 ( 平成25  ) 年12月に粛清します。最高権力者となっても、実質ナンバー2の彼が後見人としているのでは、操り人形にさせられます。しかも彼は、叔母と共に○男を父の後継者として支援していますから、粛清せずにおれない相手です。

 2013 ( 平成25  ) 年12月13日の、朝鮮中央放送の報道を紹介します。 

 「12月13日に開かれた特別軍事法廷で、張は党から除名され、全ての役職と称号を失い、国家転覆陰謀行為により死刑判決を受け、即日処刑された。」

 同放送は処刑の理由について、次のように述べています。

 「敵らと思想的に同調し、わが共和国の人民主権を転覆する目的で敢行した、国家転覆陰謀行為が共和国刑法第60条に当たる犯罪を構成することを、確証した。」

 「犬畜生にも劣る人間のゴミ、凶悪な政治的野心家、陰謀家であり、万古の逆賊である張成沢を革命の名の下に、人民の名の下に厳しく断罪、糾弾し、刑法60条により死刑に処すものと判決を下し、即時実行された。」

 処刑に使用された銃は通常のものでなく、体の原型をとどめなくするほどの破壊力があったといいますから、恐ろしい事件でした。

 その4年後の2017 ( 平成29  ) 年2月13日、マレーシアのクアラルンプール空港で、金○男が顔に神経剤を塗られ毒殺される事件が起きました。

 マレーシア当局は犯人として二人の女性を逮捕しましたが、二人は日本人になりすました北朝鮮人に騙され、日本のお笑い番組 ( ドッキリカメラ   )に出演するものと信じていたと述べました。二人の弁護人は、彼女らは毒物を扱っていたとは知らず、むしろ犯人は逮捕されていない4人の北朝鮮人だと主張しました。

 以後の動きを、ネットの情報から紹介します。

 「2018 ( 平成30  ) 年8月16日、マレーシア高等裁判所は審理の継続を決定し、裁判は11月から再開されることとなった。」

 「この決定にあたって高等裁判所の判事は、証拠は不足しているものの事件が政治的な暗殺である可能性は排除できないとしたほか、監視カメラの映像は両被告が毒物の取り扱いを認識していたことを示しており、〈テレビ番組のためのいたずら〉という説明は不自然であるとの見解を述べた。」

 「北朝鮮政府は事件への関与を否定する声明を出し、マレーシア当局は韓国と共謀して「証拠を捏造」していると非難した上で、勾留されている女性二人と北朝鮮人の男性を解放するよう要求した。」

 「北朝鮮当局者は死亡した自国の男性が金○男であることを認めず、死因も毒物ではなく心臓発作である可能性が高いと述べた。」

 いずれの事件も、金○恩の指示によって実行されていますが、祖父金○成の行った政敵の粛清の繰り返しです。この事件を詳しく紹介しているのは、このように厚顔な嘘をつく北朝鮮を相手に、生真面目に拉致被害者の交渉をしている、日本政府と外務省に怒りを覚えるからです。

 かって日本は朝鮮を支配し迷惑をかけたと、相変わらず日本側は「東京裁判史観」を根拠に、卑屈な姿勢で交渉をしています。しかし今の北朝鮮は、同胞の命でさえ平気で奪う人間たちですから、日本政府の抗議や要求には耳を傾けていません。こうした事実を嫌というほど知っていながら、政治家たちは、保守自民党の議員を中心として相変わらず日朝国交回復を計画しています。

 憲法を改正し、軍の力を行使してでも拉致被害者を奪還する姿勢を見せなければ、彼らは日本を見限ったまま何もしません。先日も紹介しましたが、ここでもう一度「日朝国交正常化推進議員連盟」に名を連ねる、反安倍勢力だった議員名を転記します。自民党内の反日リベラル勢力を現在のままにしておいては、日本の明日が開けないことを、これからはもっと真剣に考えなくてならないのではないでしょうか。

 民意が正しく伝われば、自民党の議員は必ず考えを修正すると信じています。国民を弾圧する共産主義政党でなく、戦後日本をリードしてきた自由民主党の議員は、民意を大切にする政治家だからです。

 会  長  衛藤征士郎(自民党)

 会長代行  額賀福志郎(自民党) 幹事長   中谷 元 (自民党)

 

 幹事長代理 平沢勝栄 (自民党)

 顧 問   二階俊博 (自民党)   岸田文雄(自民党)

       菅 直人 (立憲民主党) 福島瑞穂(社会民主党)

 副会長   塩谷 立 (自民党)   増子輝彦(自民党会派)?

                       北側一雄 (公明党)   中川正春(立憲民主党)

       笠井 亮 (日本共産党)

事務局長次長 務台俊介 (自民党)

 役  員  石田真敏 (自民党)

 委  員  石破 茂 (自民党)   坂本哲志 (自民党)  武田良太(自民党)

       林 幹雄 (自民党)   船田 元 (自民党)  茂木敏充(自民党)

       中村裕之 (自民党)   森山 裕 (自民党)  石井正弘(自民党)

       藤末健三(自民党会派)  浜田昌良 (公明党)  鉢呂吉雄(立憲民主党)

       近藤和也(立憲民主党)  井上哲士(日本共産党) 赤嶺政賢(日本共産党)

 〈 以前所属していた議員 〉

   自民党  石原伸晃  岩國哲人  大野功統  川上義博  加藤紘一 河村建夫

        佐藤章   木村義雄  小杉隆   平将明   田野瀬良太郎

        竹下亘   富岡勉   保岡興治  安次富修  山崎拓

        渡辺具能  馳浩   野田毅

   公明党  遠藤乙彦  東順治   山下栄一

 立憲民主党  生方幸夫  神本美恵子  平岡秀夫  山下八洲夫

 社会民主党  重野安正  菅野哲雄   日森文尋  又市征治  山内徳信

   民主党  加賀谷健  谷博之  藤谷光信  松岡徹  峰崎直樹

    共産党  山下芳生
    民進党  城島光力
    日本維新の会  谷畑孝
    無所属  大前繁雄  亀井静香  自見庄三郎  下地幹郎  遠山清彦
           土肥隆一  並木正芳  吉村剛太郎

 

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