ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『金○日の核と軍隊』 - 3 ( 「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」 )

2022-07-14 18:51:08 | 徒然の記

 「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」の内容を、コメント無しで紹介します。

 〈 核心階層 〉・・〈信頼できる者〉

   ・解放(1945年8月15日)以前からの労働者

   ・解放以前において小作をしていた貧農、先祖代々の雇農

   ・共同農場集団農場所属の農民

   ・解放後に高等教育を受けた知識人、解放後に事務員となった者

   ・朝鮮労働党員(元日本共産党員を含む)

   ・革命遺家族:抗日戦争(パルチザン)での犠牲者の遺族

   ・愛国烈士遺家族:祖国解放戦争(朝鮮戦争の北朝鮮における呼称)での犠牲者の遺族

   ・被殺者遺家族:祖国解放戦争で、大韓民国国軍国連軍に虐殺された者の遺族

   ・戦死者遺家族:祖国解放戦争での戦死者の遺族

   ・後方家族(朝鮮人民軍現役将校の家族)、栄誉軍人(祖国解放戦争での傷痍軍人

 〈 動揺階層 〉・・〈半信半疑の者〉監視対象

   ・解放以前の小・中商人・知識階層の労働者

   ・解放以前における手工業者、移動営業だった小職人、店舗を有していた中職人

   ・解放以前において他人を雇用したことのある富農、自作農だった中農

   ・小規模な下層接客業者、雇用経験のある中産層接客業者、民族資本

   ・核心階層だったが祖国解放戦争時に越南した者の家族、越南して労働者・農民になった者の家族

   ・祖国解放戦争時に敵に服務した者およびその家族

   ・朝鮮労働党を除名、あるいは免職された者

   ・刑期を満了した政治犯、経済事犯(出所者も含む)

   ・スパイ関係者、逮捕・投獄された者の家族

   ・建国後に処断された者の家族、安逸・不和・放蕩した者

   ・接待婦および迷信崇拝者(占い師巫女娼婦など)

   ・儒教の信者、元天道教青友党員、無党派層、中国からの帰還民(朝鮮労働党員は除く)

   ・日本からの帰還民(在日朝鮮人の帰還事業)、解放後の外国留学経験者または解放以前に養成された知識人

 〈 敵対階層 〉・・〈変節者〉特別監視対象

   ・日帝(日本統治時代の朝鮮)の行政機関朝鮮総督府など)に勤務していた反動官僚の輩

   ・産業国有化財産を没収された資本家

   ・土地改革時に5ヘクタール以上の土地を所有していた、または精米所を有した地主

   ・親日親米分子

   ・富農、地主、親日・親米分子かつ、越南した者(脱北者)の家族

   ・元朝鮮民主党員、解放後の入北者(元日本共産党員を除く)

   ・キリスト教プロテスタント)の信者、天主教(カトリック教会)の信者、仏教の信者

   ・哲学者、反党・反革命宗派分子

 マスコミは盛んに「多様化社会」「多民族社会」という記事を書き、日本が他民族を許容しない閉鎖型の国だと批判します。在日の中の一部の過激な反日活動家を嫌悪する日本人を攻撃し、「ヘイトスピーチ解消法」まで作らせました。国交を回復すれば、北朝鮮の日本への敵視策は変わると彼らは主張します。

 しかし北朝鮮が、国としてこのような身分制度を固定しているのですから、反日左翼学者と野党の人々の意見は、間違っていると思います。帰国した拉致被害者の人々が、北朝鮮の状況についてほとんど語らないのは、残っている日本人に危害の及ぶことを心配しているからではないのでしょうか。

 今回は、北朝鮮の「出身成分」の紹介だけで終わりましたが、日本に関する驚くべき説明については、後で紹介するつもりです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『金○日の核と軍隊』 - 2 ( 北朝鮮の身分制度 )

2022-07-14 15:26:06 | 徒然の記

 『金○日の核と軍隊』 を、読み終えました。先日読んだ『金○成』との大きな違いは、証言と手記を寄せた兪 成哲 ( ユ・ソンチョル  )、呂 政( ヨ・ジョン  )氏と、今回の著者李 忠国 ( イ・チュングク  )氏の身分の差です。

 幼い頃から聡明だった氏は、学問的には恵まれた立場にあり、いわばエリートコースを歩いていました。その氏がなぜ全てを捨てて脱北したのかは、北朝鮮の身分制度を知らなくては理解できません。息子たちと、もしかすると「ねこ庭」を訪問される方々も、初めて知ることなのかもしれませんが、北朝鮮という全体主義国家を理解するための、基本知識と言って良い気がします。

 「まえがき」に著者が語っている言葉を、紹介します。

 「私が、早くに亡くした両親は、出身成分では監視対象でした。私には、北朝鮮上層部に権力を持つ親戚もありません。さらに私自身は、人民軍の一介の兵士だったに過ぎません。しかし私は今、世界中が全神経を集中させている、北朝鮮の〈核〉を総括する重要機関に勤めていました。」

 著書を離れ、別途に調べた情報を紹介します。

 「〈出身成分〉とは、北朝鮮における階層制度を指す言葉である。〈住民成分〉、〈成分〉と呼ぶこともある。」

 「本人の出自や思想動向によって分類された〈身分〉と、それに基づく統治制度である。具体的には、信条調書にあたる〈成分調査書〉によって決められる。」

 「北朝鮮における〈出身成分は〉、社会生活の基本となっている上、西側自由主義社会では想像のつかないほど、本人の運命を決定的に左右する。」

 兪 成哲、呂 政氏の証言と手記で説明されていた通り、金○成は延安派、ソ連派などの対立勢力を大規模な粛清で消しましたが、この粛清は一般市民にも及んでいました。

 「1958 ( 昭和33  ) 年から1960 ( 昭和35  ) 年にかけて、金日成に対する忠誠度に基づき、全国民を〈信頼できる者〉〈半信半疑の者〉〈変節者〉の3種類への分類が開始された。」

 このうち、状況次第で党に抵抗する可能性がある「半信半疑の者」は、監視対象となり、党に否定的な態度をとる可能性の高い「変節者」は、特別監視対象になりました。この他に約7万人が、「不純分子」として山間地や僻地への強制移住を命じられ、このうち6、000人以上が「反革命」の名目で処刑されたといいます。

 「1966 ( 昭和41  ) 年から1967 ( 昭和42  ) 年にかけて、住民再登録が行われ、全国民の両親とその六親等が調査され、「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」の三階層が設けられた。」

 「さらに3年の調査を経て、51の出身成分に細分された住民台帳には、曾祖父の代から今までどういう職業についたかの、出身成分分析表が添付されており、これをごまかすことは基本的には誰にもできない。」

 確かに、私たち日本人には考えられない仕組みで、想像することもできません。独裁者が疑心暗鬼を募らせると、ここまで国民を監視します。今回はここで終わりますが、次回はさらに具体的に、「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」の内容がどのようになっているのかを、紹介します。

 拉致被害者の人々、戦後に日本から北朝鮮へ帰国した人々などが、どのような処遇を受けていたのかが分かり、胸の痛む思いをします。このような北朝鮮を称賛してやまない日本人がいることのいかがわしさも、再確認できます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする