ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『 日本が軍事大国になる日 』 - 45 ( 語られない、大国の軍事データ )

2022-04-16 17:31:30 | 徒然の記

 本日は、江畑氏が説明していない中国軍について、紹介します。

 平成25 ( 2013 )年に、中国国務院が発表した資料によると次の通りです。

   陸軍 85万人  海軍 23万5千人  空軍   39万8千人  合計 148万3千人

 この数字には、国境警備部隊、海軍防衛部隊、軍事施設警備部隊の人数が含まれていません。年度が違いますが、平成23 ( 2011 )年に、中国共産党が発表した別の数字があります。

  中国民兵  800万人

 平成24 ( 2012 )年にイギリス国際戦略研究所が出している資料には、次の中国軍データがあります。

  現役兵 228万5千人  予備役兵 51万人  人民武装警察隊 ( 武警  )  66万人

 日本などの民主主義国と違い、中国は『防衛白書』に相当するものを毎年発行せず、軍の数字を公表するのを渋っているため、正確なデータがありません。除外された部隊の人数も大きいはずですが、中国民兵の800万人には、驚かされます。

 中国は国家予算を毎年発表していますが、軍事費であっても、他の名目に含め、正確な金額が他国に知られないようにしています。こんな曖昧な数字なので、江畑氏は著作で説明しなかったのでしょうか。国務院が発表したデータだけで、インド軍と比較しますと、下記のようになります。

   中 国  軍   陸軍     85万           海軍23万5千人   空軍 39万8千人   合計 148万3千人

   イ ン ド 軍   陸軍 110万5千人   海軍  5万5千人    空軍 11万人    合計 127万人

 合計数だけのインド軍との比較では、妥当な数字に見えますが、中国共産党が発表した「民兵800万人」を加えると、とんでもない数字になります。さらにイギリス国際戦略研究所が出している「人民武装警察隊 ( 武警  ) 」の66万人を追加すると、1千万人を超える兵力になります。

 専門家の江畑氏も、著作での説明に窮し除外したのでしょうか。中国軍とインド軍の比較データに、自衛隊を並べると下記のようになります。

   中 国  軍   陸軍     85万人           海軍23万5千人   空軍 39万8千人   合計 148万3千人

   イ ン ド 軍   陸軍 110万5千人   海軍  5万5千人    空軍 11万人    合計 127万人

   自 衛 隊  陸軍    15万人           海軍4万5千人   空軍 4万6千人   合計 24万1千人

 人数の大さだけが大国の印でなかったとはいえ、ここまで兵力の差がありますと、自衛隊の小ささが分かります。3月29日の新聞で、小谷哲男・明海大教授が米軍との共同防衛を語り、「憲法改正」に言及していた意味が分ります。

 中国民兵というのは、中国が軍の近代化を進める上で、人民解放軍の人員削減を進めた時の名残りです。兵士を武器と考えていた毛沢東は、人海戦術でゲリラ戦に勝利してきました。しかし軍の近代化が進むと、多すぎる兵が軍事費の足枷となり、削減を迫られました。余剰となった軍人をそのまま軍から外へだすと、社会不安のもとになるので、彼らはいったん「中国民兵」という半軍組織へ移されました。当初3 千万人いたのを、800万人まで減らしたと言いますから、並大抵の苦労ではなかったと思われます。

 尖閣の海に大挙して押し寄せた漁船には、民兵が乗っていたと聞きます。ウクライナ侵攻の後、習近平氏の中国が台湾と尖閣の侵略を開始したら、800万人の民兵だけでも自衛隊の対応は困難です。専守防衛、正当防衛でなければ攻撃禁止と、憲法に縛られている自衛隊は、お構いなしに攻撃してくる彼らに、全滅させられるのでは無いでしょうか。

 プーチンのロシア軍がウクライナでしている殺戮が、やがて中国が、沖縄や九州でする無差別攻撃の見本です。「憲法改正」のための審査会に、野党が参加するかしないかなど、国会議員諸氏は何を寝ぼけているのでしょう。国民の多くが「お花畑」で眠っているとしても、日本のリーダーである政治家が一緒に眠っていてどうするのでしょうか。

 不確かなネットの情報ですが、大国の軍隊に関し次のような数字もあります。

 中国軍・・299万3千人  インド軍・・272万8千人  米軍・・149万2千人 ロシア軍・・113万4千人

 米軍は149万2千人の内、約45万人を世界各国に駐留させています。駐留軍とはいわば実戦配備された攻撃部隊ですから、中国とロシアが米国を真似、他国への駐留に努力しています。崩壊したロシアにはその力がなくなっていますが、中国は頑張っています。

 氏は著書のタイトルを 『 日本が軍事大国になる日 』としていますが、本気で語りたいのなら、中国軍だけでなく、米軍とロシア軍を語らなくては不可能です。この国々こそが軍事大国であり、世界の平和を自由にしているのですから、これを語らずに日本のことが言えるのでしょうか。

 最後になり、このような疑問に突き当たりました。調べてみますと、軍事データを公表していないのは中国だけでなく、米国とロシアも同じでした。図書館で調べても、ネットで検索しても、出てくるのは中国同様隠された数字が多く、公表されていてもさまざまな数字があり、私のような門外漢には、どれが正しいのか分りません。

 「両論併記」の原則を守れば、中国政府の曖昧さだけを批判するのでなく、アメリカもロシアも、似たような大国だということです。

 「正確な数字を出せば、軍の脆弱部分が敵に知られる。」

 江畑氏が著書の最初で説明していましたが、その通りを彼らが実行していました。言及する勇気がなかったため、氏は著書で取り上げなかったので無いかと、そんな気もしてきました。

 私はまだ著書の最後を、読んでいません。氏の結論が、「ねこ庭」のブログを飾ると考え、故意に延ばしてきました。明日は最後まで読み、氏の結論を紹介し、長いシリーズを終わりたいと思います。息子たちはもちろんですが、皆様のお越しをお待ちしています。

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