ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

国民の審判 - 5 ( 3つのネット情報に見る、民意の力 )

2022-04-12 22:40:06 | 徒然の記

 共同通信社による、画期的な「両論併記」の続きです。

 〈  小谷哲男教授の意見  〉

   ・法が制定された背景には、世界の警察官役から手を引こうとする米国を、引き止める必要性があった。

   ・米国が攻撃されても日本に守る義務がない「安保タダ乗り」論に、反論できる土台にもなった。

   ・数年内に起こると言われる、台湾有事への備えにも重要だ。

   ・米艦防護が可能となり、戦闘機への給油もできる。日本の領域外でも、支援ができるようになった。

   ・「切れ目のない対応」を掲げる安保法も、完璧ではない。昨年8月のアフガニスタンからの邦人輸送は、他国に遅れた。

   ・中東で民間船を守る護衛艦の派遣には適用できていない。

   ・台湾有事となれば、沖縄の米軍基地は当然ターゲットとなる。

   ・ウクライナ侵攻を見て中国は初期段階で、台湾や日本にある米軍基地をミサイルで破壊する必要性を得たはずだ。

   ・国際秩序は大きく変動している。安保法で認められたのは、限定的な集団自衛権だ。必要最小限の自衛力しか使えない。

   ・ロシアや北朝鮮の脅威を前にして、集団的自衛権を完全に行使し、日本を守るには憲法を改正することが望ましい。

 小谷氏の紹介が長くなったのは、氏が具体的な事実を語っていたからです。植村氏の意見は、左傾の人物らしく紋切り型の抽象論のため、取り立てて紹介する内容がありません。「アメリカの戦争に巻き込まれる」と言うのは、61年前の安保騒動の時からのスローガンです。あの頃は、多くの若者がこのスローガンに熱狂しました。

 しかし現在は、国際情勢を見れば分かるとおり、「アメリカの戦争に巻き込まれる」のでなく、中国、ロシア、北朝鮮の挑発を受け、日本が戦争の当事者になりつつあります。巻き込まれるのでなく、日本の戦争ですから、米軍の協力無しでは国が滅びます。小谷氏が米軍と戦う必要性を語るのは当然ですし、自衛隊の手足を縛る憲法を改正しなくてならないという意見も、危機感の現れです。

 植村教授の抽象論は、使い古された左翼のスローガンで説得力がなく、危機感も色褪せています。ここで、両氏の意見より、もっと民意の力を感じさせる情報を3つ紹介します。

  1.  朝日新聞ネット 〉

    「国民民主党が、憲法改正について議論する衆院憲法審査会の運営について、今国会から自民党が中心の「与党側」の幹事懇談会に参加することがわかった。改憲に向けて、自民党や公明党との共同歩調を強める。」

 普段の朝日なら、口をきわめて国民民主党を批判するはずなのに、事実だけを伝えています。突然変異かと、目を疑いたくなる記事ですが、民意の力は共同通信社だけでなく、朝日新聞も変えようとしているのでしょうか。

 〈 2.  HUFFPOSTネット 〉

  「国民民主党の玉木雄一郎代表は、11月7日、公式Twitterで「憲法の議論をするだけで袋叩きにするようなスタイルが、忌避されていることに気づかないと、野党が多くの国民、特に若い世代に支持されることはないでしょう」と、他の野党に対して、憲法の議論をすることの必要性を訴えた。

   去年までだったら、口に出せない言葉です。立憲民主党や共産党は、「国民民主党は、自民党の補完勢力になった」と酷評していますが、「女性宮家」に賛成している国民民主党は、間違いなく反日左翼政党の仲間です。

 〈 3.  FNNプライムオンライン 〉  ( 維新の会 吉村氏の談話 )

 「われわれ、維新の会は改憲勢力、改憲について賛成の立場だ。ただ、憲法改正は自民党が本気にならないと、憲法改正の国民投票までは絶対にたどりつかない。」

 「自民党は憲法改正を党是と言いながら、実は、単に一部の保守層のガス抜きのためにやっているようなもの。実際本気で憲法改正をやろうと思ってないというのが僕の考え、見立てだ。」

 「本気で自民党が憲法改正をするというのであれば、われわれも本気で付き合うが、単に自民党のやるやる詐欺に付き合うつもりはない。スケジュールを決めることをしっかりやらないと成り立たない。井戸端会議になる。」

 「これまでずっと議論してきたわけで、自民党も維新の会もそれぞれ憲法改正の項目は出している。例えば、来年の参議院選挙に国民投票をやるというスケジュールを決めて、その先でもいいが、スケジュールをきちんと決めて、そこから逆算してやっていこうということを自民党はやらない。」

 「結局、全員の合意がない限り進めるのはやめましょうというのが、基本的に自民党の姿勢。憲法改正について国民はまだ一度も国民投票をしたことはない。大阪では大阪府と大阪市を1つに合体させて、東京のような都政を敷くという大阪都構想を実現させるために住民投票を2回やった。われわれは死ぬ気で、必要だと思ってやってきた。」

 「この死ぬ気でもやる覚悟が、自民党の憲法改正にはない。(改憲論議を)後押しできたらいいと思うが、ただこれは本当に自民党の本気度、そこをぜひ知りたい。」

 強烈な自民党批判ですが、私の気持ちを代弁しています。国民の負託を得て、安定多数を確保しているのに、自民党議員諸氏には覚悟が見えません。右顧左眄し、辺りの様子を伺うだけで、国民の願いを叶えようとする本気度が見えません。

 しかし維新の会の「大阪都構想」と、沖縄を独立させれば良いという橋下氏の意見に疑念があり、同会を保守党として考えるにはまだ時間がかかりそうです。

 民意の力の動きと国民の審判の力が、日本を変えている状況を伝えるため、3つのネット情報を紹介しました。明日から、また江畑氏の書評へ戻ります。

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国民の審判 - 4 ( 画期的な「両論併記」 )

2022-04-12 17:13:07 | 徒然の記

  〈 3.  3月29日 「植村秀樹・流通経済大教授 ( 64才 ) 」「日米一体化  抑止にならぬ」

           「小谷哲男・明海大教授 ( 44才 ) 」  「切れ目埋め  危機に対処を」 〉

 「国民の審判」を表すものとして、共同通信社の記事を3件上げ、2件の紹介が終わり、最後の一件となりました。植村、小谷両教授の記事に入る前に、なぜ朗報と考えるかにつき説明します。

 これは、同社が千葉日報に配信した記事の中で、初めて読む真正面からの「両論併記」の実例です。紙面の半分を使う大きな記事で、両氏の顔写真があります。左翼学者にばかり紙面を提供せず、保守系の学者にも意見発表の場を作るべきというのは、マスコミに対する長年の要望でした。

 記憶する限り3月29日の記事は、紛れもなく「両論併記」で、対立する意見を同時掲載し、読者に委ねています。客観報道とは、こういう紙面を言うのではないでしょうか。反日の朝日や東京新聞が、同様のことを始めたのかどうか知りませんが、同社だけの紙面作りとしても、日本にとって画期的なことです。

 「平和憲法を守れ」、「戦争法を許すな」の一本槍では、国民の支持を失うという危機感がさせたでしょうから、これを「民意」と理解し、「国民の審判」と名づけました。記事の中身は明るくありませんが、同社の姿勢が変化しているところに、明るい光を見ます。

 マスコミと野党が大反対する中で、安倍内閣が成立させた「安全保障関連法」について、同社が特集を組みました。植村教授は「安全保障関連法」を評価せず、米国の戦争に日本を巻き込む危険な法律だと語ります。小谷教授は、「安全保障関連法」を是認し、これからは米国に頼るばかりでなく、共同で安全保障体制を作るべしと述べています。

 今後、こういう姿勢で共同通信社が記事を全国発信するとしたら、国民の意識がさらに変わり、日本が変わります。いつもなら左翼学者の側に立つ説明が、3月29日の記事は違います。

 「集団的自衛権行使を容認した、安全保障関連法は、29日で施行から6年となった。」「ロシアのウクライナ侵攻が続き、中国による台湾への軍事圧力が高まる。」

 特集記事を組んだ理由の、説明をしています。

「日本はどう対応すべきか。」「ともに安全保障に詳しい植村秀樹・流通経済大学教授と、」「小谷哲男・明快大教授に、最近の情勢を踏まえて聞いた。」

 両教授の意見の要点を、箇条書きにして紹介します。

 〈  植村秀樹教授の意見  〉

   ・「安全保障関連法」の施行以来、日米の一体化がどんどん進んでいる。

   ・沖縄の負担はほとんど減っておらず、「本土の沖縄化」だけが進んだ。

   ・米国の中国包囲網の中に日米一体化はあり、米国の世界戦略の一環だ。

   ・米国の国力が落ち、軍事力の低下を日本が補っていると、中国は見るだろう。

   ・間接的な協力だけをしていた日本が、攻撃もしてくるかもしれないと、緊張感を高めかねない。

   ・台湾有事では、米国は「台湾関係法」があるため介入する可能性がある。そうなれば、日本が巻き込まれることは明らかだ。

   ・発動につながる「存立危機事態」の認定は、結局は日米両政府の判断だ。

   ・日本は米国追随で主体性がなく、姿勢が見えない。

   ・台湾有事だけでなく、世界のどこでも米国支援の名目で巻き込まれる恐れもある。

   ・国民の関心は薄く、メディアや野党の追及も弱い。事態は悪化している。

 以上が、植村教授の意見の要点です。せっかくの両論併記ですから、ここで私の意見を挟まず、次は小谷教授の意見を紹介します。

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