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アントワープの栄光

2005-05-29 23:07:41 | アート・文化
ベルギーの都市アントワープの繁栄をまざまざと見せ付ける展示だ。
印刷博物館は「印刷革命が始まった」、プランタンの出版事業を振り返る展示だ。
まずはルーベンスによるプランタンの肖像が眼を引く。
プランタンという人をあまりよく知らないが、ルーベンスが描いているのだからやはり大物なのだろう。
展示の多くは聖書にかかわるものだ、ヘブライ語の聖書はモロッコで需要があったとか多言語対訳聖書ーギリシア、ラテン、ヘブライ、カルディアなど眼を引く。
驚くべきは当時の知識量の多さだ。
世界初の地図「世界の舞台」が出版されたのは1570年、すでに日本は北海道の形こそないが島として描かれている。
1583/1/1から採用されたグレゴリオ暦のカレンダーを早速プランタンは印刷した。
ノストラダムスまである。
といっても預言書ではなく、「化粧品とジャムの話」という本だ。
医者としてのノストラダムスは当時から有名でノストラダムス本は16Cだけで170近くあったという。
これは売れるとプランタンは見込んで出版したようだ。
日本では預言書しか知られていないノストラダムスだがもっと見直されて良い。
そのほか、七ヶ国語会話集などもある、商人や旅行者に愛用されたとか、当時のアントワープの繁栄が良くわかる。
はっきり言って展示品のほとんどがラテン語なので理解できないのが残念だ。
ルーベンスの描く肖像画でプランタンは右手にコンパス、左手に書籍を持っている。
「精励と不動」これが彼のモットーだそうだ。
最後はその時代を生きたルーベンスやブリューゲルの絵で展示は締めくくられる。
古典的な絵を描いていた画家の背後に躍動する社会と印刷文化があったーそんなことを感じるいい展示だ。
展示は7/24まで、飯田橋の印刷博物館にて。