カタログを見ると、パリでやった展覧会アンケートでも、「出港」が一番の人気だったようだ。
確かにこの絵はすばらしい、天然の岩絵の具にこだわるこの画家のよさが遺憾なく発揮されている、きらきらと光を反射して金色に輝く海に舟がただ一艘!
東京芸術大学副学長の田渕俊夫の退官記念の展覧会、日本橋三越だ。
田渕は若い頃は公募展に出品しても落選がつづいたという。
そんな失意のうちに大学院終了制作として作った「水」が学校買い上げとなり、28歳の「青木ヶ原」で、画壇で一目おかれる存在になったという。
田渕の作品は伝統的な日本画の世界に近く、花や自然を描いた作品が多い。
例えば「めだけ」といった雑草にもこだわる、しかもそのこだわりは尋常ではなく、同じ対象を何年にもわたって
スケッチするほどだという、雑草を通して人生が見える絵だ。
しかし田渕の絵は一筋縄ではいかず、ベトナムのバイクの喧噪を「時の証言」では表そうとする。
その方法が面白く、人形を透明なビニールでつくり、それを重ねて絵にする。
このベトナムの絵で、田渕は色彩は特に重要でないと気づいたという。
墨への挑戦がかくしてはじまる。
特製の土佐の和紙を使った滲む墨の世界だ。
圧巻は永平寺と鶴岡八幡宮に収めた作品だろう。
特に前者の作品は襖12面に表と裏に「春秋」と「雲水」が描かれている。
その他、若い時のアフリカ留学の作品、ヌードを描いた作品、都市を描いた作品と、抽象の世界へは行かずに、ソレでも現代性のある作品を堪能できる。
久しぶりに日本画の好い展覧会をみた。
年が開けると高島屋でも田渕の展覧会がある、期待したい。
カタログには画家自身の作品解説が収められています。
確かにこの絵はすばらしい、天然の岩絵の具にこだわるこの画家のよさが遺憾なく発揮されている、きらきらと光を反射して金色に輝く海に舟がただ一艘!
東京芸術大学副学長の田渕俊夫の退官記念の展覧会、日本橋三越だ。
田渕は若い頃は公募展に出品しても落選がつづいたという。
そんな失意のうちに大学院終了制作として作った「水」が学校買い上げとなり、28歳の「青木ヶ原」で、画壇で一目おかれる存在になったという。
田渕の作品は伝統的な日本画の世界に近く、花や自然を描いた作品が多い。
例えば「めだけ」といった雑草にもこだわる、しかもそのこだわりは尋常ではなく、同じ対象を何年にもわたって
スケッチするほどだという、雑草を通して人生が見える絵だ。
しかし田渕の絵は一筋縄ではいかず、ベトナムのバイクの喧噪を「時の証言」では表そうとする。
その方法が面白く、人形を透明なビニールでつくり、それを重ねて絵にする。
このベトナムの絵で、田渕は色彩は特に重要でないと気づいたという。
墨への挑戦がかくしてはじまる。
特製の土佐の和紙を使った滲む墨の世界だ。
圧巻は永平寺と鶴岡八幡宮に収めた作品だろう。
特に前者の作品は襖12面に表と裏に「春秋」と「雲水」が描かれている。
その他、若い時のアフリカ留学の作品、ヌードを描いた作品、都市を描いた作品と、抽象の世界へは行かずに、ソレでも現代性のある作品を堪能できる。
久しぶりに日本画の好い展覧会をみた。
年が開けると高島屋でも田渕の展覧会がある、期待したい。
カタログには画家自身の作品解説が収められています。