だらだら日記goo編

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ディアギレフという天才

2007-08-30 22:15:45 | アート・文化

僕は音楽はもっぱら耳で聴き、テレビなどもみたりしない。

しかし歌劇やバレエといった視覚に訴える芸術があることはもちろん存じている。

20世紀前半ロシアの舞台デザインが多くの国に広まったという。

そこにはディアギレフ率いる、バレエ・リュスという存在、美術と舞台芸術を総合しようとした存在が多くの意味を持っていたことだろう。

バレエ・リュスの第一回公演は1909/5パリだ。ロシア国内での公演はまったくなかったのだ!

そのディアギレフと仲間たちを扱った展覧会を東京都庭園美術館に観に行く、「舞台芸術の世界」だ。

バレエ・リュスで傑出していた美術家は二人いる、バクストとブノワだ。

バクストは特に「シェヘラザード」といった東洋的主題に優れていたという。

この人の描く舞台デザイン展示41「オペラ「ボリス・ゴドゥノフ」」などまばゆいばかりだ!

有名な歌劇ももちろんある、モーツァルトの「魔笛」は展示130,131、シュトラウスの「薔薇の騎士」は、衣装が展示される。

バレエ・リュスの写真も目に付く、ご存知ニジンスキーは猫のように軽やかな身のこなしというがどんなものだったのか。

さて、アヴァンギャルドや未来派の時代になるとデザインもそれ相応なものになる。

作り手が「最初の未来派オペラ」とよんだのは、「太陽の征服」で1913/12に初演されたという。

台本は「超意味言語」で書かれたというが、つまりは通常の言語の解体だ。

新館ロビーではバレエ・リュスのバレエも映像で流されておりわくわくしどおし。

難を言えばカタログの作品解説の文字が小さすぎることであろうか。

たっぷりと二時間をすごした。


命がけの旅

2007-08-28 21:57:41 | アート・文化

「疲労により沈思できず」「耐え難い寒風」「病気のためすべて夢の如し」

いずれも藤原定家あらわした「熊野御幸記」からの描写だ。

定家は、後鳥羽上皇の熊野三山参詣に随行してこれをあらわしたというが、まさに旅は当時の人にとって命がけだったのだろう、それは信仰のなせるわざかー。

これは昭和42年国宝になっているが、国宝がもうひとつ出品されている。

「一遍聖絵」だ、全部で12巻とかいてあったが、踊念仏のところしか展示されていない。

三井記念美術館は「旅」の展覧会、チケットはとっくにもらってあるのに今頃になっていく。

展示は前半はこの美術館の所蔵する小物、後半が借り物で中心になる。

カタログも前半の展示には触れていない。

さて「伊勢参詣曼荼羅」もある。遠くに富士山を拝むが伊勢から富士山が見えるものかちょっと考えた。

「西行物語絵巻」もある。実は「西行物語絵巻」には三種類あるそうだ、今回出品は国立博物館のもの。

若冲もある、白黒反転させた「拓版画」とよばれるものだそうだ。

しかしこの展覧会の一番の驚きは長さ26mに達する金屏風「大日本五道中図屏風」ではなかろうか。

江戸から長崎までを一挙に描いたものだが、江戸から大津あたりまでと、大阪から長崎までと二つの箱に分蔵されて伝わったという。

これをもっているのがこの美術館だからやはり三井はたいしたものだ。

日本画の宿命として展示替えが頻繁なので好みの方は何回か通われることだろう。


悲しきスルタン

2007-08-24 21:58:34 | アート・文化

1555にイスタンブールにコーヒーが伝えられ、お猪口のようなコーヒーカップ受けにのせてのんだそうだ。

食前食後にはコーヒーとタバコとシャーベットのような甘いものが好まれたとか。

シャーベットといっても氷菓ではない、氷菓なったのはヨーロッパに伝わってからだ。

薀蓄もうひとつ、中東で中国陶磁器が好まれたのは大きな皿からとって食べるのに都合がいいからだ、これはいつかの出光の展覧会でも観た。

つまりは食事は宴だ、しかしスルタンは臣下や家族とではなく単独で食事したというー悲しきスルタン!

涼しくなって体調も戻ってきたので東京都美術館「トプカプ宮殿の至宝」にでかける。

まあ空いている、しかし八万六千もの収蔵品を抱えるこの宮殿、かつてのスルタンの居住地で現在は博物館になっているこの施設からの出品はなかなか興味深い。

展示は軍備に関するものと生活、装飾に関するものに大別される。

僕には軍備に関するもののほうが興味深かった。

なんと馬にもよろいをまとわせたり、スルタンのシンボルの旗は戦場では後方に置かれ、時代とともに一本、四本、七本と変化して行ったそうだ。

またスルタンの皇位継承順位は定まっておらず、すさまじい皇位争いが兄弟で繰り広げられたとか、失脚した場合に備えてスルタンは手に職をつけておいたとか孤独なスルタンの姿がそこから浮かび上がってくる。

そのほかハレムのこととかもあるがここでは割愛する。

出品リストにバラの香がついていたり、会場内にバラの香が立ち込めていたり演出も面白い展覧会だ。


猫と星と宮沢賢治と

2007-08-18 22:03:00 | アート・文化

「イーハトーブ」が宮沢賢治の理想郷ならこの漫画家の理想郷は「アタゴオル」だ。

そこでは立った猫と人間が自在に会話する。

「アタゴオル」とは東武野田線愛宕駅からつけられた名称らしい。

で登場人物が温泉につかって星空を眺めるというほんわかとした作品をうみだす。

ますむらひろし、聞いた事もない漫画家だ、その個展がいま八王子市夢美術館で開かれている、招待券があるのでどんなものかいってみる。

ますむらは、宮沢賢治に影響を受けたという、で賢治の作品を漫画化したりもする。

驚くべきは登場人物が猫に替わってしまっているのだ、会話する猫。

星をも愛するますむらにとって、「銀河鉄道の夜」こそは賢治の作品でもまことにヒットする。

というわけで朝日新聞とテレビ朝日の作ったアニメ映像ダイジェストが会場には流れる。

ますむらは2001年、イーハトーブ賞を受賞したという。

さらにこの人はゴッホの作品をデフォルメした作品もあらわす。

また猫が出てくる!

「ゴッホ型猫の目時計」がそれで、「夜のカフェテラス」やら「はね橋」といった作品をつくる。

「銀河のはね橋」というのがもっともこの人にマッチするだろうか。

人と猫が共存し、宇宙を夢見る世界ーほんわかとしてなかなか感じがいい。

気分よく美術館を後にした、一般400円です。