だらだら日記goo編

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バラの香りにつつまれて

2009-01-29 23:38:53 | インポート
うちの近くの図書館にはたまに展覧会招待券が置いてある。
今日行ったら、高島屋を巡回している田渕俊夫さんの全国共通利用可能な招待券が置いてあった。
田渕さんについては日本橋三越の展覧会をこのブログにもあげたが、それとは別な展覧会だ。
すでに日本橋高島屋は終了しているので、横浜に行こうと思う。
しかし図書館に置いてある券など普通は割引券だろう、招待券が置いてあるとは気前いい。
さて本日は大丸ミュージアムに「よみがえる黄金文明展ーブルガリアに眠る古代トラキアの秘宝」という展覧会に。
大丸のフリーパスを持っているのでこれもただ。
正直言ってブルガリアと黄金がどう結びつくのかわからなかったが、僕の知らないところで考古学は凄い進化をとげていたようだ。
1972年にヴァルナ遺宝というのが発掘されて、エジプトやメソポタミアをさかのぼること今から6000年前に金を加工する技術をもった文化の存在が明らかになったという。
トラキア人というのはホメロスがトロイの戦争でギリシャ人と戦ったとして挙げている民族だが、好戦的で、戦争と
略奪で生計をたてるのが望ましいという思想をもった民族だそうだ。
またあのデュオニュソス神の故郷をここに求めることもあるという。
風変わりな死生観を持っていて、死はよりよい世界への移り住みであり、半神半人の姿になるという。
でもって、一夫多妻のこの社会では夫が死ぬと一番寵愛されていた妻も喜んで殉死したという。
当然葬式というか来世への埋葬は豪華な装飾品で飾られる。
さて、今回の展覧会の目玉はトラキア王の黄金のマスクだ。
重量は672グラムもする。
此れが2004年に通称バラの谷というところで発掘されたのだ。
会場にはブルガリアローズの香が立ちこめる。
何の目的で使われたかはっきりしないそうだが、いにしえのかの地に想いを馳せる。
またこれは別の出土だが、奴隷として連れてこられたであろう黒人な顔を三重に描いた845グラムもする円形の黄金の
フィアラ杯もすごい。
ブルガリアではトラキアの遺産があちこちで発掘されているのだが、1989以降の急激な民主化で国内は大混乱で遺跡は荒らされ、盗掘も相次いでいるという。
それにしてもバラの香はよいが、会場内座るスペースがひとつもなく、二時間たちっぱなし!これもなんとかしてほしい。


倣の思考

2009-01-21 23:03:10 | インポート
乃木坂駅で多摩急行に乗って、カタログを取り出しよみはじめると
隣のお婆さんが聞いてきた、混んでましたか、私明日行くつもりなの、と。
いわずとしれた国立新美術館「加山又造」だ。
初日にしてはまずまずの入りと答えておいた。
こちらまた招待券でいって幾らとるのかも知らないがまあ賑わいそうだ。
加山の全貌に迫るいい展覧会だ、大作が沢山出ている。
展覧会構成は次の通り。

1章、動物たち、あるいは生きる悲しみ
2章、時間と空間を越えて
3章、線描の裸婦たち
4章、花鳥画の世界
5章、水墨画
6章、生活の中に生きる美

これに休憩室にビデオと参考展示が加わるのでかなりの量だ。
順にみていくと加山は1949に大学卒業して、十年くらいは動物画を描いていたようだ。
画面がすべて暗い、終戦後のよるべなさと父親を亡くしたことの反映か。
月に関心をもつのもこの人の特徴で、六角の月とか駱駝の月とか異様だ。
1960ごろからこの人は装飾に富んだ作品を描くようになる。
日本画の伝統としての時間、空間に捕われない宇宙の一挙の把握だ。
その代表が、展覧会チラシにも使われている「春秋波濤」だ。
大阪の寺の屏風に感動して、琳派の波濤紋を逆遠近法に使ったもの。
その本質は「倣」ということだろう。
ただ真似るのではなく、古典作品の本質を理解して、それを現代に応用すること、これが加山の本質だ。
続く裸婦は浮世絵の線に惹かれ制作したもの、しかしうまく出来ずに「習作」と名前のつくものが多かったという、
展示は少ない、続く花鳥画も展示は少ない「牡丹」の大画面の激しい黒と白の大胆さに驚く。
そして水墨ー1981に中国に旅行してつくった作品とか。
多摩美術大学美術館などからの出品、ここにも中国水墨画を換骨奪胎して日本風にした加山がいる。
最後は着物、陶器の絵つけ、版画ーなんにでも挑戦する加山をみる。
参考展示では、絵画では猫をよく描く加山が、自宅アトリエでMacを持ち込んでCGでは犬をよく描いたとかオモシロい。
加山ファンならずとも得るところは大きかった。


器械の具合について

2009-01-15 23:11:22 | インポート
相変わらずiPhoneをつかっていますが、まだ発展途上のためか、ブログによっては書き込みできません。
ココログさんとの相性が悪く、いづつやさんのところにはご挨拶もできていません。
gooブログでは数字認証がありますが、必ず一回は失敗し、2度やって受け付けられる次第です。
やはりまだこの器械がパソコンとしての性能に劣るからでしょう。
しかし時代はユビキタス、いつでもどこでもネットに繋がる魅力はすてがたいです。
埼玉県立近代美術館「都市を創る建築への挑戦」にいってきましたが、建築家ではなく、建築組織に的をしぼったいい展覧会でした。
例えば、清水建設の銀座プロジェクト、三菱地所設計の新丸ビル、久米設計の赤坂サカス、松田平田設計の羽田空港
第二旅客ターミナルなど、15のプロジェクトを資料とビデオで紹介する試みで、美術館の企画展示としては珍しいでしょう。
メッセ会場の展示会場の趣もあります。
しかし各企業の理念を反映しているのも事実で、清水建設は赤道直下に浮体都市を計画しています。
それは植物質な都市で、排出CO2より、吸収CO2が多い都市とビデオ説明にありました。
とかく暗い話題が多い世の中ですが、ユビキタスの到来と人間の叡智を信じたいものです。


またまとめて更新

2009-01-09 23:12:01 | インポート
正月七日は更新しないと決めていたので正月観た展覧会をまとめて更新します。

Bunkamuraミュージアム「ピカソとクレーの生きた時代」
出品している美術館K20はクレーの作品を一括購入してできた美術館。
ピカソより、クレーのまとまった展示に唸る。
クレーは最後にまとめて展示してあるので時間配分が必要。
クレーは1914のチュニジア旅行で、色彩に開眼したという。
対象を決めて描くのではなく、描いてみてそこに何が見えるか?を重視したという。

府中市美術館「第四回府中ビエンナーレ トゥルーカラーズ」
七人の若手が出品している。一番面白いのは
唯一の映像作品雨宮庸介。
五つの部屋がありそこを舞台に映像がながれる。
観客はその五つの部屋に入って映像をみる。
つまり、流れている映像は観客が身を置いている五つの部屋とまるで鏡に映ったような同じ構成の部屋。
映像の人が電気のスイッチを入れるとこちらの部屋の電気もつく。
不思議な空間、けど二階に上がるための階段は危なっかしいぞ!

三井記念美術館「国宝 雪松図と能面」
これは音声ガイドを借りた、ひたすら能面だけにしぼった音声ガイド。
能面とは中間表現で喜怒哀楽を出さない、役者の動き次第なのだとか、べしみと飛出な面は口の開け閉めで阿吽をなすとか面白い。
赤鶴という人が面打ちの祖といわれるが、能の源流は猿楽で、翁舞は能より古く、翁面には農耕儀礼の面もみられるとか。で、その面打ち春日という人は神格化されているそうだ。
損次郎という人が亡くなった妻をしのんで打った若い女の面、オモカゲもいい。
重要文化財登録で、三井の能面の研究がすすむだろう。

さて、サントリーの蒔絵とか、会期終了の近い展覧会もおおい、体の許す限り動きたい。


新年おめでとうございます

2009-01-01 22:08:56 | インポート
今年もだらだらと更新していきますので、よろしくお願いします。
昨年を振り返るとやはり定評ある美術館の底力がめだちました。
東博の「対決」「大琳派」、松濤の「素朴美の系譜」「河野道勢」、丁寧な展覧会で定評の板橋区立「新人画展」の調査にも歓心しました。
個人的には海の見える横須賀美術館「ライオネルファイニンガー」をみにいきましたが、常設の素晴らしさにも歓心しました。
一方大きな注目を集めた国立新とサントリーのピカソは、会場を二つに分けるメリットを感じず、東京都美術館の
フェルメールもわざわざ狭い会場でやる必然性は感じられませんでした。
今年はどんな美術シーンが待っているのでしょうか、僕はあえて、文化村のピカソとクレーから始動します。
今年もよろしくお願いいたします。