だらだら日記goo編

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川瀬巴水に一票

2008-02-27 22:15:54 | アート・文化

さて何を書こう、今江戸東京博物館では三つの展覧会が同時開催されている。

メインはNHK大河ドラマと連動した「篤姫」展だ、江戸末期から明治初期の動乱を生き抜いた一人の女性の人生を通して歴史を考える試みだが、大河ドラマとかを知らないのであまりインパクトはなかった。

二つ目は常設展示室内で開催「家康・吉宗・家達ー転換期の徳川家」だ。

特に家達がクローズアップされるが、これは特別展の篤姫が家達の訓育を行ったという関係とつながりがあり興味が持てる。

そして三つ目は第二企画展示室で開かれている「川瀬巴水」の展覧会だ。

この三つの展覧会で僕が一番面白かったのは巴水の展覧会であると告白しなければならない。

巴水については、大田区立郷土博物館で昨年大規模な展覧会が行われたようだが、こちらは規模は小さいもののなかなかだ。

27歳で鏑木清方に弟子入りして、巴水の画号が与えられ、それを一生守った人だ。

1930年と36年にオハイオ州トレド美術館で新版画の大規模な展覧会が行われ、巴水の名前は米国でも一躍有名になったという。

巴水は雪景色の表現にすぐれている、風景画が大部分を占めるので「昭和の広重」と呼ばれるが本人は広重からの影響は否定し、むしろ小林清親の影響を示唆していたという。

会場では映画「版画に生きる」も上映、1956の「法隆寺西里」の制作過程を記録したもので全部見ると45分かかる。

肝心の版画も原画と完成作品を見比べることができ、なかなか興味深い。

カタログというか小冊子も530円にて販売!

大きな博物館だが三つも企画展示を同時進行させる江戸東京の姿勢に拍手をおくりたい。


やはりブログをもう一つ

2008-02-26 22:57:34 | ブログ

楽天の「だらだら日記ー日常編」を閉鎖して時間がたつがやはり物足りない。

美術のブログだけでは物足りないのだ。

たとえば今日、宮本久雄「他者の甦りーアウシュヴィッツからのエクソダス」という本を購入。

この人には教養時代に倫理学を習ったが今は上智大教授だ。

この本の中で宮本はハヤトロギアからエヒイェロギアへの転換を示しつつ、存在神論を述べようとするが宮本の新しい展開として注目される。

こんなこととかも書きたいのだがOCNでやるとプラン変更とかめんどくさい。どうしたものか。

さて下にも書いた「月刊美術」このプレゼントも先着順だ。

発売当日の夜に投函して、第一希望も第二希望も意に沿えない旨の回答が着た。

で、なぜか東京都現代美術館「川俣正ー通路」のチケットが入っている。

別に頼みもしないチケットだが、MOTアリュアル「解きほぐすとき」のチケットがあるのでこれはこれでよいかなと。

しかし発売と同時にチケットを請求する人がやはり多いんだなということがよくわかった。


万能の人

2008-02-23 22:18:04 | アート・文化

日本でこれだけ活躍した芸術家は岡本太郎と彼くらいのものではないか。

何しろ作家として「エーゲ海に捧ぐ」で芥川賞をとり、版画家としてベネチア・ビエンナーレで大賞を受賞し、油彩もやる、作陶もやる、書もやるー。

ご存じ池田満寿夫だ、その回顧展が東京オペラシティアートギャラリーで開かれている、チケットはないし、「ぐるっとパス」もないがこれはどうしても観たかった、正規の料金を払ってみる。

毎日新聞の主催だがよく考えられたいい展示だ。

作品解説もキチンとついており、カタログも力が入っており池田の全貌が見渡せる展覧会だ。

池田の真骨頂はエロチシズムと聖性の結びつきにあるといえる。

たとえばヴィーナスを版画にする時もポルノ雑誌から引用するといった具合だ。

最初の版画集は1956だが「バウル・クレーとマックス・エルンストをごちゃまぜにした」ような作品だったと自身語っている。

池田の作風はいろいろと動く、ピカソ風からシュルレアリスム風、抽象そして具象へと帰ってくる、日本回帰の作品もある。

それは四曲一双の屏風「宗達讃歌」で「天」「地」「銀」「金」の四点からなる作品だ、展示されるのは「天」。

どうやら池田の日本回帰の背景には陶芸が大きな影響を与えたらしい。

池田の作陶は1983から、焼成に生と死のサイクルをみたようだ。

晩年の池田は般若心経に熱中する。

しかしカタログによれば別に宗教的になったわけではない、頼まれて精いっぱいやっただけという。

面白いことに池田は画家であるから仏画は描けないと考えていたという。

しかし野焼きの体験から陶こそ般若心経にはふさわしいと確信をもったとか。

隠してお椀に般若心経の文字を一字ずつ入れた「心経椀」とか、佛画陶片とか地蔵とかいろいろ作陶していく。

1995には阪神淡路大震災の鎮魂に般若心経を揮ごうするイベントを清水寺で行ったりもする。

会場では昨年末に見つかったという、急死する一か月前の山梨の窯で仕事する池田満寿夫の映像も流れる。

この美術館は閉館一時間前から入館料金半額となるが一時間ではとても観きれない量の展示だ。

毎日主催としては久々のヒットといえよう。


注目展覧会情報

2008-02-20 23:12:43 | インポート

先月の「美術の窓」に今年の注目展覧会情報が載りましたが、そこではカバーしきれていない情報が今日発売の「月刊美術」に載っていますので、気になるのをあげましょう。

主催新聞社ごとにわけてみます。

・朝日新聞社

「今蘇るローマ開催 日本美術名品展」、日本橋三越5/13-5/25

「アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼス」、損保ジャパン東郷青児美術館7/12-8/31

・産経新聞社

「パリ-ニューヨーク20世紀絵画の流れ、フランシス・リーマン・ロブ・アート・センター所蔵品展」、府中市美術館9/6-11/3

「レオナール・フジタ展」、上野の森美術館11/16-09/1/18

「慶應義塾創立150年記念展」、東京国立博物館表慶館09/1/10-3/8

・東京新聞社

「美術家たちの南洋群島展」、町田市立国際版画美術館4/12-6/22

「ファイニンガー展」、横須賀美術館8/2-10/5

「生誕100年記念 大道あや展」、渋谷区立松濤美術館8/5-9/21

「線の巨匠たち-アムステルダム歴史博物館所蔵素描版画展」、東京芸術大学美術館10/11-11/24

・読売新聞社

「韓国美術のリアリズム1945-2005」、府中市美術館7/5-8/24

「白洲次郎と白洲正子展」、銀座松屋9/10-22

「スリランカ文化遺産展」、東京国立博物館表慶館9/17-11/30

「濱田庄司展」、川崎市市民ミュージアム10/4-11/30

こんなところでしょうか、今年は「ぐるっとパス」に三井記念美術館も加わります、多彩な展覧会が開催されますね。


フェルメールは本当に大丈夫?

2008-02-19 22:24:23 | アート・文化

ロカイユ様式、はあそんなものがあるのかとフランス語に弱い僕は必死にメモして歩いていた。

アラベスク文様に由来するだの、バベルがその代表的作家だのー。

カタログを読んでみると何のことはない、ロココのことだ、ロココは蔑称なのでフランスではロカイユといわれるとかー。

今東京都美術館で開催中の「ルーヴル美術展」の話だ。

展示は大きく二部に分かれていて、ルイ15世とポンパドゥール婦人の時代、これはロココがはやった時代で、ルイ16世とマリー・アントワネットの時代になると古典への回帰が進んだといった趣旨だ。

絵画作品はポンパドゥール婦人お気に入りのブーシェなどを除くと少なく、装飾品が中心の展覧会だ。

しかしこの展覧会、朝日新聞が大々的に宣伝しているため平日でも混雑しており、混雑を見越して展示解説をガラスケースの上部につけたのはよろしいが、嗅ぎ煙草容れといった小さな展示物には人だかりがしてろくに観られないといったありさまだ。

しかし大型の作品もありたとえば屏風だ、ルイ14世の時代から屏風が流行したという。

またこれはルイ16世の時代のコーナーになるが「ドン・キホーテの物語」の連作タピストリーも一堂に展示されて圧巻だ、ここいらへんはお客さん少ない。

当時の風俗画が版画として展示されるのもよい、どうも女性たちは髪形に関心大有りだったようだ、それを皮肉る!

そして最後の王紀マリーアントワネットにいきつく。

絵画には興味なく音楽やオペラに関心があったこの王紀を忠実に描いた絵が展示される、顔の欠点もありのままだ。

絵氏はヴェルトミュラーだ、当然批判をかっただろう。

マリーアントワネットは母親から五十点ほどの日本の漆器を相続したそうだ、蒔絵香入れとか蒔絵水差しなんかが展示される。

そして最後はヴェスヴィオ火山の噴火の絵で締めくくられる。

18C半ばの遺跡発掘が古典への回帰への誘因になったからだという。

ともかく疲れる展覧会だ、東京都美術館も儲けなくては行けないのはわかるがこんな混雑でフェルメールの展覧会は大丈夫なの?