さて何を書こう、今江戸東京博物館では三つの展覧会が同時開催されている。
メインはNHK大河ドラマと連動した「篤姫」展だ、江戸末期から明治初期の動乱を生き抜いた一人の女性の人生を通して歴史を考える試みだが、大河ドラマとかを知らないのであまりインパクトはなかった。
二つ目は常設展示室内で開催「家康・吉宗・家達ー転換期の徳川家」だ。
特に家達がクローズアップされるが、これは特別展の篤姫が家達の訓育を行ったという関係とつながりがあり興味が持てる。
そして三つ目は第二企画展示室で開かれている「川瀬巴水」の展覧会だ。
この三つの展覧会で僕が一番面白かったのは巴水の展覧会であると告白しなければならない。
巴水については、大田区立郷土博物館で昨年大規模な展覧会が行われたようだが、こちらは規模は小さいもののなかなかだ。
27歳で鏑木清方に弟子入りして、巴水の画号が与えられ、それを一生守った人だ。
1930年と36年にオハイオ州トレド美術館で新版画の大規模な展覧会が行われ、巴水の名前は米国でも一躍有名になったという。
巴水は雪景色の表現にすぐれている、風景画が大部分を占めるので「昭和の広重」と呼ばれるが本人は広重からの影響は否定し、むしろ小林清親の影響を示唆していたという。
会場では映画「版画に生きる」も上映、1956の「法隆寺西里」の制作過程を記録したもので全部見ると45分かかる。
肝心の版画も原画と完成作品を見比べることができ、なかなか興味深い。
カタログというか小冊子も530円にて販売!
大きな博物館だが三つも企画展示を同時進行させる江戸東京の姿勢に拍手をおくりたい。