だらだら日記goo編

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日本への思い

2007-04-30 21:47:31 | アート・文化

展示作品は昨年の府中市美術館で開催された展覧会のとほとんどが同じで目新しさはない。

しかし展示場所が変わっているのだ、日本間、つまりはたたみの上にじかに置かれている作品もある!

しかしカミーユも日本が好きで北斎の作品に触発されて「波」を作ったことを思えばなかなか面白い趣向だ。

福沢一郎記念館でもらったチケット「二人のクローデル」を観に川口へと行く。

展示会場は二箇所に分かれている、川口市立アートギャラリーアトリアが第一会場でここでは弟の駐日大使ポールのことと、姉のカミーユの作品のうち小作品が展示される。

ポールは日本の余白の美に関心があったとか、能にはまったとかまあ面白い。

第二会場へは送迎バスが運行って僕しか乗らない!

着いた先は国登録有形文化財の「旧田中家住宅」、洋間と日本間があるがそれぞれにカミーユの大きな彫刻が飾られる。

府中の展覧会の記憶も新しいので感想を書くのはやめるが、両手を虚空に伸ばしている「嘆願する女」などがやはり印象的だった。

周知のようにカミーユは晩年30年間精神病院に隔離されることになる。

ポールはカミーユの芸術の復権には力を入れたが、実生活では見舞いをすることすらなかったという。

その冷たさはいったいなんだろうかと考える。

孤独のうちに生涯を終えたカミーユを考えつつ、田中家を後にした。

この展覧会は5/27まで無休ですが巡回はしません。


1959年という年

2007-04-26 21:50:25 | アート・文化

おそらくこの人にとって1959年というのは格別な意味を持つに違いない。

結婚して「サド復活」を著したのもこの年だし、現代美術家加納光於の出会いもこの年だし、何より舞踏家土方の公演をを見たのもこの年なのだ。

土方との出会いなしに60年代は語れないと語るごとく、1986の土方の葬儀でも葬儀委員長を務めた人ではある。

言わずもがな、澁澤龍彦、その回顧展を埼玉県立近代美術館に観に行く。

展示は膨大な量で作品リストは大きな紙裏表二枚にまたがっている。

ゆっくり観ていると日が暮れること間違えなしだ。

さて何を書こう。

ともかく美術の分野では彼の言う「密室の画家」、自分の殻に閉じこもって孤独な作業を続ける画家にこの人は熱中した。

ゆえに西洋近代美術はルドンとモローだ、ルドンの黒にひかれたらしい。

あとはシュルレアリズムが並ぶが、マックス・エルンストを16Cの魔術哲学と関連付けたりとっぴなのもこの人の特徴だ。

「傍系シュルレアリスト」はこの人の名づけだがデルヴォーやベルメールが並ぶ。

デルヴォーは「オナニストの想像力にこびる絵」と澁澤はつづる。

意外といえば意外だが日本絵画では琳派を好み、若冲や酒井抱一が展示される、これまた意外だが加山又造とも親しかったようだ。

外国に出たのは1970が最初、ルードヴィヒ二世の城には失望したらしい。

川田喜久治の写真と澁澤が絶賛した細江英公の写真が伝える。

その他四谷シモンの人形やら、現代美術館で個展があった中村宏の作品やら、サドの「獄中からの手紙」やらありとあらゆるものが所狭しと展示される。

カタログをかねた本は平凡社から2700円にて発売、この展覧会はあさって開館する横須賀美術館にも巡回します。


個人美術館の魅力

2007-04-23 21:49:40 | アート・文化

今日はちょっと時間があったので祖師ヶ谷大蔵にある福沢一郎記念館を訪ねる。

ここは月水金開館という変わった美術館で、福沢のアトリエがあったところだ。

入ると芳名帳に名前を書かされ、どうやってここの美術館を知ったのかたずねられる。

展示数は少ないが、スタッフの方がいろいろと説明してくれるし、ビデオを見ながらお茶とお菓子までご馳走になれる。

福沢といえば日本におけるシュルレアリスムの先駆者だがそれにとどまらず、ギリシア神話や旧約聖書、古事記などにも関心を示しいろいろな作品を残した。

魏志倭人伝に題材をとった作品もあるという。

この美術館がうれしいのはお茶を飲みながら、スタッフと先客といろいろな美術談義ができることだ。

一人静かに絵画を鑑賞したいという人には迷惑だがこういうのも僕は好きだ。

スタッフの方が絶賛していたのは板橋でやっている「池袋モンパルナス」の展覧会の話。

連休中にも行きたくなった。

帰りには鶴岡政男の回顧展と川口でやる「二人のクローデル」の展覧会チケットまでいただく。

大きな美術館もいいがこういうアットホームな美術館もうれしいものだ。

スタッフの方に心からお礼をいいたい。


ある愛の物語

2007-04-22 21:44:38 | アート・文化

なんとも数奇な運命のカップルだ。

夫が死亡した二日後に妻はビルの六階から飛び降り自殺をしている。

しかも妻には自殺願望があったようで、ナイフで心臓を突き刺した絵も描いている!

二人の出会いは1916/12,モンパルナスの喧騒とかけ離れたところで静かな暮らしをおくっていたという。

二人の名前は画家モディリアーニと妻ジャンヌ、この二人の物語を展覧する展覧会がブンカムラで開かれているがすばらしいとしか言いようがない。

カタログにもあるがモディリアーニという人はどうも統合失調症の気配があったようだ。

それは彼の描く人物の周りの世界の完全な欠如として現れる。

ジャンヌもまた絵を描いていた。

モディリアーニは決して静物画は描かないのに、ジャンヌは静物画を得意とした。

言葉を変えれば夫は内なる精神に肉迫し、妻はあるがままの世界を描いた。

やがて二人はニースへと移り女の子を出産する。ニースへはジャンヌの母親もついていってあれこれするうちモディリアーニのことを理解できるようになったという。

特筆すべきはニース時代にモディリアーニが描いた妻の作品三点だ。展示番号

87,88,89だが子供が生まれたこともあり、統合失調症の気配があることを感じさせないほど生き生きとして親しみやすく愛に満ち溢れている!

あのモディリアーニにこんな作品があったとは!

しかし彼の健康状態が急速に悪化する、そして冒頭のようになる。

展示はスケッチやら手紙やら膨大な量で二人の関係を示してくれる。

静かに深く噛み締めたい展覧会だ。


絵画の教科書どおりに

2007-04-20 22:01:07 | アート・文化

少し前埼玉県立美術館で「巴里憧憬」というかなりこった展覧会があった。

それに比べればこの展覧会は実にオーソドックス、黒田清輝に始まって、浅井忠、藤島武二、佐伯祐三、藤田嗣治、岡本太郎など現代作家を除けば誰もが知っている画家で構成されている、誰にも親しみやすい展覧会といえようー芸大美術館は「パリへー洋画家たち百年の夢」を観に行く。

黒田がもともとパリへ行ったのは法律を極めるためとは知らなかった、コランとの出会いが彼を美術の道に進ませることになる。

彼が重視したのは裸婦画だ、洋画を日本に根付かせるためには裸婦画への抵抗をなくすことが重要と考えたそうだ。

しかしパリ万博の後はこの人も印象派的タッチになるのが面白い。

黒田がレンブラントの模写をやっていたのも面白い。

藤島武二も面白い、宮中に飾る装飾画を依頼され、「日の出の風景」と決めた配意が、なかなか快心の作品を作れず、70歳にしてようやく内蒙古で理想の日の出に出会ったという。

安井曽太郎は第一次大戦勃発で自分が重要と思う45点の作品だけ持って帰国、しかし親友が残りの作品も保管してくれて後で見たらそれらもなかなかよかったと感じたとか。

藤田嗣治は「私の夢」も出品されている、新潟に所蔵されている作品だ。

藤田の白はカンヴァスの下地塗りを通常の一層ではなく二層にしていたことが最近の研究からわかったとか、メキシコに行ったのは四人目の妻と!とかいろいろ面白い。

こんな感じで肩もこらずにゆっくり観られる展覧会だ、最も現代美術のコーナーは解説も一切なくていささか不親切に感じた。