だらだら日記goo編

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メモをとりつつ

2006-07-29 22:09:32 | アート・文化

かなり多くの鑑賞者がメモを取っているのには驚いた。

地味な展覧会だ、出光は「やきものに親しむー青磁の美」の展覧会だ。

僕もメモを取りつつ廻ったが、青磁は宋代まで宮中の御用陶磁器もつとめていたという。

越州に生まれ、北方にも広まり、北宋時代に龍泉窯で完成をみた陶磁器だ。

まあいろんなものが展示されるが、この展覧会の趣旨は、中国で至高のものとされていた「玉」を焼き物で再現したものが青磁ではないかということらしい。

珍しくカタログを買わなかったのでこの仮説がどこまで学問的に確証されているのかは知らない。

面白いのは青磁が外国に輸出されたそのいろいろだ。

たとえば奄美大島の倉木崎というところの海底から日本向け輸出の陶器が発見されたとかー何も言わずにずっと長いときを海のそこで眠っていた陶器たちを発見した人はどう思ったろう。

あるいは西アジアでは大皿が好まれたという。

食べ物を盛ってスルタンたちが宴をしたのだろうー海のシルクロードを伝わって世界各地へ青磁は輸出されていったのだ。

会場が余るので第三室では日本の屏風ー盆栽図屏風など奇妙な屏風と、板谷波山の青磁も展示される。ちょうど二十世紀初頭の中国古美術ブームと西洋的アールヌーヴォーという時代の波の中で創られた作品だ。

しかししばらく行っていなかったら出光は変わった。

「総合案内」なるものもできたし、ミュージアムショップもリニューアルだ。

ここは「陶片資料室」なるものも前からある。

ぶらぶらしていると、越州の青磁のかけらとか展示室で見たものが又あるのが面白い。

出光は作品がガラスケースの中にあるためか、監視員もおらず筆記用具は鉛筆かなどと尋問してこちらの気分をそぐ人がいないので自由にメモが取れるーこの雰囲気は変わらない。

次回は風神雷神図屏風とかー間違えなく人が入るだろう。


前衛的な写真たち

2006-07-26 21:49:14 | アート・文化

少し前の「アエラ」に面白い記事が載っていた。

アフリカ美術展を企画したのだが、アフリカ?お客が入らないでしょう、と受け入れてくれる美術館がないという話だ。

美術館といえども客商売、お客が入らなければどうしようもない、印象派とか、とかく客が入るのを好むのも仕方ない。

しかしいまはネット社会だ、確かな企画力があれば地味でも確実に成功するであろう展覧会を一つ紹介したい。

渋谷区立松涛美術館で昨日から始まった「ポーランド写真の100年」の展覧会がそれだ。

ポーランド?映画の国じゃないと人はいうかもしれない。

しかしここには日本の前衛的な「実験工房」を思わせる「映像工房」というのが存在し、確かにアヴァンギャルドな作品をうみだしていったのだ。

ポーランドといえばワルシャワだ、しかし第二の都市ウッチというところの美術館からの出品だ。

美術館側はお客が入らないと初めから決めてかかっている節もある、映像コーナーには椅子が四つしか置かれていないのだ!

しかし展示作品はどれも前衛的だ、御覧になる方のために内容紹介は伏せよう。

「霊気写真」なるものがあるかと思えば、ウッチ美術館の使われていないトイレを使った「清潔芸術」なるものもある。

秘密結社やUFOが出てくるわ、911テロを「美しく」撮った写真、日本の浮世絵も登場だ!

何でもござれ、これで松涛は入館料三百円は安すぎる、印象派なんかより僕はずっと楽しめた。


建築への志向

2006-07-23 21:50:27 | アート・文化

そごう美術館でも「モダンデザインの先駆者」としてこの人の展覧会が開かれたということで今回の展示カタログにそごう美術館の学芸員が執筆している、この人の建築への志向は知る人ぞ知るものだったのだろう、東京美術学校で建築を学び卒業制作は「音楽家住宅設計図案」だったという。

でもってステンドグラスの研究にイギリスに留学し、特にモリスに関心を持ったという。

一般には陶芸家として知られる富本憲吉、それをデザインの分野から振り返ろうという展覧会が松下電工汐留ミュージアムで開かれている。

お客さんはほとんどいないのに監視員は豊富にいるという変な展覧会だ。

それはともあれ、富本の出発点は陶芸にあったのではないことは確認しておかねばなるまい。

初期のこの人は南薫造と木版画なんかやっていた、楽焼に出合うのはバーナードリーチと知り合ってからだ。

木版画だけではない、モスク模様刺繍壁掛けとかこの人の関心はいろいろ広い。

柳屋書店というのが大坂にあったそうだ、モダン書店でこの人はそこのデザインの仕事もしたという。

面白いのは結婚して夫婦で絵付けとかやって仲がいいことはいいのだが、娘を学校に通わせず東京からわざわざ人を呼んで教えさせたという、で子どものために机といすを作ったりもする、風変わりでもある。

そのうち娘を東京は成城学園に通わせるということで祖師谷の地に700坪の土地に家を建てたりする、イギリス的住宅で建築家の名にふさわしい。

富本が極めてモダンであったのは電気が一般家庭に通ったのが1927なのに、もう1929には「電気スタンド」を創ることからも明らかだ。

そんなこんなでいろいろ展示される、晩年の彼は故郷奈良の風景をいつくしみ、又「放浪の陶工」などとも自嘲したりするが、羊歯模様やアザミに心奪われ、白磁の壺に花を生けるという彼独特の陶芸作品も充分味わえる展覧会だ。

生誕百二十年ということで関西では大規模な回顧展も開かれている、汐留の展覧会も充分面白い。


アクセスがやたらー

2006-07-21 22:46:57 | アート・文化

今日は「菊池麻衣子さんのこと」と書いた昔の記事にやたらとアクセスが多かった。

なぜかわからなかったが、調べてみて菊池さんが病気のため入院して舞台を降板するというニュースが今日流れたことを時事通信で知った。

残念ながらいまの僕は菊池さんにはもはやなんの意識も持っていないので、ああそうかと思うだけだった。

菊池さんのファンサイトを運営されていた忠節橋さんはどうしたろうか、危篤状態でそのままファンサイトは残っている。

もうすぐ暑い夏が来るー忠節橋さんがこの作品のDVD化に文字通り命を傾けた菊池さんのデビュー作品「薄れゆく記憶のなかで」-長良川をバックに人を恋することの切なさを不器用に描いた作品だーこれを又DVDで観てみようかと思う。

文字通りアートのような作品で音楽も美しい、お薦めです。


アートは人を救うのか

2006-07-18 22:04:28 | アート・文化

ホテルオークラの夏の風物詩「秘蔵の名品アートコレクション」の案内が送られてきた。

今年は花鳥画で若冲やら円山応挙の作品も展示されるという。

さらに大倉集古館と泉屋博古館の展示もこのチケットで観られるという。

初めの頃は行っていたが、去年は行かなかった。

それは「アートは世界の子どもを救う」なるキャッチフレーズがいかにもうそ臭く思えたからだ。

まことに皮肉なことにあのテロ以来、ホテルオークラのすぐ近くのアメリカ大使館は警備が厳重になり警察官がうろうろするようになった。

千円ちょっとの金を出して優雅にアートを鑑賞することが子どもを救うことになるのか、とてもそうは思えない。

こういうものを偽善という、本当に子どもを救いたければ戦場で血まみれになる覚悟がいる。

というわけでこの「チャリティイベント」には今年も行かないだろう、併設の美術展は「ぐるっとパス」で充分だ。