だらだら日記goo編

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今年もこの季節がやってきた

2008-07-31 22:08:02 | アート・文化

ホテルオークラからの案内状が送られてきた。

言うまでもなく「アートコレクション展」のご案内だ。

去年の今頃もこの催しに厳しい意見を書いた。

優雅にアートを鑑賞して、収益金の一部が寄付されるからああ私はいいことをしたわと自己満足に陥るのが関の山で、「恵まれない子供たちへのチャリティ」などという気分はどこかに行ってしまうことは請け合いだ。

今年も基本的にその考えは変わらない。

チラシにも載っているが「アートと贅沢ランチ」なるコースはホテルオークラの収益にはなっても、恵まれない子供のチャリティとどうつながるのかわからない。

しかし今年は行ってみようと思う。

招待券が入ったからだ!

さらにこの券で泉屋博古の「明治の七宝」が見られることも大きい。

しかし基本的に僕は恵まれない子どもを救うなら、恵まれない子どもと同じ境遇に身を置いてMit-leidenすることしかないと考える。


浮世絵の明るさで

2008-07-26 13:19:14 | アート・文化

照明50ルックスというのは浮世絵の展示と同じあかるさだそうだ、かなり暗く感じる。

まずは1814フランシス・スコット・キーによって書かれた‘star-spangled banner‘の歌詞が。国歌となるのは1931年のことだそうだ。

東京都写真美術館は「ヴィジョンズ・オブ・アメリカ」の第一部「星条旗」の展覧会だ。

鮎さんからチケットをもらったので「昆虫四億年の旅」と梯子したが、こちらのほうが断然面白い。

アメリカは流石に早いもので、1840には世界最初の写真館がニューヨークにできたという。

写真による戦争報道の始まりもアメリカだ、ご存じ南北戦争。

死者61万人を記録したこの戦争をマシュー・B・ブレイデーは25人の写真隊を組織して写真帳をつくったという。

南北戦争以後の社会をニューヨークのスラムにカメラを向けたのはリース、移民や児童労働の実態にカメラを向けたのはハインだ。

マイブリッジという人は面白いことをやる。疾走する馬は空中で四脚を広げているか縮めているかの議論に六年かけて四脚を縮めていることを実証する。

ご存じスティーグリッツも登場、ヨーロッパの写真とは異なるものを求めて1902、フォト・セセッションをつくる。

有名な彼の写真「三等船室」にはピカソが、面を二つに分けるような構図を絶賛したという。

「フロンティア」とは、一平方マイルにつき、人口が二人以上六人以下の地域とか、定義もなかなか面白い。

映像も流れており南北戦争のカメラを楽しめる。

別階の「昆虫四億年の旅」はあまり心に響くものがなかった。

大丸ミュージアムの「里山」の展覧会に、今森光彦さんの展覧会は期待したい。


メモ程度に

2008-07-24 23:38:03 | アート・文化

ひとさまに行った展覧会のメモくらい作りなさいと言っておいて、自分はあまり更新しないのも何なので行って記事にしていない展覧会の話をメモ程度に。

・「対決」展、東博

曽我蕭白に圧倒された!若冲も蕭白の前ではおとなしすぎる。

「美術屋百兵衛」からまたチケットが入ったのでまた行きます。

・「フランスが夢見た日本」、東博

地味な感じもするがもととなった作品を探し当てる作業の大変さを思うともっと評価されてよい。

・「木喰」展、そごう美術館

ほとんどの作品がガラスケースに入っていないので木喰の息吹をそのまま感じることができる。

しかし「微笑仏」とはよく言ったものよ、木喰の精神を思う。

・「舟越桂ー夏の邸宅」、庭園美術館

これは夜に観たほうが断然映えるであろう、8/25-31の夜間開館に注目。

・「大三国志展」、東京富士美術館

ご存じ池田○作の美術館、お客さんも学会員が多いのかおばちゃんたちが平気で話をする、監視員も全く注意しない!

いくら世界から名画を集めても静かに鑑賞できないのでは問題外。

明日は写真美術館へ行く予定、「昆虫4億年の旅」はどんな感じなのだろう。


生命の讃歌

2008-07-19 22:18:56 | アート・文化

国立博物館のアンリ・マティス展を観て「わしの絵によう似とるのう」と大声で話す、一方ピカソの展覧会に行くと「この男は少し気が変じゃないかのう」という、いやいや何とも痛快なおばあちゃんがいたものだ。

1875広島の農家に生まれ、三男一女を育てた、学校にも通わないから読み書きもできない。

で、老後隠居して暇を持て余していたのを一枚の魚の絵が褒められて絵の道へと進むー。

ご存じ丸木スマだ、「原爆の図」の丸木位里、俊子の母親といったほうが通りが良い。

何しろ文字も知らないのだから点を連ねて輪郭を取っていったという、その点描は作品の中にもみることができる。

そのスマの回顧展を埼玉県立近代美術館に観にゆく。

カタログにもあるようにスマの作品の八割は動植物画だ。

70を超えてから絵筆を取ったという素朴派にも似た経歴の持ち主で言うまでもなく遠近法も構図もめちゃくちゃ。

しかし76で院展に初入選したとき、子供の絵と間違えられたその作品は「幼稚だけどその中の本質的な自由さは強い」「技巧だけになりがちな日本画中では尊重すべきだろう」という意見が占めたという、スマの絵は時代の風潮に対する反面教師でもある。

描きたいときにすぐ描けるのがスマの幸せだったのだろう。

「絵を描きはなえてから面白うての。こりゃまだまだ死なりゃせん思うて。わしゃ、今が花よ」

スマの言葉だ。

絵を描くという「仕事」を見つけて、スマは自分の人生を肯定することができたのだ。

スマの絵の最高傑作はなんといっても「簪」だろう。

大きな画面に生き物が埋め尽くされている、それは壮大な生命の讃歌だ。

しかしそんなスマも過去を振り返る時もある。

広島に生まれて必然的に経験した原爆、それを「ピカのとき」に表す。

スマは言う、「これは山崩れや地震たぁ違う。ピカは人がおとさにゃ落ちてこん」

またスマが展覧会に入選するのは高名な息子夫妻が手伝ったからではないかとかげ口もたたかれたという。

人間肯定と人間不信ーそんな中でスマは顔見知りの青年に殺害されてしまう、享年81.

そしてその犯人も投身自殺をとげる。

人の命はピカと同様軽いのかー、生命の讃歌をうたった人だけに最後にはむなしさが残った。

なお会場ではスマへのオマージュとして、須田悦弘、安藤栄作、かわしまよう子の作品も展示されています。


夏だ!

2008-07-13 22:19:17 | アート・文化

旧暦は5/28日、両国の川開きだ、花火が盛大にうちあがり、江戸っ子たちは夏を実感する!

その模様を葛飾北斎が、歌川国貞が、歌川広重が浮世絵にする。

船が出て、両国橋は人であふれかえっているー今も昔も同じだ。

三井記念美術館は「NIPPONの夏」に行ってきた。

着物も展示されている、衣替えの5/5-8/31は帷子や単衣を着用したというが夏の着物にあえて秋草や雪景色を配して涼を求めたという。

「蝶」が描かれているものも、蝶は本来春のモティーフだが秋に活動するものもいるとか。

涼を求めるといえば水辺だ、ここで円山応挙の滝の絵がでてくる。

何でも応挙の瀧の絵といえば庇護者であった円満院祐常という人が明和九年に描かせた絵がすさまじいというが出品されない、一度観てみたい!

工芸品もいろいろ出ている、「ギヤマン」大変な人気の輸入カットガラスだ、それを目指して江戸後期から切子の制作も始まる。

しかし何といっても今回一番面白かったのは歌麿の浮世絵「ホッピンを吹く娘」でおなじみのホッピンが出ていたこと、こんな玩具もあったんだなあ。

暑いと言えば風呂にでも入るか。

歌麿の「寒泉浴図」はふろおけに入ろうとする女を後ろ向きに描いている、つまり女の尻を見せている、こんな作品は珍しい。

祇園井徳という画家は初めて知った、京都で活躍したようだが画系は明らかでない、何かと話題の板橋区立美術館の所蔵。

東博の「対決」でも出ていた長沢芦雪「月夜竹にこうもり図」で締めくくり、芦雪らしさが見事。

あちこちの美術館からよく集めたものよ、展示変えがあるので機会があったら再訪したい。