だらだら日記goo編

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肉筆浮世絵の楽しみ

2006-10-31 23:32:04 | アート・文化

肉筆浮世絵とは何であるかー簡単なことであった、「絵画、painting」のことであり「版画」である普通の浮世絵とは区別されるのだとカタログを見て納得した。

「絵画」と「版画」の違いだから外国でやる浮世絵展覧会では「肉筆浮世絵」とは何かという質問は決して出ないという。

さて浮世絵の国日本に魅せられた外国人は多い。

今回はビゲロー1850-1926のコレクションが日本に里帰りした。

ボストン美術館所蔵肉筆浮世絵の展覧会「江戸の誘惑」を江戸東京博物館にアスパラクラブの招待で観に行く。

肉筆浮世絵は「絵画」で特別注文だから世界に一品しかない、これをまとまって見られる機会はほとんどないといってよい。

まず会場を入ると北斎の幟がお出迎え、北斎がこんなの書いていたこと知らなかった。

北斎といえば「唐獅子図」などという見事な色彩のもある。ボタンの花は弟子が描いたそうだ、画狂老人卍と名乗っていた時代だ。

同じく北斎の提灯も展示される、竜と虎、竜と蛇で中国の世界原理に沿ったものだという。

さて、「江戸の誘惑」つまりは女である、当時の遊女や芸者はタレントでファッションモデルであった!男は引きずり込まれたのだ。

「向島行楽図」がある、当時のウォーターフロントだ、江戸っ子の遊楽地でもある。

そこを遠近法を持って描いたのが歌川豊春だ。

しかし最大の行楽地は大きな「芝居町、遊里図屏風」に描かれた「江戸の二大悪所」、吉原と中村座ではある。展示には中村座興行の絵看板も二点展示される。

会場には「石橋」-しゃっきょうーに関する展示も多い。

15世紀の能で江戸時代にはやったという。

展示は全部で68点と多くはないが、一つ一つに引き込まれることうけあいだ。

普通にチケットを求めれば千三百円取られるがその価値は十分にある。


無料で観られたのに

2006-10-25 22:03:49 | アート・文化

画家が八王子の出身ということで八王子夢美術館からの出品がかなりあったのでいやな予感がした。

予感は的中、ソファにおいてあったカタログを見るとこの展覧会は八王子夢美術館に巡回するのだ。

僕は入館料割引で700円払った、しかし夢美術館で観れば「ぐるっとパス」でただだ。

鈴木信太郎、まったく聞いたこともない画家の回顧展を横浜そごうに観に行ったのだがどうやらお金の無駄遣いだったようだ。

鈴木の作品自体、特に個性や自己主張があるわけではない、こういっては何だが平凡だ。

足が不自由ということで低い視線からの作品が面白く、また人形がだいすきだったらしい。

おそらくその原点には八王子時代の「車人形」という伝統的な芝居の体験があるのだろう。

奈良でサーカスを観戦したこの人は、頭上に掲げられた楽器が面白くて、楽器を強調するために本来見えているはずの興福寺の五重塔をわざわざ描かなかったという、面白い人だ、プリミティブといってもいい。

なんでも今でも入手できる「こけし屋」という洋菓子店のパッケージも描いた人で、デザインの分野では「す。」のサインで知られているというが僕は知らない。

素朴派に通ずるような人で、ルソーの展覧会に出品すればよかったのにとも感じた。

しかし横浜のあと八王寺に巡回するわけだが、距離的に遠くもないのに同じ展覧会やるとはなんとも不可解。


印刷しろとはー

2006-10-23 22:31:35 | アート・文化

国立近代美術館の次回展覧会「揺らぐ近代」のチケット当選の知らせがあった。

てっきりチケットを送ってくるものと思っていたら、当選メールを印刷して受付に出せという。

僕のパソコンはプリンターがついていないのでネットカフェかどこかで印刷しなければいけない、手間がかかるなあ。

さて二名までということですので、よろしかったらブログご覧になっている方どなたかご一緒しませんか。

金曜は八時までやっていますし、常設展示も当然見られますのでよろしければコメント欄にお書きください。

来週の月曜は朝日アスパラクラブの招待で江戸東京博物館の肉筆浮世絵展に。

これまた印刷が基本ですが、会員番号告げれば確認してくれるのでこれはよしと。


近代日本をつくったひとたち

2006-10-22 22:23:20 | アート・文化

産経新聞などによく出てくる、いまだに旧仮名遣いを用いる小堀桂一郎というのはこの人のお孫さんであると展示カタログではじめて知った。

今年は明治神宮外苑創建八十年ということで春に引き続きこの秋も明治神宮宝物展示室では特別展覧会が開かれている、今回のテーマは近代歴史画だ、特に小堀鞆音という人に焦点を当てた展示だ。

僕はこの人の名前すら知らないというか、近代日本の歴史画に疎いのでいい機会だから行ってみる。

この鞆音という人ももっと評価されていい人物だ。

本質的に独学の人で、土佐派に属するようだが、明治三十年に東京美術学校助教授になり、岡倉天心のもと、横山大観らと競い合って作品を作った人だ。

渋沢栄一の依頼で「忠孝之図」という大作をものにしたり、当時の第一高等学校の倫理講堂に掲げられる絵画を描いたりもする。

晩年は「淡交会」というのを横山大観らとつくり、聖徳記念絵画館の壁画を三点も依頼されたそうだ。

この展覧会はこれだけに終わらない、明治から大正の歴史画をいろいろと見せてくれる。

鏑木清方、松岡映丘、平福百穂、川崎小虎ーさまざまな画家の作品を全国各地の美術館から集めてくる。

羽石光志の「ひよどりごえ」、栃木県立美術館は源平合戦の古戦場をあらわしたものだが、まざまざと迫ってくる勢いがある。

再び小堀に戻れば「酒折宮連歌図」というのもある、これはヤマトタケルを祭る「酒折神社」というのが山梨県にあるとか、「源義家勿来関歌意」では「勿来の関」というのが奥州三古関のひとつだとか、日本の歴史をいろいろ知る楽しみも歴史画を観る楽しみだ。

冒頭の小堀桂一郎は「武士」という作品が鞆音の代表作だと書いているが、展示スペースの都合で今回は展示されない,都合二回展示替えがある。

しかし近代歴史画といえば山種美術館の得意とするところだろう、この展覧会も山種からの出品が多くある、「ぐるっとパス」で山種にもまたいきたいと思った。


お客様は神様です

2006-10-17 22:13:05 | アート・文化

先日、川崎市市民ミュージアムにレイモン・サヴィニャックという人のポスター回顧展を観にいったが驚くことにほかに鑑賞者がいなかった、僕一人だけだったのだ。

僕にしても招待券がなければアクセスがものすごく悪いこんな美術館には行かない。

最寄の駅は東横線武蔵小杉でそこからバスで二十分、川崎からだと四十分もかかる。

僕の家からもっとも近い行き方は二子多摩川からタクシーを使うことだ、タクシーで十分でいけるが千五百円取られる。

この美術館自体変わっている、収蔵品は漫画と写真とポスターと映画フィルム、絵画もないことはないが「特別展示室」というところに収まっている。

したがって企画展示も本居宣長だの、名取洋之助だの、サヴィニャックだの、まあ人が集まるとは思えない展覧会ばかりする。

この美術館はいったいどうなっているのかと思っていたらちょうど平凡社新書で「スキャンダル戦後美術史」という本が出てこの美術館に触れている。

なんでも当時の川崎市長が「道楽のつもりで作った」と地元紙に発言したようだ。

「道楽」というだけあって、百五十億円以上も金を使って作ったのだが、ここに外部監査が入った。

オープンした当時は入場者は三十一万人だったそうだが、二千年には十万人を割り、二千二年には八万人へと落ち込んだそうだ。

でもって、僕が行った企画展示ではとうとう観客僕一人という事態になっていたのだ!

それにしてもこの川崎市市民ミュージアムは極端としても公立美術館はまことにアクセスが悪いところが多い。

東京都現代美術館然り、世田谷美術館然り、府中市美術館然り。

新しい国立美術館が六本木にオープンし、森美術館、新しいサントリー美術館とトライアングル構想がある。

お客を呼ぶ工夫をしない美術館は自然淘汰される運命にあろう。