だらだら日記goo編

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

どうしてますか、先生

2017-10-09 21:02:44 | 日記
父が死んだ時、浜井修先生は、1万円を送ってくれた。
修士課程だった。
この先生は、指導教官ではなかった。指導教官は、当時はまだ若き関根先生だったが、しょっちゅう海外へ行っていた。
従って、浜井修先生が、一人で、西洋倫理を専攻する学生をみていた。
当時は、あまり、浜井さんを良く思わなかった。
倫理学科の伝統への訣別と言って、和辻倫理学を批判し、自分の息のかかった社会哲学系の講師ばかり呼んでいた。
いきなり、和辻倫理学批判と言って、反発もあるだろう。
金子武蔵や、小倉志ようへと続く倫理学科の伝統の中で、和辻倫理学は、特別視され、批判を許さない雰囲気があったという。
金子や小倉の時代は、ドイツ観念論全盛期だった。
浜井さんは、また、倫理学が哲学の一部と見做されることにも異議を唱えていた。
それなら、哲学科の亜流だと。
だから、関根先生をもってきたのだろうが、こっちは、なぜ、倫理学科で旧約聖書を読まなきゃいけないのか、と反発した。だから、博士課程になったら、遊びはじめた。
しかし、浜井さんも僕のことを考えてくれていた。
修士課程に入学して、カントの宗教哲学をやりたいと言ったら、秘かに関根先生に話しをして、お前が指導教官をやれ、と命じたそうだ。
娘さんが、学芸大生付属中学だったから気にかけてくれていたのかもしれない。
しかし、僕は不肖の弟子だったし、その関根先生も、宗教哲学科になっちゃマズイと思ったのか、また、ドイツ観念論の専門家を呼んだ。
浜井さんの願いとは裏腹になってしまった訳だ。
浜井さんは、クリスチャンだと最近知った。
いろいろ裏切られ、どんな心境だろうか?赦しているか?
家を引越し、浜井さんの1万円が出てきた。仏壇に飾っていたのだ。
先生、どうしてますか?